きれいですねぇ!まるで「お花畑」。
ここどこの海だと思いますか?沖縄?オーストラリア?いいえ違います。
実はなんと東京湾なんです。
シリーズでお伝えしている東京湾。
前回は湾の北側「内湾」と呼ばれる海をご紹介しました。
砂地が広がる浅い内湾には大都会の近くにもかかわらずたくさんの生きものがたくましく暮らしていました。
今日の舞台はこちら「外湾」です。
内湾とは全く違う世界が広がっています。
お花畑に…おっと!小魚の大群が出現。
それを海のハンターが追いかけます。
外湾ではダイナミックな命の攻防が繰り広げられているんです。
更にびっくりするような超豪華ゲストも…生きものたちが集まるその訳は大自然と大都会がもたらす2つの恵みにありました。
東京湾の南側に広がる海の「お花畑」にさあ潜入です!
(テーマ音楽)外湾の中ほどに位置する千葉県鋸南です。
ここの海はとりわけ美しいことで知られています。
ほらまるで「お花畑」みたいでしょ?岩場に何やらたくさん生えています。
カラフルですね。
実はこれサンゴの仲間です。
こうしたサンゴの密集地帯は外湾のあちこちで見られます。
こちらは外湾の南の端。
千葉県館山の海です。
特にサンゴが多く種類も豊富な場所です。
潜ってみると…。
お〜きれいですね!ここが東京湾だなんて信じられますか?岩場の上には高さ1mほどのサンゴが所狭しと生えています。
砂の上にニョキッと生えたこちらのサンゴ。
色といい形といいまるでカリフラワーのようです。
こちらは高さ2m。
人と比べてもだいぶ大きいですね。
赤いサンゴもあります。
種類によって色や形が全く違うんです。
こちらは一層赤が鮮やかです。
網目のように複雑に枝分かれしています。
こちらのサンゴはその名もネジレカラマツ。
なんでこんな形になったんでしょうね。
一見何もない海底。
ここにもサンゴがいます。
ちょっと見ていて下さい。
ほらほら出てきましたよ。
ウミエラというサンゴです。
こんなふうに一日に何度も出たり入ったりしています。
まるで船の帆のように水の流れを受け止めています。
こうして流れてくるプランクトンをキャッチしているんです。
サンゴはプランクトンを捕らえて食べる動物なんです。
知ってました?でもどうやって獲物を食べているんでしょうか。
サンゴをよく見ると必ず小さな花のような部分があります。
「ポリプ」といいます。
真ん中に穴があるのが分かりますか?これが口です。
そして花びらのような部分が獲物を捕まえる触手です。
矢印の先にご注目。
ポリプが閉じました。
触手に触れたものを捕まえたんです。
今度はミミズのような生きものを捕らえました。
獲物が動いても次々にポリプが閉じて逃しません。
更に触手には強力な武器が隠されています。
顕微鏡で拡大してみると触手から糸のような物が次々と飛び出しています。
これなんと毒針なんです。
毒針の太さはわずか1,000分の1ミリ。
1つのポリプに数千本が隠されています。
針は「刺胞」と呼ばれる部分にバネのような形で格納されています。
そして獲物を感知すると一気に飛び出す仕組みです。
花のようなかれんな姿をしているのにサンゴって結構どう猛なハンターなんですね。
外湾で見られるサンゴの多くはプランクトンが少ない時などには体を縮めて休みます。
体のほとんどが水分のため水を出し入れすることで自在に伸び縮みできるんです。
いや〜なんとも不思議な生きものです。
ちょちょっと待った!何ですかヒゲじい?いやあのうさっきからサンゴサンゴって言ってますけど私が知ってるサンゴはもっと石みたいな感じなんですけどねえ。
ああヒゲじいの言うサンゴはこういうものですか?うん?あ〜そうそうそう!これですよこれ。
実はサンゴには硬いもの軟らかいものさまざまなタイプがあるんです。
へ〜そうなんですか。
ダイビングの愛好家などは硬いものを「ハードコーラル」軟らかいものを「ソフトコーラル」と呼んでいます。
一般的にハードコーラルは沖縄のような暖かい海に生息します。
一方ソフトコーラルはさまざまな温度の海で見られるんです。
へ〜だから東京湾ではソフトコーラルが見られるってことですな。
はい。
とはいえソフトコーラルも大半の種類はある程度暖かい海が好きなんです。
じゃあなんで東京湾に?はい。
東京湾の外湾には暖かい海流が流れ込んでいるからです。
フィリピン近海から日本列島に沿って北上する「黒潮」です。
これは冬の黒潮の動き。
房総半島にぶつかることで一部が外湾の中に誘い込まれます。
だから外湾は暖かいんです。
黒潮が届く外湾と届かない内湾の水温を比べると冬場はおよそ5℃も違うんですよ。
そうなんですか。
そしてもう一つ外湾にはサンゴにとっていい条件があります。
なあに?豊富なプランクトンです。
大都会に隣接する東京湾では生活排水に含まれる栄養分によってプランクトンが大発生することがあります。
あ〜はいはいはいはい。
