NNNドキュメント「街角の凶器 樹木に潜む危険」 2014.06.09

春夏秋冬
街の景観に潤いを与え私達の心を癒やしてくれる樹木
凛とたたずむこの2本のポプラも50年近く市民に親しまれて来ました
一躍人気となったのはフクロウが巣を作ってから
そのポプラが突如凶器に変わりました
今年3月広島県三原市
倒れた木が女性を直撃
1人が死亡1人が重傷を負いました
明らかになったのは管理の甘さ
(作田さん)樹木医にお願いして定期的に検査をするということはしていないと…。
・キャ〜!・
手入れのされない樹木が各地で悲鳴を上げています
(村上さん)街路樹にとってはかなり厳しい環境が今続いていますから…。
街に普及して半世紀
樹木に潜む危険を検証します

(平谷さん)はいはいお世話になります…。
三原市で自動車販売店を営む…
長年寄り添った大切な人はもういません
経理を担当していた…
一昨年生まれた初孫の成長を楽しみにしていました
この施設で開かれるイベントに向かう途中ポプラの大木が音もなく倒れ昌子さんと友人の女性を直撃したのです
高さ16mの木は根こそぎ倒れ木の枝が壁を支点にむち打ったといいます
骨折された方が横になってらしてその方の左足を枕にしたような状態で鼻血を出しながら寝てらっしゃいました。
先に会場にいた佳三さんはすぐに駆け付けました
あの思い出すとあれですけど…。
まぁ…血が出てたからね血が…。
ハンカチであの…ハンカチを当てるぐらいのことしか…。
まぁ「頑張れよ」とね「頑張れよ頑張れよ」とハンカチでうん…。
それぐらいしかできなかったですけどね。
昌子さんは意識を取り戻すことなく4日後息を引き取りました
去年の夏も緑の葉をつけたポプラ
なぜ根元から倒れたのか?
樹木医が調べました
根がもう死んで腐っててついたまま幹だけが倒れたと…。
・根は下に?・根は下にあるんですけどもそれは死んでる根のほうが多い。
だからまぁ自分を支えることができないんで倒れたっていうことだと思います。
専門家が外から見てっていう件ですけども表に出て来る病状や表情があれば目視で分かりますけども今回のはかなり難しかったと思います実際のところ…。
調査の結果根の傷から菌が侵入していたことが分かりました
菌は根だけではなく幹も腐らせ一部はスポンジ状になっていました

