日本!食紀行 2014.06.08

東京都港区虎ノ門。
この地に暖簾をかけて170年あまり。
味にうるさい江戸の人たちに愛されているお蕎麦があります。
お客を惹きつける黄金色の甘辛いつゆ。
(女性)とても鰹が利いていて美味しいです。
上品な味でしたけど…。
店の主人が釜に入れる節の厚削り。
このうちの半分を占めるのが高知県産の宗田節です。
(萩原さん)おつゆの持っているその軽やかさを全部こう演出してくれるのがソウダガツオ。
なくてはならないものですよね。
高知県土佐清水市沖で行われるメジカ漁。
地元で「メジカ」と呼ばれるこのソウダガツオこそが宗田節の原料です。
昔はほんまにこの…朝夜が明けて竿をやってからもう竿を上げるまでずっと食いっぱなし。
全国で消費される宗田節の実に7割がここ土佐清水市産。
しかし近年メジカの水揚げが大きく減って宗田節づくりは危機に直面しています。
いかんせん…ねえ漁も年々少なくなってきよるしよちょっとまあ色んな課題があるがよ。
我々がこれからこの宗田節産業を継承していくにはね…。
地場産業の衰退は日本の食文化にとっても一大事。
宗田節を守るためにどんなアイデアの出汁が出ているのでしょうか?今週の『日本!食紀行』は日本の出汁文化を支えるこんじきの恵み土佐清水市の宗田節に学びます。
太平洋を望む足摺岬。
黒潮が打ち寄せる四国最南端の街が高知県土佐清水市です。
人口は1万5000人あまり。
古くから黒潮の恵みを受けて漁業の街として栄えてきました。
黒潮がもたらす新鮮な海の幸。
中でも土佐清水市がブランドとして全国に売り出し中の清水サバは刺し身やたたきにすると絶品!うまいうまい。
美味しいですよ本当に。
(スタッフ)コリコリ?
(男性)これコリコリですよ。
美味しい。
この土佐清水市で最も漁獲量が多いのがこのメジカ。
メジカは小型の鰹で正式な名前はソウダガツオですが目と口が近い事から地元の人は親しみを込めてメジカと呼びます。
このメジカこそが宗田節の材料なんです。
3月の早朝。
船を出すのはベテラン漁師網本幸夫さんです。
船を走らせること2時間あまり。
この日は足摺岬の沖合およそ20キロの地点をポイントに選びました。
回遊するメジカの群れは長年の経験で培った漁師の勘を頼りに探します。
網本さんが行うのは曳き縄という漁法。
船を旋回させながらイカナゴなどの寄せ餌をまいて反しのない擬餌針がついた竿で1尾1尾釣り上げます。
それにしても見事な竿さばき!多い時には1分間に30尾揚げる事もあるといいます。
これがもう…。
肉質がよくない。
あの…血が回る。
そうですね。
メジカは鮮魚として市場に出回る事がないのでなかなか刺し身にありつけません。
実は鮮度の落ちが早い魚なんです。
鮮度のいいメジカの水揚げは漁師のプライド。
受け継いだ伝統の技でメジカの鮮度を保っているのです。
メジカが揚がった翌朝街は活気を帯びます。
街の人たちが続々とある建物に集まってきました。
街のあちこちで煙を上げる建物。
節納屋と呼ばれる宗田節の加工場です。
さあいよいよ宗田節づくりの始まりです!ここにも伝統の技がありました。
土佐清水市松尾地区に祀られる紀州の漁民の墓。
現在の和歌山県の漁民が江戸時代の初めに鰹漁と鰹節づくりを伝えた事から伝統産業の歴史は始まりました。
豊かな黒潮の恵みを受けて…。
「ア〜ヨ〜イヨ〜イ」全国の鰹節番付で最高位の大関にランクされるほどの品質を誇った土佐清水市の鰹節。
しかし1950年頃から沿岸部で獲れる鰹が減少。
漁師は漁の転換を余儀なくされました。
同時に原料が手に入らなくなった鰹節産業も窮地に立たされました。
そのピンチを救ったのがそれまで見向きもされなかったメジカ。
メジカがたくさん獲れたからこそ漁師の匠の技と良質の鰹節をつくる技がメジカ漁と宗田節産業に受け継がれたのです。
メジカの水揚げがあった翌朝。
節納屋で宗田節づくりが始まります。
まずは釜立て。
メジカは街のお母さんたちによって煮篭に隙間なく並べられます。
大正元年に創業した節納屋を受け継ぐ三代目の武政嘉八さん65歳。
宗田節をつくり続けて40年あまり。
生産者グループの代表も務めています。
(武政さん)ああいいですよこれは。
次に煮熟。
メジカの並んだ煮篭を1時間あまり熱湯に浸けて身を引き締めます。