そそうでしたよね。
こちらは植物プランクトンの密度を示した画像です。
赤や黄色はプランクトンが多い所。
北側の内湾は全体的に多いでしょ。
あ〜本当だ。
その一部は外湾に流れ出ています。
こうしたプランクトンが食べ物になることでたくさんのサンゴが育つんです。
う〜んなるほどね。
暖かくて食糧もいっぱいってことですな。
これならサンゴも外湾がい〜わん…なんてね。
プランクトンが多い場所でよく育つサンゴ。
その周りには同じようにプランクトンを食べる魚たちも集まります。
オレンジ色の体が鮮やかなキンギョハナダイ。
盛んに口を動かしています。
小さな魚たちにとってサンゴは天敵から身を守るための隠れがにもなります。
こちらの魚は体の模様までサンゴに似せて巧みに隠れています。
更に巧妙なものまねをする生きものを見つけました。
ほら何か動いています。
カニです。
サンゴの体にそっくりですね。
それもそのはず。
よ〜く見てみるとここ本物のサンゴです。
なんとカムフラージュのためにサンゴの一部を切り取って自分の体に貼り付けているんです。
迷惑な住人ですね。
おここにもカニがいます。
でもこの画面の中にはもう一匹別のものまね名人がいるんですが分かりますか?これです。
テンロクケボリガイという巻き貝です。
サンゴに隠れながら口を伸ばしてサンゴを食べちゃっています。
いやはやこれまた迷惑な住人です。
外湾の海では軟らかいサンゴのお花畑が豊かな海を支えていました。
第2章はサンゴの海に小魚の大群が出現。
それを追う海のハンター!ダイナミックな命の攻防に迫ります。
美しいサンゴの宝庫千葉県館山の海に魅せられ移り住んだ一人の男がいる。
ギョギョ!さかなクンです!東京湾のお魚を研究しています。
東京海洋大学で客員准教授を務めるさかなクン。
15年前から館山で暮らしています。
地元の漁船に乗せてもらいどんな魚がいつどれくらいとれるのかデータを集めています。
さあこの日は何がとれるんでしょうか。
わ〜大きな魚がとれました。
かなり特徴的な形ですね。
あら?また珍しい魚を見つけたようです。
さかなクンの観察によると最近東京湾で南の海の魚がよく見られるようになったそうです。
これは関東近海の水温を調べたグラフ。
この100年間上昇する傾向にあることが分かります。
さかなクンはこうした海水温の上昇によって南の魚が増えたのではないかと推測しています。
これからもデータを集め論文にまとめたいと考えています。
さかなクンの東京湾の研究どんな発見があるのか今後も注目ですね!東京湾の外湾千葉県館山の海です。
暖かな黒潮が流れ込みプランクトンが豊富な海には多くのダイバーがあこがれる生きものもやって来ます。
こちらはイトマキエイ。
大きな口で海水を飲み込みプランクトンをこしとります。
こちらもプランクトンを食べるジンベエザメ。
全長12mにもなる世界最大の魚です。
毎年7月ごろ外湾に姿を現します。
この大きな顔はマンボウ。
主食はプランクトンを食べるクラゲです。
マンボウは冬によく見られます。
とっても人なつっこいんですよ。
今回の取材中私たちはあるとんでもない生きものにも遭遇しました。
体長2m。
世界最大のウミガメオサガメです。
日本で目撃されるのはとってもまれです。
オサガメもクラゲが主食です。
食べ物を求めて東京湾にやって来たのかもしれません。
プランクトンを目当てに小さな魚たちも大群でやって来ます。
こちらはキビナゴ。
ものすごい数ですね。
プランクトンを食べているのか盛んに口を動かしています。
おや?突然群れが激しく動き始めました。
どうしたんでしょうか?大きな魚に追われています。
天敵のシマアジです。
キビナゴたちはターンを繰り返し逃げ回ります。
素早い動きでシマアジを翻弄。
どうにか追跡を諦めさせました。
でも一難去ってまた一難。
今度は若いブリが現れました。
ブリはチームプレーで襲いかかります。
全速力で追っていないのが分かりますか?これがブリの作戦です。
ある場所にキビナゴを追い込もうとしているんです。
ブリは仲間を徐々に増やしながらその目的地に向かいます。
ここがブリが目指す場所。
海底に立つ高さ1.5mほどの岩の壁です。
キビナゴを壁に追い詰めて逃げ道を奪いそこで一気に襲う作戦なんです。
あ!ブリが上から攻撃を始めました。
壁よりも低い高さにキビナゴを集めているんです。
キビナゴは海底すれすれをはうように逃げます。
いつの間にか大群となったブリは上からどんどんプレッシャーを与えていきます。
そして…襲いかかりました。
キビナゴの群れをめがけて斜め上から一斉攻撃。
まるで稲妻のような鋭さです。
口を大きく開けてひとのみにします。
キビナゴたちはひとたまりもありません。
いや〜抜群のチームワーク。
巧妙な狩りですね。
このブリの狩りにちゃっかり便乗する魚を見つけました。
画面右側にご注目。
海底にすむ魚マゴチです。
