地球ドラマチック「“アジアゴイ”の侵入を防げ!〜北米 五大湖に迫る危機〜」 2014.06.09

今北アメリカの五大湖にある魚の脅威が迫っています。
(ドゥエーン)敵を制するにはその生態を知る事です。
五大湖への侵入を防ぐ決定的な方法はなかなか見つかりません。
(ベティ)別の地域から来た人にここで捕まえた魚を自分たちが住む地域で放流しないよう忠告しています。
問題の魚は通称「アジアゴイ」。
アジアから北アメリカに持ち込まれたコイの仲間です。
現状を多くの人に知ってもらう必要があります。
アジアゴイの五大湖への侵入を阻止する事はできるのでしょうか。
アメリカとカナダの間に広がる5つの湖「五大湖」。
その生態系が大きな危機に直面しています。
(ベッキー)アジアゴイは五大湖のすぐ近くまで迫っています。
現在の生態系を守るためには事前に対策を講じ五大湖に住み着くのを阻止しなくてはなりません。
五大湖と周辺の川に生息する多くの動植物が外来魚であるコイの仲間の脅威に直面しています。
(ジョエル)五大湖はさまざまな危機に直面しています。
特に大きな危機はアジアゴイの侵入です。
うまく対処できなければ生態系が根底から覆されてしまうかもしれません。
カナダのバーリントンにある水産海洋省では生物学者のベッキー・カドモアが対策に取り組んでいます。
アジアゴイは研究対象としては魅力的ですがカナダにいてほしくはありません。
ミシシッピ川の流域に生息するアジアゴイを見た時そう思いました。
数の多さ体の大きさ荒々しい跳びはね方…全てにゾッとしました。
ミシシッピ川流域で捕獲される魚の9割がアジアゴイです。
もともと生息していた魚を圧倒しています。
もし外来のコイの仲間が五大湖に侵入すれば絶好の住みかになるでしょう。
(ベッキー)五大湖はアジアゴイが住み着き産卵するにはうってつけの場所です。
ミシガン湖を除く4つの湖はカナダの多くの河川とつながっています。
だからアジアゴイが五大湖に迫っている現状には危機感を抱いています。
悲惨な結末が予想できるからです。
五大湖はカナダとアメリカの間にありますから両国の協力が欠かせません。
アメリカのシカゴでは五大湖の環境保全に携わる団体がアジア原産のコイ科の魚の侵入を警戒しています。
20世紀に入ってからカワホトトギスガイなどの外来生物が五大湖に侵入し湖の生態系を破壊しました。
今新たな脅威になっているのがアジアゴイです。
五大湖の一つミシガン湖は現在シカゴの南でミシシッピ川の支流イリノイ川と運河でつながっています。
この運河は19世紀に造られたものです。
(ジョエル)シカゴに人が住み始めるまでは五大湖の水とミシシッピ川の水は別方向に流れていました。
流れ込む水が違うので湖と川では生息する生物も異なっていました。
シカゴが大都市として発展するとミシガン湖は汚染にさらされました。
人々はミシガン湖とイリノイ川を結ぶ運河を建設しミシガン湖の汚染物質が川に流れ出ていくようにしました。
しかしそれは五大湖に新たな危険をもたらしました。
北アメリカ最大の川であるミシシッピ川と最大の湖である五大湖がつながった事でこれまでにない生物の行き来が始まり従来の生態系が崩れ始めたんです。
北アメリカ中心部の主な川と湖がつながった事で外来生物の侵入が新たな問題となりました。
例えばカワホトトギスガイは僅か25年でカナダのセントローレンス湾からメキシコ湾に到達しました。
(ジョエル)五大湖とミシシッピ川を幅30mほどの運河でつなげばさまざまな生物が侵入し従来の環境は破壊されます。
そのような状況を人間がつくってしまったんです。
今運河を利用して五大湖に侵入するおそれがあるのが外来のコイの仲間です。
そもそもアジア原産の淡水魚がなぜ北アメリカで繁殖するようになったのでしょうか。
(ジョエル)アジアゴイの中には水中の藻を食べるものがいるので養殖場をきれいに保つためアメリカに輸入されました。
それが逃げ出してミシシッピ川の下流で増え始めたんです。