煮上がったメジカは冷ましてからセイロ取り。
骨をしっかり抜いておかないとあとでひび割れの原因となるので節の出来栄えを左右する気の抜けない作業です。
原料にはもうこだわる。
それがまあ一番はこの沖のもので足摺沖のもの。
次はまあ…昔からのそういう…。
自分の気持ちがその節にのるぐらいのやっぱり気持ちで節に接していかないかんという…。
まあそうでないとやっぱりいいものも出来んしよね…。
宗田節づくりは全てが手作業。
決して楽な仕事ではありませんがお母さんたちはテキパキと体を動かします。
そして豊かな土佐清水市の山からとってきた薪に火がつけられます。
セイロに並べたメジカを節納屋に納めて燻す焙乾と呼ぶ工程です。
1週間から10日ほど燻すとメジカの身から水分が蒸発して旨味がギュッと凝縮するのです。
あちこちにある節納屋から煙が立ち上ると街はメジカを燻す独特の香りに包まれます。
さらに天日に干して水分がなくなったら宗田節の出来上がり!関東方面に出荷するものにはカビ付けをしてマイルドな味わいの枯節にします。
自慢の宗田節は卸売業者の手に渡り洗ってきれいにしたあとでやわらかくしてから削って飲食店に出荷されます。
1839年から暖簾を守る老舗の蕎麦屋店は舌の肥えたお客でにぎわいます。
店の顔ともいえるつゆには宗田節が使われています。
五代目の店主萩原さんが大釜に入れるのは節の厚削り。
分量は半分が高知県産の宗田節で残り半分は2種類の鰹節です。
およそ40分煮出したら香りで旨味が出尽くしたのを感じ取ってガラを取り除きます。
醤油やみりんなどで味付けしたあと漉すとつゆが完成。
見てください!これが宗田節から生み出された老舗蕎麦屋のつゆです。
盛り汁もこのつゆを煮詰めて使います。
一方こちらはラーメン激戦区といわれるこのエリアを牽引するラーメン店です。
澄んだ塩味のスープが人気。
ここでも宗田節が使われています。
開店3時間前。
店の主人永岡さんがスープの仕込みに入ります。
どうです?このスープ。
まさに黄金色でしょ?いい出汁はねやっぱりつや…つやだよねつや。
出汁に不可欠な宗田節の旨味はどのようなものなのでしょうか?そうなんです。
宗田節は旨味成分であるアミノ酸をたくさん蓄えていてその含有量は鰹節と遜色ありません。
また渡邊教授は含んでいるアミノ酸の種類も旨味に影響していると言います。
イカやタコなどに含まれている旨味の成分のタウリンや野菜類に含まれているアスパラギン酸。
昆布類に含まれているグルタミン酸。
甘味を引き出すアミノ酸やコクを引き出すアミノ酸。
そして味のキレをよくするアミノ酸などが実は鰹節よりもたくさん含まれているんですね。
日本人が大好きな蕎麦うどんそしてラーメンと麺類の出汁に欠かせない宗田節。
実は今宗田節づくりに黄色信号が灯っています。
材料のメジカの漁獲量が激減しているんです。
一体何が起きているのでしょうか?水揚げが減少するメジカ。
メジカ自体が減っている事もありますが漁師の高齢化後継者不足に加えて高値のサンゴ漁に転向する漁師が増えてメジカ漁の回数とメジカを獲る漁師が減った事が原因です。
また燃料費の高騰も追い討ちをかけています。
毎年4月に開かれていた宗田節の入札会。
メジカの不漁が影響して宗田節の出品量が足らずに…。
やっぱり少ない数量だとねえお客さんが来ても期待に応えられんしよ。
そういう事もあるしね。
やっぱり…そこらが僕らとしても色々と悩んだ末の結果やけどね。
結論です…。
これね49回まできて50回目という節目でなったいう事は本当にまあ残念よね。
生産者の数も最盛期の半分以下にまで落ち込んでいて後継者問題も抱えています。
生産者グループの代表を務める武政さん。
伝統産業を守る責任が肩に重くのしかかっています。
しかしまあいかんせん…ねえ漁も年々少なくなってきよるしよちょっとまあ色んな課題があるがよ。
我々がこれからこの宗田節産業を継承していくにはね…。
食文化というかまあ本当に日本人のね出汁文化の一番のね基本になるもんやから我々としたらこれはもうこのね海の800人あまりの住民が関わり経済効果はおよそ18億円と試算される宗田節産業。
この街の基幹産業を再生させようという気運は高まってきています。
つまり…。
