世界が注目。
スパイの実態を明かしたという暴露本。
その内容は信じられないものばかり。
池上彰が最も得意とする分野を徹底解説。
そして今週金曜日に開幕するFIFAワールドカップブラジル2014。
日本と同じグループCはコートジボワールギリシャコロンビア。
初戦のコートジボワールってどんな国か知っていますか?実は…。
サッカーでの平和を目指す大混乱の不思議な国だった。
一人の英雄が内戦を止めアフリカ最強のチームにした。
まずはこんな事が先月出版された本に世界が大注目。
本の中にはアメリカのスパイ活動の実態が暴露されているという。
その内容を語ったのは去年大きなニュースになった皆さんご存じのとおり彼は決して外部に漏れてはならないアメリカの国家機密を暴露し情報保護法違反だとして指名手配。
その後ロシアに逃亡した。
そうこの2冊の本には外部に漏らしたら指名手配されるほど重要なトップシークレットが書かれているのだ。
一体どんな事が書かれているのか?通話記録を集められて個人情報が丸裸。
インターネットで何を検索したか筒抜け。
更に電子メールの中身も読まれ放題。
今回は池上彰が最も得意とする分野の1つスパイについて徹底解説。
まずはCIAだけじゃない。
アメリカにはスパイ組織がたくさんある。
役割分担をしているからより多くの情報を集められるという。
スノーデン氏は中でも一番有名なCIAで3年勤務したあと更にNSAという組織の仕事に携わっていた。
このNSAもスパイ組織。
(池上)さあNSAというのは聞いた事ありますか?NASAとは違うんですか?NASA。
ああNASA…。
ええ似てますね。
(北村)1文字多いですよね。
(坂下)あっそうか…。
じゃあCIAは知ってますね。
(田)それは映画でよく見てます。
そうですね。
CIAと同じような諜報機関ですけどCIAとは役割分担をしているという事があるんです。
じゃあまず改めてCIAから確認しときましょうね。
CIACentralIntelligenceAgency。
これ日本では中央情報局って訳してるでしょ。
情報って訳してますけど「Intelligence」って事は…。
日本はインテリジェンスとインフォメーションの違いっていうのはなかなか理解出来ないですね。
情報っていうと普通インフォメーションでしょ。
だから単にインフォメーションを集めてる組織ではないんですよ。
いろんな情報インフォメーションを集めてそれをインテリジェンスに加工している。
そしてそれを大統領に報告する組織なんですね。
知って得するポイント。
日本では2つとも情報と訳される言葉ですが実は全く違う意味。
例えばここに2つの情報があります。
1つは中東のある国から軍の関係者がアジアのある国へ出発したという情報。
2つ目はそのアジアのある国でミサイル発射の準備が進められているという情報。
ここまでは一般的に公開されている単なる情報この情報を分析して別の意味を導き出すのがインテリジェンス。
ミサイル発射現場をよく見ると中東の軍関係者の姿が。
ここから予測出来るのはこの中東の国はミサイル発射の技術をアジアの国から買おうとしているのではないかという事。
このように一般に公開されているような情報をつなぎ合わせある予測を導き出し大統領に報告するのがスパイの重要な仕事の1つ。
例えばCIA海外に大勢の要員が配置されてます。
そこでほとんどの仕事はですね公開情報を集めるんですね。
新聞に出ているもの雑誌に出ているものあるいはテレビで出ているものその公開情報を集めてあるいは地元の人をいわばエージェントスパイとして雇っていろんな情報を探る。
その両方を全部合わせる事によってそれをインテリジェンスにする。
あるいはある程度これは大事な情報じゃないかなと思ったものを東京支局やいろんなところからアメリカの本国に送るわけですね。
そうするとCIAの実は多くの要員は分析官なんですよ。
アメリカ本国にそういう高学歴の分析官がいっぱいいて世界中から集まってくる情報を分析してインテリジェンスに加工するんですね。
政権の転覆を謀ったり要人を暗殺したりするイメージがありますけど。
そうまさに。
私も秘密警察だと思ってたんですよ。
いやいや…実はそっちの仕事もしてたんですね。
してたんだ。
1976年にアメリカフォード大統領がですね大統領令を出しまして外国で暗殺をしてはいけないって命令を出しました。