1990年代の初めミシシッピ川流域で洪水が続きコイの仲間が何千匹も養殖場から逃げ出しました。
(ジョエル)私たちは20年以上アジアゴイの侵入に注意を払ってきました。
アジアゴイは今ミシガン湖に迫っています。
ミズーリ州のコロンビアではアメリカ地質調査所の担当チームがこの問題に取り組んでいます。
生物学者のドゥエーン・チャップマンはコイ科魚類の専門家です。
(ドゥエーン)アジアゴイに産卵させるプロジェクトを進めています。
そのためにメスを捕獲しに来ました。
この問題を解決するためにはアジアゴイの生態を知らなくてはなりません。
まずは敵を知る事です。
驚くべき生物なので少しでも詳しく知りたいと研究を続けています。
(ドゥエーン)もっと水をくれ。
アジア原産のコイ科の魚のうち5つの種が現在北アメリカに侵入しています。
コイは雑食性で1800年代に持ち込まれて繁殖しました。
ソウギョは植物を大量に食べます。
アオウオは貝などの軟体動物をかみ砕いて食べます。
今最も問題になっているのはコクレンとハクレンの2種です。
一日に体重の20%にあたるプランクトンを食べ体重50kgになるものもいます。
ハクレンは刺激に敏感で驚くと水面から勢いよく跳び上がるため危険です。
ハクレンは少しでも刺激を受けると驚いて跳び上がります。
とても高く跳ぶ事ができます。
1匹が跳び上がると別の魚がそれに驚いて跳び上がり近くにいるハクレンがみんなジャンプを始め手が付けられない状態になります。
大きな魚ですからボートなどが居合わせたら危険です。
(ドゥエーン)ハクレンは適応力が高い生物で新しい環境にうまく適応しています。
特に際立っているのは強い繁殖力です。
今日取れた魚は1匹を除いて全部外来魚でした。
見て下さい。
網で1回すくっただけでアジアゴイの稚魚がおよそ3,000匹取れました。
こちらが元からいる魚の稚魚です。
同じ網を使いましたが取れたのは100匹程度。
アジアゴイが繁殖力の面でいかに優れているかが分かるでしょう。
この大きさなら毎年少なくとも25万個の卵を産みます。
外来のコイの仲間は繁殖力が強い上に寿命も数十年と長いので今後ますます数が増えていくものと見られています。
コイの仲間は毎日多くの食料を食べます。
ハクレンの場合は主に水中の植物性プランクトンです。
これはハクレンのえらの一部で「鰓耙」と呼ばれる器官です。
赤い部分で呼吸し見えにくい内側の部分で食料となる小さなプランクトンを集めます。
これは「咽頭歯」と呼ばれる器官で歯のようなものです。
対になった咽頭歯をこすり合わせる事でプランクトンをすり潰します。
ハクレンには胃袋はありませんがとても長い腸がおなかにぎっしりと詰まっているでしょ?この魚は健康だったようです。
白い部分は脂肪。
腸が緑色に見えるのは食料である中型の植物性プランクトンのせいです。
腹いっぱい食べたようですね。
体調が良ければハクレンは一日に自分の体重の20%を超える食料を食べます。
大量のプランクトンです。
川ではプランクトンとさまざまな大きさの魚が食物連鎖を構成しています。
そこに外来魚であるハクレンが侵入し中型のプランクトンを大量に食べてしまうと食物連鎖のバランスが崩れてしまいます。
小さなプランクトンばかりが増え始め水は濁ります。
水の透明度は落ち生物の多様性も失われます。
(ドゥエーン)最後には水は濃い緑色になり魚が食べられるものは無くなります。
サケ科の魚は食べるものを失って数が減少します。
外来のコイ科の魚は新たな食料を求めて移動を続けています。
次第に北上し間もなく五大湖に到達しようとしているのです。
コイ科の魚が五大湖に侵入する入り口はシカゴにある運河だと予想されています。
そこで浮かび上がってきたアイデアが「運河の閉鎖」です。
(ジョエル)運河を閉鎖してミシシッピ川と五大湖の水の流れを断ち切ってしまう。
実にシンプルな発想です。
