(涼)震災の日…。
あの時…私ずっと光といたの。
(幸子)うん。
でも…私光の手を離してしまった。
そして逃げたの…光の事残して。
光…笑ってるように見えた。
「逃げていいよ」って…言ってるみたいに思った。
もういい。
もう言わなくていいよ。
母さん…許して。
ごめんなさい。
許して…。
(光良)木下さん。
うまいコーヒーいれましたよ。
(和歌子)里見さん。
あなたのおかげで兄に会う事もできました。
兄さんが最後に手に入れた幸せな笑顔私はこれから覚えておけます。
和歌子さん。
ほんとに…ほんとにありがとうございました。
こちらこそ。
あの〜俺もいいですか?ええどうぞ。
回想
(木下)あんた!里見さん。
はい。
しつこい。
あんたは…ずっとそのままがいい。
(祐一)思わぬ出会いだった。
こういう出会いが僕たちを変えてくれる。
お疲れさま。
すいません…。
お先に失礼します。
(敬子)あの人だ。
最近あそこに住むようになったわね。
うん。
あの〜木下さんのお別れ会にいらっしゃってましたよね。
マサさんっておっしゃいますか?何か?実は木下さんの残されたものがあって。
マサさんに受け取ってもらいたいんです。
えっ?こんな上等なものもらえないよ。
もらってあげて下さい。
木下さんがマサさんにってメモを残されていたんです。
えっ?木下さんの思い出ですから。
「人は死んでも消えるんじゃない」か。
木下さんってほんと哲学者だったね。
うん。
私ねその言葉そのまま涼ちゃんの胸の中に届けたいな。
弟さん。
弟さんはさ今涼ちゃんの心の中で涼ちゃんの事を励ましてるんじゃないかな。
敬子さん。
私涼ちゃんには幸せになってほしいっていっつもいつも思ってる。
私は本当は…誰も愛せないのかもしれない。
まだ怖いの…誰かを大事に思う事が。
(幸子)あっいらっしゃいませ。
あの〜里見涼さんをお訪ねにあがったんですけども。
あっあの…涼は留守ですが。
あっそうですか。
あの〜どちら様で?あっ申し遅れました。
私江墨区役所福祉課の山倉祐一と申します。
ああ…まあまあ!あの〜私涼の母です。
はじめまして。
どうもはじめまして。
あの〜実はですねこちらを涼さんにお渡しにあがったんですが。
先日亡くなられた方の遺品でしてご遺族の方からですねやはり涼さんに持っていてほしいと連絡がありまして。
ああ…そうですか。
じゃあの〜よろしくお伝え下さい。
あの…。
・
(物音)
(一郎)アタタタ…!幸子!父さんどうしたの?
(一郎)ちょっと来てくれ!ちょっとお待ち下さい。
(幸子)嫌だ!何で?蛍光灯を取り替えようとしてたらさ…。
私に言ってくれればやったのに。
手元暗くて作業にならねえから取り替えようとして…。
あっどうも。
ああ…すいません。
いらっしゃい。
蛍光灯替えましょうか?そうですか?いいですか?あっついた!いや〜助かりました。
申し訳ありません。
区役所の偉い方使っちゃって。
いやいや全然偉くなんか…。
まあまあお茶でも飲んでらして下さい。
いえいえもうこちらで結構です。
いいじゃありませんか。
さっどうぞ。
どうぞどうぞ。
どうぞ。
ありがとうございます。
いや〜涼は残念だったなぁ。
日曜なのに仕事があるって言って。
働き者ですからね。
ものすごく頑張る孫娘でちょっと自慢なんです。
いやこれはあの〜じじバカで。
恥ずかしい。
いえいえ。
涼さんなんか僕なんかができない事を平然とやってのけます。
自慢されて当然だと思いますよ。
そうですか?はい。
どうもお邪魔しました。
いえいえお引き止めしちゃって。
あっあの〜。
はい。
どうか涼をよろしくお願いします。
えっ?いえ…。
どうも。
お邪魔しました。
山倉課長が?うん。
あんたが持っててってあの本。
課長さんあんたの事褒めてたわよ。
ねえあの人もしかして涼の事…。
すごい雨!