今年3月行政と漁師そして生産者が連携してメジカの漁獲量の回復に向けた協議会を発足させました。
漁師も立ち上がりました。
休んでいた土曜日に船を出して漁を増やしたのです。
業務用だけでなく家庭でも使ってもらいたい。
生産者はパッケージを工夫したりレシピ集を添えたりと販路を広げようとしています。
さらに宗田節の特長を生かすアイデア商品も登場しました。
その商品とは宗田節の入った瓶に醤油を注ぐと1週間で出汁醤油になるという商品で開発したのは全く別の業種に携わる地元の人でした。
宗田節の加工場の方が自宅で使っているお醤油の中にこの節を入れて使っていたのがきっかけでした。
それを味見させて頂いた時にすごう美味しかったのでこれをまあ一般家庭にも食卓にのせて宗田節の味を知ってもらいたいという思いでつくりました。
卵かけご飯や冷ややっこにかけるのがおすすめ。
シンプルな料理をワンランクもツーランクもアップさせます。
評判を呼んでひと月に3000本ほど売れています。
さらに武政さんたちは数年前からある取り組みをしています。
武政さんたちが力を入れている取り組み。
それは小・中学校での食育の授業です。
(男性)ああすごいすごい。
さすが清水です。
すごいですほぼ9割。
あ〜100…。
この日は地元の小学校に出向いて子供たちにメジカ漁や宗田節づくりなどについて説明し伝統産業の魅力を伝えました。
少ないと聞いてびっくりしたし…。
授業の締めくくりは試食。
簡単レシピ茶節を子供たちに味わってもらいます。
ええにおいがする。
(一同)いただきまーす!どうぞ!初めて食べる宗田節の味に子供たちもこの笑顔。
すごく美味しかったし宗田節の味が出ていてすごい自分らの味にも合うちょって家でも1回つくってみたいなと思いました。
全国に広まって土佐清水の宗田節が有名になったらいいなと思います。
もっと漁師になりたいという気持ちが膨れ上がりました。
つゆがガツンとくるやろ?美味しいね。
地元の子供たちの関心の高さに武政さんの顔がほころびます。
僕らすごいたくましく思いましたね。
最高やねあれはね。
もう…そういう人が1人でも2人でも多くなってくれればまあこのね宗田節もまたずっとこれから先もずっと伝統を守り続けていけると思うのでねえ。
江戸時代から脈々と受け継がれる節納屋の煙。
(武政さん)頑張ってやらないかんと思ってますねこれはね。
日本の出汁文化こんじきの恵みを支える宗田節。
節納屋から立ち上る煙は今日も土佐清水市の街を包み込んでいます。
2014/06/08(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]

濃厚な旨味とコク…黄金色に輝く極上の出汁がとれる、高知県土佐清水市産の宗田節!蕎麦やうどん・ラーメンには欠かせない食材です。カレーや卵かけご飯にも!

詳細情報
◇番組内容
宗田節は、黒潮が育む宗田ガツオ(メジカ)を、節納屋と呼ばれる加工場で燻して作られます。全国で消費される宗田節の実に7割が、土佐清水市産。驚きの伝統漁法や、手間暇かけて手作りされる様子、さらに宗田節を使った極上ラーメンや、旨味たっぷりスープもご紹介します。
◇番組内容2
メジカの不漁や漁師の減少、後継者問題など多くの問題を抱えながら伝統産業を継承しようと奮闘する、地域の人達…日本全国各地の「食」を通して、地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び、温かいコミュニティーなどを四季折々の美しい風景とともに描き出す教育ドキュメンタリー番組です。
◇ナレーション
土佐かつお(タレント)
◇音楽
エンディングテーマ曲
Bom Dia ! / 柏木広樹
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:高知放送
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/
◇おしらせ2
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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