キビナゴの群れの下から襲いかかります。
マゴチは壁の前にキビナゴが追い込まれて来るのをよく知っています。
ブリの狩りが始まるとこうして壁の前に勢ぞろいして待ち伏せるんです。
ブリに便乗するのはマゴチだけではありません。
この平べったい体ヒラメです。
小魚が近づくまで我慢して…飛びつきます。
でも今回は失敗。
取り逃がしてしまいました。
豊富なプランクトンと暖かな黒潮が出会う外湾。
そこにはダイナミックな命のつながりがありました。
第3章はサンゴのお花畑で大産卵。
これまでほとんど目撃されたことのない神秘の瞬間に密着します。
さまざまな生きものが集まる東京湾の外湾。
中には意外な場所からやって来る生きものもいます。
こちらはアカグツというアンコウの仲間。
ヒレを脚のように使って海底を歩いています。
実はアカグツは深海魚。
ふだんは水深数百メートルの深い海に暮らしています。
この大きな目をした魚も深海魚。
ギンザメです。
外湾の浅い海には時々こうした深海にすむ魚たちが現れるんです。
その理由はこちら。
なんと外湾には水深1,000mの深い谷があるんです。
「東京海底谷」と呼ばれています。
海底谷の全貌は謎に包まれています。
たくさんの船が行き交う航路の真下にあるため調査が難しいんです。
東京湾の深海にはどんな世界が広がっているのか?7年前無人潜水艇を使って調査が行われました。
水深300m。
カメラの前に付けた餌にたくさんのサメが寄ってきました。
海底谷は深海にすむサメの宝庫だったんです。
今度は巨大なカニが登場。
タカアシガニです。
脚を広げると3mにもなる世界最大のカニです。
あ浅い海で目撃したギンザメも現れました。
外湾では時に深海からわき上がるような流れが起こります。
深海生物はそうした流れに運ばれて浅い海にやって来ることがあるんだそうです。
深海生物の宝庫にもなっている外湾。
都会の近くにこんな神秘的な海があるなんて。
東京湾って本当に奥深いですね。
水温が高くなる夏から秋。
繁殖の時期を迎える生きものたちがいます。
サンゴの上にいるのはオキゴンベのカップル。
大きいほうがオスです。
泳ぎだしました。
産卵の瞬間です。
赤いサンゴの上にいるのはアケウスというカニのお母さん。
あ何かを放ちました。
赤ちゃんです。
背の高いサンゴの上なら広い範囲に赤ちゃんを放てます。
10月。
サンゴも繁殖の季節を迎えていました。
ポリプが密集している付け根の部分に注目して下さい。
粒々が透けて見えます。
これサンゴの卵です。
サンゴは卵を産むんです。
ある日の明け方。
ポリプから…卵が出てきました。
ついに産卵です。
実は軟らかいサンゴの産卵はほとんど観察されたことがありません。
これはとっても貴重な映像です。
卵の直径は1mm以下。
精子を受け取ると成長を始めます。
そして岩の上などに流れ着きそこで根づくんです。
根づいたばかりのサンゴを見つけました。
こちらはウミエラの赤ちゃん。
これからどんどんプランクトンを食べて大きくなっていくことでしょう。
外湾のサンゴの成長力を示す驚きの映像があります。
ここは館山の沖合500mの海底。
魚を増やすためにコンクリートの漁礁が沈められています。
4年後。
びっしりとサンゴが根づきお花畑のようになっていました。
そしてサンゴは更にたくさんの生きものたちを呼び育んでいきます。
美しいサンゴの「お花畑」が広がる東京湾の外湾。
そこには黒潮の暖かい水と都会の栄養豊富な水が作り出す豊かな命の世界がありました。
大都会のすぐ近くに残された生きものたちの楽園。
いつまでも守り継いでいきたいですね。
2014/06/08(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「東京湾(2) 潜入!海の“お花畑”」[字]
東京湾の生きものたちに迫るシリーズの2回目は、湾の南部の“外湾”が舞台。美しいサンゴの「お花畑」が広がる海には熱帯魚が舞い、ジンベエザメなどの巨大生物も現れる。
詳細情報
番組内容
東京湾の生きものたちに迫るシリーズの2回目は、“外湾”と呼ばれる湾の南部が舞台。暖かな黒潮が流れ込む外湾には、「ここが東京湾!?」という美しい世界が広がっていた。海底は色とりどりのサンゴに覆われ、まるで“お花畑”のよう。そこに色鮮やかな魚たちが泳ぐ。圧巻はキビナゴの大群を狙うブリの巧妙な狩り!さらに、マンボウやジンベエザメなどの巨大生物も次々に登場する。知られざる東京湾の姿を紹介する。歌:平原綾香
出演者
【出演】東京海洋大学客員准教授…さかなクン,【語り】首藤奈知子,龍田直樹,豊嶋真千子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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