(雷鳴)あ〜ほんと。
梅雨の終わりの長雨だね。
うん。
ねえ涼。
母さんさこの間あんたが話してくれた事…。
(まなか)やっぱり!まなか!この雨ちょっとすごいからきっと先輩が一人で来てるんじゃないかなと思ったんですよ。
(梶田)僕もいますよ。
梶田くん!っていうか仕事残ってたんでさっきまで仕事してたんですけど今飯買ってきて。
情報どうなってます?東京はあと数時間豪雨が続くみたい。
さっき洪水警報が出た。
見守りネットワークを使って情報確認してみようと思う。
自治会長の園村さんには?さっきメールした。
じゃ単身高齢者の情報確認は民生委員さんたちにお願いしてみましょう。
(近藤)おぉ〜ご苦労さん。
事務局長!今区役所でも対策本部が立ち上がって避難指示が出た。
山倉課長の初動は早い。
そうですか。
このまま雨が長時間降り続ければ川が氾濫するかもしれませんね。
(梶田)床下浸水の可能性は?川沿いの野駒地区ね。
商店街のサロンのある交差点の方も危ない。
あとはあずま公園付近か。
高齢者や単身障害者の世帯は1軒ずつ家を回らないといけませんね。
手分けして回ろう。
涼さん!それは俺が手伝います。
(2人)ミッチー!急いだ方がいいです。
まずは商店街回った方がいいだろう。
サロン辺りの交差点が前も水がかなりあふれた所だ。
よし!じゃ私も一緒に行くから。
はい!僕も行きます!梶田くんはここで自治会長の安否連絡を受けて。
はい!水澤さんご苦労さまです!
(水澤)ご苦労さまです。
増水が心配ですね。
はい。
あの〜避難所は?今南荒木の集会所に決めました。
川の水位を見てこちらから連絡入れます。
社協さんではできるだけ高齢者や障害者の方々を中心に避難を呼びかけて下さい。
はい。
一番心配なのは野駒地区の方です。
広報がこれから情報を流します。
防災放送についても課長が今…。
じゃ課長は今防災課に?いいえ。
あずま公園に直接。
えっ?あそこにホームレスが居るでしょ。
あそこが一番水が出て危ないからまず一番に避難してもらうって自分で出てっちゃって。
えっ?里見さん。
あなたご存じないの?山倉課長には…大きな穴があるの。
穴…?福祉課に入りたてのころ課長はあなたのようだった。
ある時まだ働き盛りのホームレスの男性を救いたいと毎日のように課長はその人のもとへ向かった。
ようやく男性が宿泊所に入るようになってくれると就職もあっせんした。
知り合いの工場の社長が雇ってくれる事になったの。
課長ほんとに喜んでた。
でもなぜかその人は行方をくらまし再びホームレスに戻ってしまった。
ある日増水した川にはまって発見されて。
大雨の日なのにあえて逃げなかったのね。
自分の仕事が一人の人間を追い詰めてしまったと彼…。
課長は…ぽっかり心に穴を開けたの。
(水澤)里見さん。
課長を救うためにあなたならどうする?