わかります?いやわからないです…。
1976年にCIAに対して外国で暗殺してはいけないよという大統領命令を出したという事は…。
それまではそういう事ですよね。
(黒谷)アメリカのために殺してしまってたっていう…。
アメリカの政権にとって都合のいいように外国の邪魔になる人を…。
(田)殺してたんですか?それは知りませんけど。
何をしてたか知りませんけどわざわざ暗殺しちゃいけないって命令を出すって事はまあなんかあったんでしょうね。
CIAが認めたアメリカのために行った過激な任務。
1960年頃反米だった社会主義国キューバのカストロ首相をCIAはマフィアなどを使い暗殺しようとしていた事を認めている。
しかし作戦は失敗したという。
1973年南米チリの社会主義政権を転覆させるべくCIAはクーデターを起こそうとしていた反政府派に資金援助。
これによりクーデターは成功した。
アメリカ政府は1976年に暗殺を禁じていたが2001年の9・11同時多発テロ以降ブッシュ政権は無人攻撃機でイスラム過激派を暗殺。
実はこの任務を行っていたのがCIAだった。
そのCIAに在籍していたスノーデン氏。
本の中には彼が見たCIAのスパイ活動についても書かれている。
ある日同僚の工作員と話していると…。
彼は銀行員からある金融取引の機密情報を手に入れようとしていた。
そう彼の計画はお酒を飲ませて車を運転させまんまと警察に捕まったところを見逃してもらうよう手を貸してその見返りとして情報を得るというもの。
その話を聞いたスノーデン氏は自分勝手に他人の人生を滅茶苦茶にしているアメリカ政府そしてスパイに幻滅し始めていったというのだ。
そして…。
ある決意を胸にCIAを去った。
その決意こそが…。
法に違反し罪に問われるのも承知のうえだったという。
スノーデン自身もともとは9・11が起きたあと愛国心から少しでも国の役に立とうと思って軍隊に入ったんですね。
軍隊の特殊部隊で訓練中にケガをしてしまいましてもう軍では務まらない。
でCIAの仕事をしたらなんかとんでもないいろんな情報収集やってる。
これは許せないと。
愛国心からそういう風にだんだんなってったんですね。
そう。
だからアメリカを愛してるわけです彼は。
そしてアメリカは自由と民主主義の国でプライバシーも守られる一人ひとりの国民の権利は守るというのがアメリカという国のはずなのにこれは許せないだろう。
世の中の人々にそれを公開してアメリカをもっといい国にしようと彼は主観的にはそういう事を考えた。
告発を誓ったスノーデン氏が更に政府の極秘情報を得ようとして選んだのがスパイ組織NSAの仕事。
CIAが主に人を使って情報を集めるのに対しNSAは電話やパソコンなどから情報を集めたり暗号を解読するいわばハッカーのような集団。
スノーデン氏はCIAでのキャリアを生かしNSAでは極秘情報にアクセス出来るポジションに就いたという。
本の中には極秘文書を暴露するまでの過程も克明に記されている。
暴露までのエピソードそこにスパイならではのテクニックが。
そしてトップシークレットとは?まず最初は協力者を得る。
スノーデン氏が選んだのは政府のスパイ活動を批判していた初めはつまり暗号化を求めてきたという事はメールの内容は第三者に見られる可能性があるという事なのだ。
しかし…。
ジャーナリストであるグレンの元には数多くの情報が寄せられるが大抵はガセネタ。
今回もそう思ったグレンは相手にしなかった。
そこでスノーデン氏はグレンを信用させるためグレンの仕事仲間のローラ・ポイトラス氏に同様のメールを送りまず自分の事を信用させた。
ローラから見せられたスノーデン氏のメール。
そこには世界の通信は海底ケーブルでつながっている。
そのケーブルに盗聴器が仕かけられているので電話での会話などが盗み聞きされているというのだ。
アメリカ国内を避けて香港で直接会う事に。
最初のメールから7か月も経っていた。
ホテルのスノーデン氏は真剣な面持ちでスパイならではのテクニックを語ったのだ。
本に書かれたスノーデン氏の証言によれば勝手に携帯電話を遠隔操作し盗聴器代わりにして遠く離れた外国から盗聴する事も可能だという。
更に廊下から盗聴されないように枕をドアの下に敷き詰めた。
わずかな隙間からでもスパイは盗聴してくるのだという。
そしてついに語りだした時の映像がこちら。