ポプラの特徴について別の樹木医はこう話します
成長はすごく早い木でですね結構昔学校とかですね植えること多かったんですけど。
まぁ成長が早い分ちょっと弱いからですね倒れたり折れたりしやすい木ですね。
根が浅く風に弱いポプラ
特に舗装された道路の下では根を伸ばしにくいため十分な点検が必要です
しかし事故が起きた三原市の施設では…
樹木医にお願いして定期的に検査をするということはしていないと思います。
限られた予算の中で安全対策の決定打を見いだせない三原市
結局敷地内に残るもう1本も伐採しました
この木も幹の一部が腐っていました
わしらが中学生ぐらい…40年ぐらい前ですか。
その時もこの木もあったからね。
まぁ寂しいですけどね。
まぁこういったことになってしもうとるので。
しょうがないですね。
広島市中心部を東西に貫く…
道の幅から「100m道路」とも呼ばれます
4kmにわたって180種類2000本以上の街路樹が植えられています
(六重部さん)ネムノキ。
これネムノキです。
これも平和通りに1本あるだけなんです。
長年その変化を観察して来ました
昭和30年代に植えたもんじゃからすでに50年60年経っとるわけですよね。
だからもうそろそろみんな年寄りなんですよ全部ね。
原爆の投下で…
…といわれた広島
「焼け野原に緑を」と国内ばかりか海外からも多くの樹木が寄せられやがて平和大通りは復興の象徴になりました
ところが…
平和大通り『土谷病院』の前です。
大きな木が根こそぎ倒れました。
この倒れた木は…車の上に覆いかぶさりぺしゃんこになっています。
2004年広島県を襲った台風23号
そこには無残な車の姿が
さらに…
(警笛)
次々に倒れるヒマラヤスギ
枝が密集し風の影響を受けやすかったことが原因と見られています
枝を剪定していれば防げたかもしれません
この倒木事故から10年
手入れのされないままの樹木に今新たな問題が起きています
この幹がもう半分枯れとるねっ。
キノコ生えとるじゃろ?生の木にはキノコ生えんからね。
表面に生えたキノコは最終警告
すでに幹が空洞化していることが多いといいます
「平和大通り樹の会」の調べではこの30年で33種類もの樹木が伐採され姿を消しました
やっぱり減るとね寂しいよね。
後がこのままなっとると特にね。
これを撤去してからまた他の木を植えてあれば何となくほのぼのとした感じがするけどもね。
このままじゃちょっと寂しいよね。
…で1本の大木が伐採されました
マンションの目の前にある樹齢70年以上のケヤキです
広島市は2年前から「危ない木」として把握していましたが経過を見るにとどまっていました
しかし中を覗くと…
三原市の事故を知った住民が近所にあったこの木の異常に気が付き不安に感じ通報したのです
伐採業者も驚くほど空洞が広がっていました
根元は8割が腐り残りわずかな部分が大木を支えていました
・こんだけで何とか生きて…・・そうですそうです・・よう頑張ったんじゃな・
三原市の事故からおよそ1か月後
また悲劇は繰り返されました
神奈川県川崎市のショッピングセンター
6歳の女の子はピアノ教室に向かう途中でした
重さ20kgのケヤキの枝はおよそ6.5mの高さから落下し女の子は大ケガをしました
このケヤキこの高い背丈の木については目視のみの点検でございまして。
35年ほど前に植えられたこの木も枝は枯れ中は空洞になっていました
相次ぐ倒木事故
高度経済成長期に整備された街路樹は今手入れが必要な時期に差しかかっています
(小林さん)戦後の復興の中でですね経済成長とともに植えられて来ましたけれども特に東京オリンピック1964年に開催されましてそれに合わせて多くの道路や公園が出来る時に街路樹あるいは公園木が植えられたとそういうケースが多いですね。
全国有数の街路樹を誇る東京都
その数84万本
明治神宮まで1km続く表参道にはおよそ160本のケヤキがあります
東京都は資格を持つ専門家に樹木の診断を委託しています
年間3000本以上を診断するベテラン樹木医の多田亨さん
(多田さん)一応あのこういった…。
この辺に他にも…。
(多田さん)今たたいてこんな音なんですけれども空洞の場合もう少しボンボンというようなえ〜鈍い音に変わります。
東京都では台風12号の影響で街路樹が倒れるなどの被害が出ました
これを機に一般の職員が点検を行う体制を見直したのです
「街路樹診断マニュアル」
166ページにわたって診断の項目や判断基準が細かく規定されています
これを基に樹木医は診断の結果をカルテに書き込み安全度を4段階で評価
危険と判断すれば伐採するなどの対策を取ります
人間の五感で判断できない時には幹の内部の圧力を測ります
数値が低い部分は腐っていたり空洞が広がっていることを表します
(多田さん)白く変色している部分ですね。
これは非常に…。
ず〜っと真っすぐ行って走っている所はこれ完全な…。
そしてまたここにぶつかってですね低い波がず〜っと続いております。
中心部分の空洞だけではなくその周囲も腐っていることが分かりました
東京都は今年度街路樹の…
…を充てました
しかし専門家が診断しこれだけの予算をつぎ込める自治体はごくわずかです
例えば広島県が街路樹に使えるのはおよそ1億7000万円
その全てが枝を切る剪定作業の費用です
伐採や診断は道路の修繕費など別の予算からやりくりしているのが現状です
そんな中新たな発想で街路樹を守る街があります
年間5000万人の観光客が訪れる京都
