昔与平という若者が母親と暮らしていました。
荒れ地をひらいた田畑は狭く収穫もわずかでした。
もうおやすみなさい。
じゃあ今日はこのへんにしておくか。
畑仕事だけでは食べていけません。
与平も夜草履を編んで町に売りに行きどうにか暮らしを立てていました。
その町からの帰り道…。
あ?あっ!これは畑にまく椿の油カスでねえか!川に流しちゃならねえ!椿油の油カスは畑の肥料ですが川に直接流すと魚が全滅してしまいます。
痩せた土地にまいてもムダじゃ!川に流せば魚がとれる!そうでもしなきゃ暮らせねえだ!これで…これで流すのは堪忍してくれ。
草履を売って得たお金を村人に渡しました。
お金より与平は川を守りたかったのです。
《わしらにとっちゃ命の水じゃもんな》ご苦労さま草履は全部売れたのかい?実は…。
与平は町からの帰り道の話をしました。
そうかいそうかい!それはいいことをしたね。
魚がいない川など川とは言えんからのう。
それから数日雨が降り続きました。
今から町へ行けば昼過ぎには戻れる。
畑はぬかるんでいよう。
おっかあはそれまで家にいてくれ!なんのぬかるみなんぞ!お前こそ気をつけて行ってらっしゃい。
いつものように畑に向かいました。
ところが畑に続くあぜ道は水をかぶって水路との区別もつきません。
あれ?与平の言うとおりに家にいたほうがよかったかのう?あっああ〜!濁流に飲まれた母親はそのまま川へと押し流されてしまいました。
おっかあ気がついたか?ああ…心配かけて…。
この人が連れ帰って看ててくれただ。
礼を言います。
いいえ。
お怪我がなくて何よりでした。
母親を助けたのは美しい娘でした。
何もないが飯を食べてってくだされ。
どうぞ遠慮せんとさあ!ではいただきます。
娘は身寄りがなくこの近くの知り合いを頼ってきたものの知り合いは引っ越したあとだったと話しました。
それならしばらくこの家にいなされ。
いえずっといてくださらんか?ずっと?ええず〜っと!母親は自分を助けてくれた娘がすっかり気に入ってしまったのです。
でも…。
貧乏暮らしでそれでも構わんなら…。
こうして娘は家にとどまりまもなく嫁になったのでした。
嫁となった娘は貧しい暮らしに不平を言うこともなく懸命に働きました。
洗濯物を運んでいこう。
じゃあ私が洗濯物を干しましょう。
信頼しいたわり合う穏やかな日が続きました。
1年ほど経ったある夜与平は隣の部屋から聞こえてくる物音で目が覚めました。
見ると娘が真剣な表情で縄をなっていました。
次の晩もその次の晩も娘は縄をない続けました。
そして…。
もしもし。
お話があります。
実は私は川にすむ鱒です。
川を救ってくださったあなたにお礼を言いたいと思っていました。
鱒は娘の姿となって与平の家に来たのでした。
とても楽しく暮らしてきましたがもう人間の姿でいることはできません。
そそんな…。
お役に立てばと川のほとりに縄を張っておきました。
あなたの田んぼです。
行くな!待ってくれ!待ってくれ。
行かんでくれ!ああ…。
夜が明けると与平は急いで土手にやってきました。
この広い土地を囲うためにあんなに一生懸命縄をなっていたのか。
ありがたいが石ころだらけじゃ。
ななんだ?すっかり水が引いたとき荒れ地は豊かな田んぼに変わりました。
これは…。
鱒が縄を張った田んぼは毎年豊作に恵まれ与平は長者になりこの恵みを村人と分かち合ったということです。
昔むかし南国の海辺に貧しい村がありました。
村には年に一度神様が大波に乗せて幸を届けてくれるという言い伝えがありました。
けれどももう何年も幸らしい幸が届いたことはなく村人はいつしか諦めかけていました。
達吉よもう帰るべ。
そうだな。
勘太ああれ!あっ!?船が一艘波に流され座礁したようです。
人影が見えたので達吉と勘太は急いで小船を出しました。
流れ着いた船に見えた人影は疲れ果て死にそうになっていた異人さんでした。
達吉と勘太は見つけた異人さんを庄屋の屋敷へ運びました。
異人さんはときどき起きて水を飲んだりおかゆをすすりながら三日三晩横になっていました。
異人さんが寝ている間村では船の積み荷を調べることになりました。
達吉と勘太が進んで名乗りをあげたのです。
もしも積み荷がご禁制の品物だったとき代官所に届けなければなりません。
達吉と勘太は注意深く船に乗り込みました。
(勘太)うっ!達吉何だろうこのにおいは?
(達吉)暗くて何も見えねえな奥へ行ってみるか。
そうだな。
うわぁ!うわぁ!