スノーデン氏が語った事。
元スパイが語ったスパイ活動の内容とは…。
スパイ組織NSAは大手通信会社と契約している国内加入者数千万人分の通話記録を全て収集。
つまり誰が誰にいつどのくらいの時間電話したかという情報が政府に筒抜けだというのだ。
もちろんそういう事しちゃダメですよっていう法律はあるんですよね?ところがですねアメリカは2001年の9月11日以降とにかくテロとの戦いをするんだっていって愛国者法という法律を作ってですね裁判所がオーケーを出せばいろんな電話を傍受といいますか盗聴したりという事が幅広く認められるようになりましてね。
怖い…。
更に言いますと外国のスパイを監視するためにいろんな事をやろう。
でも勝手にやっちゃいけない。
裁判所のオーケーがあればやってもいいだろうという事になって。
秘密の裁判所というのが出来ましてね。
外国諜報活動監視裁判所というのがあって。
例えばNSAがアメリカ国内の通信会社のやり取りを全部データを欲しい。
これを通信会社にデータを全部出すように命令してくださいと裁判所に依頼をし裁判所がそうしなさいと通信会社に命令出したんですよ。
だから通信会社にしてみれば裁判所の命令ですからそれに従って電話の履歴を全てNSAに提供していた。
でもその裁判所自体何をやったのかっていう事も全部極秘にされていたっていう事なんですね。
今回そのスノーデンという人が明らかにした中にそういう裁判所の命令によって情報を集めていたって事が明らかになったんですね。
会話の内容じゃなくて…と思うかもしれませんがそこからありとあらゆるデータを集めるんですね。
何番から何番にかかったっていうデータが膨大なデータがあるわけですね。
そうするとその中でそれこそ誰か1人アメリカにテロリストが侵入したっていう事がわかりますでしょ。
そうするとその電話番号わかりますよね。
膨大なデータの中からコンピューターでその電話番号をピックアップするの一瞬にして出来ますね。
そうなんです?一瞬で?膨大なデータなんで集めてるかっていつでも検索出来るように集めてるわけです。
単なる電話番号数字の羅列ですから。
この電話番号からどこにかけているのかっていうのがすぐわかるわけですね。
そうすると1人テロリストだって事がわかるとそのテロリストがかけた相手の電話番号がわかりますね。
その電話番号からまたどこの電話番号にかけたかわかりますでしょ。
っていう事は芋づる式にネットワークを見ていく事が出来る。
こうやってテロリストの組織を摘発する。
そもそもそういう狙いでこれが行われるという。
そうスパイ組織があらゆる情報を集める大きな理由の1つが…。
実際にそのおかげでニューヨークの地下鉄爆破計画や証券会社爆破計画などこれまでに50件近くのテロ事件を未然に防いだと発表されている。
ただこれあのこのテロリストってAさんっていうテロリストだってわかったとするじゃないですか。
そしたら本来だったら日本的な感覚でいうと…。
北村弁護士が令状を求める時にAという人間がかけたものを全部出してください。
そこからかかってきた人とのまた通話を全部出しなさいって特定してね…Aというテロリストを特定して情報を出させるっていうのが普通の考え方だと思うんですよ。
ところがアメリカの場合一切特定せずに全部出させるっていう。
これはちょっとどうなんだっていう。
そうですよね。
悪い事してないのにそういう事の犠牲というかね…。
テロ対策とはいえ国民のプライバシーを政府が勝手に侵害しそれを隠している事が許せないというもの。
本に書かれているのはNSAではアメリカの通信網を通過する数十億件の電子メールの内容が保存分析されているという。
しかしこれに関してはNSAは否定している。
更にNSAは大手インターネット会社のサーバーに直接アクセスし個人ユーザーのデータを得ているという。
つまり誰がいつどんなホームページを見たか何を購入したか更に暗証番号などありとあらゆるインターネット上の情報を手に入れられるというのだ。
こちらに関してはしかしスノーデン氏の暴露にボストンマラソンの時にゴール付近で手製の爆弾が爆発してっていうのありましたでしょ。
あのあとですねしばらくしてある一般の家庭に突然捜索が入りましてねパソコンから何から全部持ってったという事があったんですね。
全くそういうテロリストに関係のないご夫婦だったんです。