運河はもともと自然な水の流れに反して造られたものですからね。
計画ではミシシッピ川とミシガン湖の間に障壁を造って運河を分断し侵入を防ぎます。
船で運ばれた貨物はクレーンでつり上げて反対側の船に渡されますが効率が悪い上に完成前にコイの仲間が侵入してしまう可能性もあり物議を醸しています。
多くの艀舟が運河を行き来し石油石炭穀物鉄鋼など年間6億tを超える積み荷を運んでいます。
運河の閉鎖が決まれば船舶業界にも影響が出ます。
この計画が持ち出された当初船舶業界に及ぶ影響は無視されていました。
業界全体で艀舟は1万5,000小型船は4,000から5,000あり労働者は数十万人に上ります。
外来生物の侵入が重大な問題である事は分かっています。
しかし運河の閉鎖というのがそれを解決するための最適な手段なんでしょうか?現在大量の物資が運河で運ばれていますがそれを他の輸送手段に切り替えるための準備ができているとは思えません。
運河が閉鎖されればアメリカの経済全体にも影響が出ます。
艀舟は900kgを超える荷物を運ぶのに4の燃料しか使いません。
物資の長距離輸送において艀舟はとても経済的で環境にも優しい手段なのです。
(デルバート)大量の貨物輸送を別の手段に置き換えるとなれば必然的にコストは跳ね上がります。
現実的に考えてみて下さい。
生産者にとっても消費者にとっても困った事態になる事が分かるでしょう。
誰だって五大湖の環境を守りたいと思っています。
でもそのために経済を犠牲にしても構わないとは思いません。
経済と環境保護を両立させどちらも得をする道を探るべきです。
運河は今もミシシッピ川と五大湖をつないで流れ続けています。
(ジョエル)アジアゴイの侵入経路はいくつか考えられます。
しかし最も危険性が高いのが運河である事は間違いありません。
コイ科の魚が五大湖に侵入するのを防ぐのは容易な事ではありません。
しかし科学者と軍が協力し新たな手段を編み出そうとしています。
(船長)こちらはウィンディ・シティ号。
今から防魚バリアー内に入ります。
ミシガン湖の南50kmの地点でアメリカ陸軍工兵隊が一日24時間コイの仲間の侵入を監視しています。
アジアゴイが五大湖に迫っているのはとても深刻な問題です。
私たちは科学と工学の粋を尽くして確実に効果のある撃退方法を開発しているところです。
ここでは「防魚バリアー」と呼ばれる電気を使った撃退方法が開発されています。
(ジム)防魚バリアーは運河の底に設置された電極から衝撃電流を放つ装置でいわば電気フェンスのようなものです。
水に手を入れると感電するので気をつけて下さい。
電極は3か所に設置されていてそれぞれ異なる強さの衝撃電流を出します。
最初は弱い電流ですがほとんどの魚は不快感を覚えて引き返します。
2番目はもっと強い電流で追い払います。
3番目は更に強く衝撃で動けなくなった魚は流れに押し戻されます。
問題はコイの仲間が艀舟に紛れ込んで防魚バリアーをすり抜けてしまう事です。
その可能性を調べるため無線発信機を取り付けて魚の動きを追う実験をしています。
(ジム)イリノイ川の流域から運河までの各所に探知機が設置されていて魚の動きを追跡する事ができます。
今のところ全ての魚を撃退したという結果が出ています。
電気ショックで撃退する方法は今のところうまくいっていますが多くの魚がやって来た時も効果を発揮するかどうかは分かりません。
コイ科の魚との闘いで重要なのは生態を知る事です。
もともと生息している魚とアジア原産のコイ科の魚との数を比較するためイリノイ州の河川で調査が行われています。
コイ科の魚は巧みに網をすり抜けるためなかなか捕まえる事ができません。
生物学者のネリッサ・マイケルズは数を把握するのにいつも苦労しています。
調査の際は水中に強い電流を流して捕らえる方法を採用しています。
河川1kmにつきハクレンの成魚がおよそ4,000匹見つかりました。
重量に換算するとおよそ8tになります。