(2人)ぎゃあ〜!!船の積み荷はたくさんの角のあるガイコツでした。
恐ろしくなった村人たちは庄屋の屋敷に集まりました。
あの異人は邪悪な国から来たに違いない。
異人も船も燃やしちまうがいい。
そうだそれがいい。
やっちまえ!村の衆代官様が吟味をしないうちから勝手な真似はできねえぞ。
代官が来るのを待ってられるか!その前に村が滅んだらどうする?まあ待ってくれ。
異人さんがよくなったら聞いてみるからのう。
とは言ったものの異人さんが何を言っているのかさっぱりわからずこちらの言うこともまったく通じませんでした。
わかんねえ野郎だこれは何だって聞いてるのに。
ああ…。
はぁ…。
あっ!うむ…鬼か?違う違う鬼ではねえ。
モー!オウイエーイエーイエスイエスアハハ!何と言ってるんだ?これは牛の骨だと言っとるようだ。
異人さんが身振り手振りで伝えたことを絵師が聞きとり絵巻を作りました。
皆の衆異人さんは肥料を作るために牛の骨を運んでいたのじゃ。
肥料じゃと?そうじゃ。
この肥料を使うと田んぼも畑も作物がよう育つらしい。
そんなもん関係ねえ。
おらたちの村は土がやせてろくな作物が育たねえじゃねえか。
だから異人さんがこしらえてくれたこの肥料を試してみようというんじゃ。
異人さんは雪の日も雨の日も肥料をまき続けました。
田も畑も異人さん1人の手では間に合う広さではありません。
次の年が始まる頃異人さんとともに肥料をまく村人が増えてきました。
種をまき収穫も近づいた頃いつもなら枯れてしまう稲穂もたくましく育っていました。
そこには村人たちの笑顔がありました。
異人さんの肥料のおかげで村では今までにないほど質のよい米や野菜がとれるようになりました。
ん?あっ!イエーッ!村人は感謝の気持を込めて異人さんの船を再び旅に出られるよう修繕していたのです。
センキュー!センキュー!異人さんが残してくれた肥料は隣村やその隣の村でも評判となり買い求める人が絶えず村は豊かになっていきました。
村には年に一度神様が大波に乗って幸を届けてくれるという言い伝えがありました。
異人さんは神様が使わしてくれた幸せに違いないと村人たちは信じたのです。
昔むかし1人の若武者がなにか手柄を立てようと武者修行の旅に出た。
この若武者変わった男で気に入った男に出会うと一緒に旅をしようと誘った。
お〜い一緒に旅をしよう!この力持ちの男と旅をすることになった。
お〜い一緒に旅をしよう!ん?この男韋駄天といってとにかく走るのが速い。
一緒に旅をすることになった。
お〜い一緒に旅をしよう!この男は鼻吹きといって鼻息で何でも吹き飛ばしてしまう。
この男も仲間になった。
ん?お〜い何を見ているのだ?千里先のアリの行列を見ていたのだ。
ほう一緒に旅をしないか?この男千里眼といって遠くのものが見える。
この男も仲間になった。
お〜いその鉄砲で何を狙っているのだ?雲の上の鳥を狙っておる。
ほう一緒に旅をしないか?1人2人と仲間が増えていきえ〜ひぃふぅみぃよぅ…6人連れになりました。
しっかしまぁどいつもこいつもなにやらひと癖ありそうな男たち。
6人は長い旅の末とある村にやって来た。
この村田も畑も豊かに育っているのになぜか貧しそうな家ばかり。
どうしてなのか村人に聞くと村を治める館の主がそりゃもうひどいごうつくばりで何もかも年貢だといって持っていってしまうのだという。
それどころかまわりの長者やお金持ち果ては旅人まである勝負を挑んではお宝を勝ち取っているとか。
なになに?「姫と駆け比べをし勝った者には宝物をとらす」とな。
韋駄天できるか?当然だ!我々が勝ったらありったけの宝物をいただこう。
よかろう。
オーホホホッ!負ける気がしないわ。
この姫様足の速いこと速いこと。
今まで一度も負けたことがないという。
駆け比べは三里先の泉から水を汲んで持ってくるというもの。
かなり遠い距離である。
よ〜いどん!お先に!さすが噂どおり姫は速かった。
姫も速かったがこの男もっと速かった。
あだ名を韋駄天という駆け足自慢の男!イーッ!あっという間に三里先の泉で水を汲み戻る途中のこと。
ハァッハァッハァッ…。
こりゃあもう勝ったも同然。
どれひと休みと横になっているうちにいつの間にか眠っちゃった。
オホホッ!オホホッ!オホホッ!
(いびき)あの野郎居眠りしてやがる。
さぁ笠男お前の腕の見せどころだ!木の幹をみんごと射ぬき韋駄天を起こした。
ハァッハァッハァッ…。
韋駄天はもう一度泉の水を汲み全力で追いかけた。
オーホホホッ!オホホッ私の勝ちね!姫が勝ちそうになったそのとき…。
韋駄天が風のように吹き抜けた。
駆け比べに勝った。
おみごと!キーッ許せない!キーッ!力持ちが御殿にあるだけの金銀お宝をかついで館をあとにした。
ところが御殿の主諦めの悪いヤツ。
追え!やっぱり来ましたぜ。
鼻吹き出番だ。
主や姫までビューンとみんな吹き飛ばされてしまったとさ。
話もこれで吹っ飛んだ。
あぁ吹っ飛んだ。
うわぁ〜!もう年貢の取り立てもない。
これで安心して暮らせるぞ。
やった〜!ごうつくばりの館の主と姫は吹き飛ばされてどこかへ行った。
若武者と愉快な仲間の旅はこれからも続く。
2014/06/08(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「鱒の恩返し」
「異人の牛骨」
「六人の猛者」
の3本です。お楽しみに!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】湯浅康生
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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