なんだろう?なんでこんな事になったんだろうかって自分たちで考えてみたらご夫婦で使ってる同じパソコンでご主人が花火かなんかやろうとして火薬に関係する検索をした事があったんですね。
でそのあと奥さんが圧力鍋を買おうと思って圧力鍋何かいいものないかしらって検索してたんですね。
あの手製の爆弾って圧力鍋に火薬を詰めて爆弾爆発させたんですよ。
つまりそれだけ本当にインターネットで誰がどんな検索してるのかっていうのをみんな見ているって事ですね。
坂下さんね自分は関係ないと思ってるでしょ。
はい。
でも例えばメールを送るでしょ。
相手のメールアドレス見てください。
最後が「.com」で終わってたりするメールアドレスありません?あります。
最後が「.jp」ならサーバー日本なんですけど「.com」っていうと大体アメリカにサーバーがあるんですね。
…っていう事は日本国内同士でメールやってても実はメールが一度アメリカのコンピューターを通して日本の相手に行ってるんですね。
私のPCも「.com」…。
知らなかったです。
はい。
もちろんそれ非常に便利ですからね。
(宇賀)こういう方たくさんいると思います。
っていう事はみんなアメリカのコンピューターのサーバーを通ってるわけですからそれは全部…。
あの本の暴露によればNSAが全部その気になれば見る事が出来ると。
このように本に書かれている内容も驚きですが…。
ここからは本には書いていない池上彰最も得意な解説の1つ。
まずは…。
今どのようなスパイ合戦あるいはそれに対する対策がとられているかって話をちょっといたしましょうか。
はい。
例えばですねどこかの国の大使館の中で内緒の話をしている。
それを盗聴しようとすると何も盗聴器を建物の中に今仕かけなくていいんですって。
外から窓に向かってレーザーを当てて。
私たちがしゃべるとここに音波となって出るでしょ。
普通に例えば会議室かなんかで話をしてて外に窓があると窓が微妙に揺れてるわけですよ。
私たちの音波によって。
それを外からレーザー当ててそのガラスの振動で何をしゃべっているかがわかったり…。
あるいは更にその中のコップですよね。
このガラスのコップまで当てれば当然この人がしゃべってる事によってこのガラスのコップが微妙に振動するでしょ。
それでこの内容を聞き取る事が出来るんだそうです。
えー!そんな事になってるんですね今。
そうするとこうやって盗聴されたら大変でしょ。
こういう対策がとられてます。
建物の中にこういうドームのようなものを造って床とだけほんの1か所だけ接するようにし中が二重になってまして。
ここで音楽をワンワンかけるんですよ。
音楽を常に流しながらここで密談をする。
あるいは場合によっては筆談をする。
これによって敵対的な関係の国のスパイ組織に盗聴されないようにしていると。
実際そういう部屋があるところがあるんですか?あるところがというか…。
(一同)えー!これ例えばイギリスですとオックスフォードとかケンブリッジという本当のエリートの大学で非常に成績がいい学生がいると先生の方から声をかけて「君君祖国のために貢献するつもりはないのかね?」という形で個別に声をかけられたりっていう形でくるのがありますし。
一般募集もしてます。
(坂下)スパイの?はい。
CIAもですね公式のホームページで一般募集しています。
えー!条件が面白いですよ。
運転免許証を持ち視力や聴力健康状態が良好で世界中にあるCIAの海外支局での勤務が可能な23歳から35歳までのアメリカ国民であれば応募出来るというようになっていますしね。
イギリスの海外諜報機関であるMI6っていうのがあるんですけど。
MI6はね例えばイギリスの経済専門誌『エコノミスト』に求人広告載せたりしています。
「君も海外で活動してみないか?」って書いてあるんです。
NSAがですねツイッターでこんな書き込みしたんですよ。
ほら。
アルファベットがただ並んでるだけでしょ。
(黒谷)読めない。
読めないでしょ。
なんだかわからないわけですよ。
でもNSAがわざわざこんなアルファベットを並べた。
きっとこれは暗号ではないかと気付いた人はこれを…暗号を解けば応募出来るという仕かけになってるんですね。
この暗号はある法則にのっとってアルファベットを置き換えていくと元の文章が浮かび上がるというもの。