(ネリッサ)プランクトンが豊富な川ですからアジアゴイにとっては食べ放題のレストランにいるようなものです。
数が増えていくのも当然でしょう。
今後どうなるかは分かりません。
外来魚の行動は独特でどこに侵入するかによって状況も変わるからです。
確実なのは五大湖に侵入されたら大変な事態になるという事です。
ここまで数が増えると完全に駆除する事は不可能です。
科学者たちはコイ科の魚の行動をコントロールする方法を見いだして少しでも数を減らす事を目指しています。
コイの仲間のハクレンやコクレンは音や振動にとても敏感です。
水面で跳ね上がる行動の原因にもなっています。
(マーク)「水中銃プロジェクト」の目的はコイの仲間の行動を変えるのに必要な最低限の音圧を探る事です。
実験用の池でハクレンとコクレンの調査をします。
池の中で水中銃を発射して反応を見るんです。
小型の水中銃にパイプをつなげ池の中に沈めます。
銃といっても発射するのは高圧の空気です。
発射された空気は下に向かって急速に広がり水中に衝撃波が伝わります。
それによって音が魚の行動に与える影響を観察するんです。
ハクレンやコクレンを撃退するのに必要な音圧が分かれば小さな水中銃によって産卵に適した場所から追い払い数を減らす事ができるかもしれません。
(マーク)ハクレンもコクレンも水中の振動に敏感ですから水中銃から出る音にかなり反応すると思います。
科学者がさまざまな撃退法を探る中もっとシンプルな方法で数を減らそうとしている人たちもいます。
イリノイ州のバースで開かれている「レッドネック・フィッシング・トーナメント」は競技の形をとったコイ科の魚の捕獲作戦です。
(ベティ)アジアゴイを見かけるようになったのは10年ほど前からです。
8年前ボートに乗っていた時水面を跳びはねるたくさんのコイに遭遇しました。
28匹ものコイがボートに打ち上げられて沈没しそうになりました。
その日から私たちはアジアゴイに宣戦布告したんです。
ベティ・デフォードはコイ科の魚の捕獲大会であるレッドネック・フィッシング・トーナメントを主催するようになりました。
目的は昔のように安全な舟遊びができる川を取り戻す事です。
住民はこの川で子供たちに釣りを教え泳ぎ楽しい時間を過ごしてきました。
あんな大きな魚が跳びはねていたら危険で小さな子供を連れてくる事はできません。
(ベティ)大会の目的は安全な川を取り戻す事です。
今回は1万匹が捕獲されました。
出場者1人につき100匹を取った計算です。
コイ科の魚がそれほどたくさん川にいるという事です。
(ベティ)大会に来た人たちには私たちが直面している危機を多くの人に広めてもらいたいと思っています。
これ以上アジアゴイが増えるのを今すぐに阻止しなくてはなりません。
捕獲大会だけでコイ科の魚の増加を食い止める事はできません。
より科学的に数を減らす方法が考案されています。
膨大な数となったアジア原産のコイ科の魚。
政府機関の科学者たちは薬品を使って駆除する研究を進めています。
(マーク)特殊な薬品を広い水域にまけば今いるアジアゴイの全てとは言いませんが大半は死ぬはずです。
コイ科の魚の生理機能を研究する事でコイだけを殺す特殊な薬品の開発が進められています。
水中で使っても他の魚には害を与えずハクレンやコクレンだけに作用する薬品を開発するのが目標です。
ハクレンとコクレンの特徴は大きく発達した鰓耙です。
この特徴を弱点としてつくような方法を研究しています。
今試験段階にあるのは極めて小さな粒子で他の魚のエラをすり抜けハクレンやコクレンのエラだけに引っ掛かるよう作られています。
この薬をうまく利用すれば数を減らす事ができるかもしれません。
駆除に利用できるものとしてはウイルスバクテリアワクチンなども考えられます。
ハクレンやコクレンの競争力を弱めダメージを与えられるものなら何でも採用するつもりです。
しかし多くの死骸が川を汚染すれば他の生物に思いがけない影響が出るかもしれません。