街中に溶け込んだ緑が古都の景観に風情を与えます
月に2度週末の住宅街に集まるグループがあります
彼らは「街路樹サポーター」
京都市が8年前から始めた取り組みです
市は清掃道具を支給し万一の事故に備えた保険料を負担
一方サポーターは…
街路樹の枯れ枝が発生したとか病害虫が発生したというそういう街路樹の異常についてですね情報提供いただくことによりまして京都市としても早めの対応ができます。
まぁそういうことでサポーターの皆様と共にですね街路樹を育成管理して行くということが京都市のメリットではないかというふうに考えております。
(記者)こういう活動されてて木の異変って気付くことありますか?ありますよ。
もうこれ樹齢がやっぱりもう35年以上経ってますからね。
あの中に虫ついて中に穴が開いて。
外見では分からんけど連絡して切ってもらうと。
ここだけでももう4本ほど伐採してますね。
毎日のように木を目にする住民だからこそわずかな異変にも気付くことができるのです
行政では手が回らんと思いますね。
そりゃやっぱり住民が理解を持ってね。
あの木を大切にしていかんと。
「緑の多い街」って口では言えるけどねそれを守って行くっていうことは行政だけではやっぱり…難しいと思いますね。
広島県の自治体が対策に乗り出しました
木を揺らし木づちで中が空洞になっているかを確認
しかし一般の職員による点検には限界があります
(福島さん)この辺もあんまようないですね。
う〜んまぁホンマに専門家の人であれば中の木を抜いてまぁ部分的に抜いてくりぬいてっていうことも機械でできるんでしょうけどそういう機械ないので目視が中心にはなって来るんですけど。
危ない木はもう切って安全確保第一優先なんでっていう判断はありますけど。
広島県にある23の市や町のうち今年緊急点検をしたのは18の自治体
その結果東広島市で68本呉市で59本など205本に倒木の危険があると分かりました
事故のあった三原市では危険な49本を伐採
より詳しい検査が必要な木にはテープを巻き今後対策を取ることにしています
「景観と安全の両立」には何が必要か?
専門家は地表に張り出した根を保護したり道路の下に伸びた根にも水が染み込みやすいアスファルトを使うなど環境を整える必要があるといいます
今まではあまりにもこう人間本位でやって来てますから少しは樹木本位でも考えてやらないとですね。
手を加えて行って今ある既存の街路樹をより生活しやすい環境をつくってやるのも重要ですね。
倒木事故で妻を失った平谷さん
納骨を終え初めての月命日のお参り
仕事でも家庭でもその存在の大きさを痛感しています
(平谷さんの声)待ち受けずっと今まで孫の写真にしてたんですけど2人の旅行で僕の好きな写真があったもんで亡くなった日だったと思います。
えっ?2人であの…。
韓国旅行で恥ずかしそうにキスをする昌子さん
あの穏やかな日々はもう帰って来ません
こういうことになって歩いたりこう車乗ってる時にやっぱりこう木があるじゃないですか?やっぱり何かねこうついつい…何かこう…今までとは違う感覚で見ちゃいますよね。
相手はもちろん自然なんですけどでも人間でできることはね何かその対処対応できるところはぜひねあの…100%っていうのは無理なんかも分かりませんけど人間ができることはぜひ改善改良して…行ってもらえればいいなと思いますよね。
しかしまた1本の木が悲鳴を上げました
広島県尾道市の児童公園
樹齢30年高さ6mの木が根こそぎ倒れました
一歩間違えればまた犠牲者が出るところでした
2か月前の一般の職員による緊急点検では「危険はない」とされていました
今のチェック体制では事故はなくならない
(ロゲ会長)「TOKYO」。
(歓声)
(歓声と拍手)
54年ぶりのオリンピックが決まった東京都
…計画が進んでいます
オリンピックの後も木は何十年も都会の雑踏の中で生き続けます
樹齢を重ねた木々の悲鳴にどう耳を傾けるのか?
私達は新たな課題に直面しています
全国からカメラマンが集まる小さな森
憧れの鳥達がすぐそばで子育てをしています
・出るぞこれ・・出ますね・
奇跡の森が目指す「見せる自然保護」
2014/06/09(月) 00:50〜01:20
読売テレビ1
NNNドキュメント「街角の凶器 樹木に潜む危険」[字]

3月、広島ポプラの大木が倒れ2人が死傷した。点検は目視だけで腐食は見抜けなかった。同様の事故は大分、川崎でも発生。街路樹の景観と安全は両立できるのかを検証する。

詳細情報
番組内容
3月、広島県三原市の公共施設でポプラの大木が倒れた。通行人を直撃し、2人が死傷。安全点検は職員による目視だけで、腐食は見抜けなかった。同様の事故は大分市、川崎市でも発生。やはり目視のみの点検で異常に気付けなかった。一方、東京都では過去の倒木の教訓から68億円の予算を充て、街路樹を専門家が診断。京都市では行政と市民が組んで、街路樹の安全と景観を守っている。街路樹の景観と安全は両立できるのか検証する。
出演者
【ナレータ−】
森拓磨
制作
広島テレビ

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント

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ステレオ
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