暗号を解くと求人情報を見てくださいという内容がわかる仕かけになっていたのです。
CIAやNSAのようなものはないんですが一応こういうものがあります。
内閣情報調査室防衛省情報本部公安調査庁警察庁外事情報部と。
それぞれ役割分担がありますね。
内閣情報調査室。
まさに日本の諜報活動の中枢ですね。
各省庁から情報を集めてですね定期的に安倍総理大臣に情報を持っていってレクチャー説明をしています。
それからこちら防衛省情報本部と。
これはだから日本の周辺のさまざまな国の無線などこれを傍受しているわけですね。
あるいは軍事情報などのやり取りをしているものを傍受したりレーダーを使ったりして東アジアの軍事情報を集めていると。
以前ですね大韓航空機がソ連の領空に入った事によってソ連軍の戦闘機によって撃墜されたという事件がありましたでしょ。
あの時ソ連の戦闘機と陸上の基地との無線交信当時の防衛庁が全部傍受していまして。
ソ連は最初そんなの知らない知らないと言ってたんですけれども国連でそのやり取りが全部放送されてソ連も認めざるを得なかったという事があります。
撃墜を認めたわけですね。
ええそうですね。
公安調査庁は国内のテロを起こしかねない団体や外国のテロ北朝鮮情勢などの情報を収集。
もう1つ警察庁外事情報部は国内にいる外国スパイの尾行監視を指揮。
FBIとやり取りするなどして情報を得ているという。
ただいわゆるCIAのような組織は日本にはない。
ただし日本もそういう情報組織をつくるべきではないかという議論はあるわけですね。
日本はそもそも外国に攻撃をする事はない。
日本はあくまで守る組織だ。
…である以上外国が何をやってるかっていう情報をいち早く知る必要はあるんじゃないかっていう事ですね。
このあとは今週金曜日に開幕するFIFAワールドカップブラジル2014。
初戦の相手コートジボワールはアフリカ屈指の強豪チーム。
そこには一人の英雄が存在した。
コートジボワールをアフリカ最強のチームにしただけではなく…。
なんと激しい内戦を止めてしまったという。
池上彰も感動した皆さんにぜひ伝えたいエピソードが。
ヒーローが生まれた裏側にあるアフリカの悲惨な現実と世界情勢を池上解説。
まずコートジボワールとはどんな国?アフリカの西側にあり人口は日本の6分の1以下。
GDP国内総生産は日本の200分の1以下という非常に貧しい国内状況。
そんな中国民はどうやって生計を立てているのか。
チョコレートの原料カカオが生産量世界一の特産品。
とはいえ生活基盤はほとんどが農業。
多くの国民が貧しい生活を送っているのです。
そして国名にはある秘密が。
コートジボワールという名前一定程度以上の年齢の方は象牙海岸といえば…。
はい。
(小島)象牙海岸の事なんですか?ええそうです。
象牙海岸をフランス語でコートジボワール。
15世紀にヨーロッパから大勢の人たちがここにやってきて。
例えばあの時にだから象牙をとって。
特にこの辺りから…この海岸からどんどんどんどん持ってったんですよね。
なので…。
この近くには例えば奴隷海岸とか。
胡椒をいっぱい持ってったところだと胡椒海岸とか。
それぞれ勝手な名前をヨーロッパの人たちが付けてたんですけど。
ここの人たちはそれをそのまま国の名前にしたんですね。
それをヨーロッパの国々が植民地にする時にいろんな民族がいるのに勝手に国境線引いちゃいますでしょ。
16世紀頃からヨーロッパ各国がアフリカに進出。
多種多様な民族文化があったのに植民地時代から独立までの過程で勝手に国境線を引いていったのです。
コートジボワールはフランスの植民地でした。
最近でもアフリカの国々でよく内戦が起こるのはこの植民地支配の歴史が大きな理由。
コートジボワールも同じ理由で激しい争いが起こったのです。
特にこの周辺こっちの方マリとかブルキナファソって国境線で別の国になっていますけど実はこの辺り同じ民族なんですね。
この周辺の人たちをカカオ農園の労働者として大量にこちらに連れてきたっていう事もありまして。
こちら側の民族がどんどんどんどん増えるわけですね。
それに対して南部のこちら側は面白くないという事もあり同じコートジボワールの国民としては認めないみたいな事になっちゃって南北の内戦が激しくなった。
2000年頃南北各地の軍人が給与を払わない政府に抵抗し武装蜂起した事をきっかけに南北の対立が一気に拡大。