(マーク)薬を川にまいてもやがて水中で効力を失ってしまうので効果的な使い方には工夫が必要です。
ハクレンの数を減らし北アメリカの自然と調和できるようになるまで研究を続けていきます。
薬品の使用よりも環境への影響が少ない方法を研究している人たちもいます。
コイの仲間は繁殖力が強く食欲も旺盛です。
その食欲を利用して行動をコントロールする方法が考えられています。
コイの仲間がどんな食料に強く反応するかを実験しているところです。
目的は水槽の一方からもう一方にアジアゴイを移動させる事です。
アジアゴイを中に入れて水槽の両側から水を流し入れ中央から水が外に出ていくようにします。
45分から1時間この環境に慣れさせたあと食料で刺激を与えます。
誘引食料は小さな藻類を濃縮したものです。
(ロビン)食料が入れられたあとのアジアゴイの反応を見てみます。
水の流れをものともせず食料のある場所に集まってきて勢いよく食べ始めるのを期待しています。
ずっと食料のある側にいてもらいたいものです。
どう?モニター上で魚の進路がそれぞれ異なった色で示されています。
魅力的な食べ物がコイ科の魚の行動に劇的な変化を及ぼしている事が判明しました。
(ロビン)予想どおりね。
まだ予備実験の段階だけどすごくいい反応をしてる。
誘引食料が最長1時間にわたって効果をあげた例が複数ありました。
アジアゴイが誘引食料に反応する事は確かです。
この性質を利用すれば行動をコントロールできると思います。
コイ科の魚の行動をコントロールし増加を防ぐ絶対的な方法はありません。
しかしここで実験されている誘引食料に音波を出す水中銃特殊な薬品などを組み合わせて使えば一定の効果があると科学者は期待しています。
(ベッキー)エリー湖はアジアゴイに最も適した湖だと見られています。
カナダ水産海洋省の科学顧問ベッキー・カドモアは五大湖への侵入を警戒しさまざまな対策を講じています。
カナダ水産海洋省は新たな作戦を展開しています。
アジアゴイの侵入阻止に焦点を当て監視所を設ける予定です。
大切なのはアジアゴイの動きをいち早く察知する事です。
ミシシッピ川と五大湖がつながっている地点はたくさんあります。
コイ科の魚の侵入経路として最も危険性が高いのはミシガン湖へとつながるシカゴの運河です。
一度侵入したら他の湖にもすぐ広がっていくでしょう。
(ベッキー)特にエリー湖は水深が浅く水温が高く食料が豊富なので繁殖に適しています。
最近エリー湖ではハクレンやコクレンの好物である藻類が増加しています。
数匹でも侵入を許せば一挙に数を増やす可能性があるため警戒感が高まっています。
(ベッキー)同じ水域にオスとメスが10匹ずついればすぐに爆発的に数が増えます。
五大湖は広大ですが産卵に適した場所は決まっているのでそこでオスとメスが出会えるからです。
やがてたくさんの稚魚が生まれます。
(ベッキー)アジアゴイはすぐに大きくなって他の魚に食べられなくなります。
それで一挙に数が増えるんです。
コイの仲間は環境への適応力が高くプランクトンが減少しても意外なところから食料を得る事が分かっています。
五大湖に侵入した外来生物カワホトトギスガイです。
湖底に堆積したカワホトトギスガイの排泄物を食料にするのです。
(ベッキー)カワホトトギスガイの排泄物を食べるなら五大湖に侵入したら大繁殖は間違いないでしょう。
もう一つの際立った適応力は数が少ない場合異種交配をする事です。
例えば種の違うハクレンとコクレンの間でも交配して子供をつくる事ができるため急速に数を増やす事ができます。
(ベッキー)ハクレンやコクレンはとても賢い魚です。
泳ぎがうまく網にかからず生き延びるためなら何でも食べます。
見くびってはいけません。
今は五大湖への侵入を警戒していますが実はカナダ全体が危険にさらされています。
ハクレンやコクレンはロシアにも生息しています。
水温の低いカナダ北部でも問題なく生きられるはずです。