国を真っ二つに分けた内戦は10年近く続いたのです。
民族が違うというだけの理由で殺人や放火略奪が行われ罪もない国民同士が殺し合う暴力が繰り広げられたのです。
女性や子どもを中心におよそ2万人もの難民が発生しました。
もちろん激しい内戦は貧困に直結。
飢えや病気に多くの国民がさらされたのです。
希望が見えない貧困と内戦。
そんな中明るい光をともすその人物こそ…。
国民は彼の事をこう言います。
ドログバは世界最高峰のイギリスのプロサッカーリーグで2度の得点王を獲得した…。
5歳の時にかつて植民地支配されていたサッカー強豪国フランスに渡りサッカーの英才教育を受けていました。
そのためフランスとコートジボワールどちらの国籍も持っていたのです。
もともとワールドカップに出場するなら常連国のフランスの代表に選ばれるのが一番。
しかしドログバは誰もが祖国を愛する気持ちから2002年コートジボワール代表の道を選んだドログバ。
彼の活躍でチームは瞬く間に力をつけ2005年ついにワールドカップ出場権を手に入れたのです。
この時ワールドカップドログバはロッカールームにカメラを呼び国民にあるメッセージを送りました。
コートジボワールで今も語り継がれるそのメッセージがこちら。
どうですか?その気持ちがとても今伝わってきましたけれど。
ただスポーツに関する事だけではなくて…。
(竹下)素敵。
日本でもスポーツ選手って尊敬はされてますけれどもすごいですよね影響力っていうのが。
(竹下)そうですね。
このひと言によってですね本当に内戦が一時的に止まったんですよ。
うわ!一人のサッカー選手のひと言が一時的とはいえ民族同士の争いを止めてしまうほどの影響力を持っていたのです。
コートジボワールの代表選手がよその国と対戦をする時にはいつもアビジャンで試合が行われてたんですがいつも南部でやるだけじゃなくてこの北部…対立してる北部のブアケで試合をしてくださいと大統領にお願いをするんですね。
(竹下)まあ!直接…。
国民的な英雄からお願いされたら…。
2007年当時反政府組織が占領していた北部も長い内戦でボロボロに荒れ果て人々が悲惨な思いをしていた状況。
もちろんサッカーの代表試合をやるような環境ではありません。
しかしドログバの願いは政府を動かしました。
彼は直接北部に出向き…。
(歓声)歓喜する国民。
この瞬間殺し合うほどに憎み合っていた南北がドログバの行動でひとつになろうとしていたのです。
いよいよ北部での試合当日国民が待ち望んだその日がやってきました。
電気も水道もないほど貧弱なスタジアムにコートジボワールと対戦相手のマダガスカル代表チームが集まったのです。
この試合はここでそれはメディアが注目する中北部で争いを率いていた反政府派のリーダーにカメラの前で平和を約束させる事。
その約束を引き出した映像がこちら。
この日は南北の垣根を越え国民一丸となって応援。
更に…。
その瞬間南北の心はひとつになったのです。
見るとピッチは粗末な感じが今もしましたけれどでもすばらしいですねドログバさん。
(神保)すごいですよね。
(小島)確かに。
そこでちゃんと勝てるっていう。
これがまたね暫定的な治安が悪いという話をしましたけどまだ治安が決していいとは言えないんですけども…。
サッカーだけではなくてこういうスポーツってそうですよね。
国際的な試合だとみんながひとつになれますよね。
そうですね。
困っちゃいました。
ドログバ選手のファンになっちゃいましたね。
ちょっとコートジボワールも応援したく…。
そうですね。
いやいやそれはそれで…。
ワールドカップっていうと普段あんまりなじみのないチームが出てきますよね。
これをきっかけにその国の事をあるいは世界の事を知るようになるといいんじゃないでしょうか。
それではまた来週夜9時にお会いしましょう。
このあとは『報道ステーション』です。
2014/06/09(月) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
ここがポイント!!池上彰解説塾[字]
FIFAワールドカップで日本が対戦するコートジボワール。実はコートジボワールの平和にサッカーが大きくかかわっている…!?サッカーと平和の関係について解説します!
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