ハクレンやコクレンが五大湖に侵入した場合生息地はその後20〜30年以内に北緯60度まで広がり地球温暖化が進めば更に北まで広がる可能性もあると予測されています。
カナダ政府はアジア原産のコイ科の魚の侵入阻止に国を挙げて取り組んでいます。
このままでは漁場も生態系もまるで変わってしまうでしょう。
そんな事態を食い止めなくてはなりません。
水温は3℃。
コイの仲間が既に五大湖に侵入している可能性もあります。
姿が見えなくても水中からコイの仲間のDNAが見つかれば侵入の有力な証拠になるため調査が続けられています。
しかしDNAが見つかっても100%確実とは言えません。
DNAが見つかったとしても生物そのものがいるとは断言できません。
何らかの理由でDNAが別の場所からもたらされた可能性もあるからです。
DNAは鳥のフンや釣りの道具運河を航行する艀舟などに付着して運ばれる場合もあります。
(ベッキー)アジアゴイが侵入したと断言できるのは見つかったDNAが何かに付着して紛れ込んだものではなく生きたアジアゴイのものに間違いないと証明できた場合に限られます。
(ベッキー)早めに侵入を察知できれば五大湖からアジアゴイを一掃できる可能性が高くなります。
アジア原産のコイの仲間が五大湖に住み着く事を阻止するためカナダの人々は終わりの見えない闘いを続けています。
ミシシッピ川の流域は既に荒らされています。
同じ事が五大湖でも起きれば被害は更に甚大なものになるでしょう。
五大湖への侵入路として最も可能性が高いのは運河ですが他にも警戒すべきルートがあります。
生きたコイ科の魚が誤って五大湖に放流されてしまう危険性があるのです。
そのような事故を防ぐためカナダオンタリオ州天然資源省の検査官たちが活動しています。
外来生物の購入や販売所有状況を監視しています。
生きているものには特に注意を払います。
淡水性の魚類などが入ってくれば必ず立ち入り検査をし書類もチェックします。
今日の出荷は?
(アンディ)かなりたくさん出ますね。
週末に備えた仕入れが多いんですよ。
(リック)アジアゴイのうち購入販売飼育が禁じられているのは4種です。
卸売業者や食品販売業者に協力を求めています。
(リック)そこの魚は?それはストライプドバスという淡水魚です。
(リック)確認させて下さい。
すくいますよ。
(リック)卸売業者も食料品店や飲食店も法律をきちんと理解し守ってくれています。
みんなとても協力的です。
しかし生けすなどにいた外来のコイ科の魚が何らかの理由で逃げ出したり生きた魚が下水に捨てられる可能性もあります。
数匹が湖に入っただけで繁殖するおそれがあります。
(リック)生きたアジアゴイが店に持ち込まれた場合その業者が法律を破り生きたまま売ってしまう可能性も無いとは言えません。
常に危険は付きまといます。
ですから検査は欠かせませんが2009年以降この地域の店で違反は見つかっていません。
2012年にはアメリカからアジアゴイを運び込もうとした者が捕まりましたし違法行為はゼロではありません。
しかし2005年ごろに比べるとだいぶ減っています。
現在カナダの多くの州ではアジア原産のコイ科の魚は売買や輸送が法律で禁止されています。
アジア原産のコイ科の魚が我が物顔に振る舞うイリノイ川沿いの町である解決法が検討されています。
イリノイ州ピオリアには貧困層を支援するための組織があります。
この辺りは不況のあおりを真っ先に受ける貧困層が非常に多い地域です。
貧困層への支援策として検討されているのが1km先の川にあふれているコイ科の魚を食料にする事です。
アジアゴイを確実に手に入れ供給する方法を探っています。
何千人分もの食料になるでしょう。
(クリス)私たちの活動は寄付に頼っていますから資金は決して十分とは言えません。
食材として利用できるものなら是非利用したいですね。
ナイフを深く入れて。
(クリス)コイはとても骨が多く調理するのは簡単ではありません。
ですから多くの人に食べてもらうためにはすぐ料理に使えるような加工処理をする必要があります。
大変だろ?下ごしらえに手間がかかるんだ。
でもとてもおいしい料理が出来るよ。
ピオリアの北西にある町フルトンではコイ科の魚の漁と加工が商業的に行われています。
外来魚によって伝統的な漁業が打撃を受ける中地元の水産加工会社が逆境を逆手に取ったのです。
安いたんぱく源が求められている中有り余るほどいるアジアゴイを無駄にする手はありませんよ。
北アメリカではなじみの薄いコイ科の魚を多くの人に食べてもらうためサラミホットドッグジャーキーなどの加工食品が開発されました。
(スティーヴン)一番人気はゲフィルテ・フィッシュという肉だんごのようなもの。
魚肉ハンバーグも人気上昇中です。
アジアゴイは多くの人にとって貴重な栄養源となるでしょう。
産業として確立すれば雇用の促進にもつながります。
北アメリカでアジア原産のコイ科の魚を食料として広めるためには積極的にPRする必要があります。
本当に宣伝のしがいがある魚です。
名前を伏せてアジアゴイを食べてもらい後で正体を明かすとみんなびっくりします。
カニのすり身かスズキだと思う人が多いようです。
おいしいと好評ですよ。
まさかアジアゴイ?ご名答。
(フィリップ)アジアゴイが嫌われ者ではなく食料源として扱われるようになれば社会的にも大きな変化が生まれるでしょう。
アジアゴイが安く簡単に手に入る食べ物になり貧困層を助ける役割を果たす事を願っています。
環境を破壊するやっかい者に見られていたコイの仲間が豊かな自然の恵みに変わるかもしれません。
そもそもコイの仲間は自ら北アメリカにやって来たわけではなく人間によってアジアから持ち込まれたのです。
(ドゥエーン)アジアゴイ自体は悪質な魚ではありません。
違う環境に移されたせいで摩擦が起きているだけです。
環境を破壊した元凶は人間なんです。
適応力に優れたコイの仲間は今も北アメリカで増え続けています。
さまざまな対策が考えられていますが多くは莫大な費用がかかります。
(ジョエル)外来生物が迫っています。
しかし解決法がないわけではありません。
それを活用して大切な五大湖を守るべきです。
パニックに陥る必要はありませんが多くの人に関心を持ってほしいと思います。
(ベティ)五大湖の周辺に住む皆さんがアジアゴイの侵入を食い止めるためにどんな対策を立てているのかは知りません。
何か手だてがあるなら何としてでも食い止めてほしいと思います。
今すぐに行動すべきです。
アジアゴイは優れた生物です。
ただ住むべき場所は北アメリカではないという事です。
2014/06/09(月) 00:00〜00:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「“アジアゴイ”の侵入を防げ!〜北米 五大湖に迫る危機〜」[二][字][再]

北米で、アジアゴイと呼ばれる外来のコイの仲間が急増。川の生態系を破壊しながら五大湖に迫っている。様々な手法で駆除を試みるが決め手はない。五大湖の環境を守れるか?

詳細情報
番組内容
大量のプランクトンを食べ、体重50キロになることもあるアジアゴイ。繁殖力が強く、またたく間に数が増える。北米に輸入され養殖場で飼われていたものが洪水で逃げ出しミシシッピ川を中心に大繁殖。在来の魚がほとんどいなくなった流域も…。五大湖に侵入すれば生態系が破壊されてしまう。侵入を防ごうと音で脅す水中銃や微電流を放つフェンスなどの開発が進められている。さらに市民参加の秘策も始まった!(2013年カナダ)
出演者
【語り】渡辺徹

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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英語
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