(園村)おいおい大丈夫だよ。
あっみんな居たんだ!川の水かなり増水してきてるから早くここは空けよう。
もう終わったとこだよ。
会長さん!見回りですか?うん。
まあ私にねできる事をして回ろうと思ってね。
はい!それ…。
これも2階に。
(園村)ああ。
どうぞ。
ありがとう。
(健一)おやじ。
健一!俺…俺代わりに見回る。
えっ?危ないからさおやじ自宅に戻って。
じゃ…。
父さんかえって危ないからやめて!足が痛いんでしょ?私がやるから!前に涼に自慢して言ったんだよ。
じいちゃんの仕事はひとさまの新しい人生を応援する事だって。
思い出を大事によみがえらせる商売が預かり物を泥だらけにしていい訳ねえだろ。
アタタタ…!ほらほらだから!いいからお前先行け行け!分かった。
ここで待ってて。
大丈夫だ!はいはいはい。
先行きなさい。
おい幸子。
おい。
ほらこれ頼んだ。
はいはい分かってます。
大丈夫?ああ…大丈夫。
(雷鳴)まさか涼外回りしてないわよね。
それも仕事だろ。
でもさっき2時間で100ミリ近く降ったって川。
ほんと心配…。
あの子話してくれたのよ。
えっ?あの日の事。
俺も聞いていた。
えっ?そっか。
私あの子の幸せのために何て言ってやったらいいのか…。
(一郎)これ…。
何?光から来た手紙だ。
どういう事?何で今…。
いつか見せようと思ってたんだ。
震災の直前に来た。
ウソ…。
光の字…。
読んでみなさい。
(沢木)戻りました。
(原)お帰りなさい。
ご苦労さん。
お疲れさまです。
ありがとう。
野駒地区も安否確認取れました。
分かりました。
南荒木もOKです。
はい。
商店街の方はほとんど回ってきました。
ご苦労さん。
であの〜渡辺さんご夫婦が…。
(寛次)何か俺らも手伝う事あったらと思って。
それはそれは。
(久慈)渡辺さん!
(昭子)何でも言って下さい。
私たちも避難所で助けられたんで。
ありがとうございます。
じゃあ集会所の方で毛布配るの手伝って頂けますか?もちろんです。
(新保)じゃあ行きましょう。
お願いします。
先輩。
あっお疲れさま。
先輩の大事にしてきた事が実を結んでます。
えっ?今外を回ってきた時も皆さんが手伝ってくれて。
私たちを越えて町の皆さんが動いてるってそう思えました。
まなか。
それに気が付いたって事はあなたも成長したって事よ。
えっ?里見さん。
どうやら信熊町の方水出てきちゃってるみたいです。
えっ?防災課に連絡入れないと!はい。
先輩のお宅大丈夫ですか?えっ?あっ…。
(源治)あっ涼ちゃん!この辺りは大丈夫だぞ!ありがとう社長!おう!母さん!じいちゃん!大丈夫?母さん!涼!無事よ。
2階に全部上げたの。
よかった。
ご苦労さま。
交差点の方まで水があふれてきちゃったから心配になって見回りに来たの。
やっぱり…。
気を付けてよ。
しばらくはまだ様子見てね。
じゃあ!
(一郎)気を付けて行きなさい。
うん!ねえ涼。
えっ?何?ちょっと…ちょっといい?これ読んで。
あの子の手紙。
父さんに書いてた手紙。
読んでごらん。
(光)
「おじいちゃんへ。
げん気ですか?ぼくはげん気です。
おかあさんもおねえちゃんもげん気です」
光…。
(光)
「こないだクリスマスにしたおじいちゃんとのひみつのやくそくはまもっています。
これからぼくはかならずおねえちゃんのおとうさんになってまもります」
「もうすぐ2年生になるんだからお母さんとお姉ちゃんを僕が守る」って小さい…小さい指と指切りげんまんしたんだ。
じいちゃん…。
お前に話せる日がようやく来た。
光はねあんたの言うようにほんとに笑ってたんだと思うよ。
母さん…。
お姉ちゃんの事大好きだったからあの子。
そう…あんたを助けたのよ。
涼。
私本当にすてきな子供たちを持った。
姉弟思いの優しい優しい子供たち。
あんたは幸せになって。
今の母さんの願いはそれだけ。
光が守ってくれるから。
私たちと一緒にこれからず〜っと生きてくれるから!母さん。
あっ敬子さん。
久慈さんが今消防に連絡入れてます。
何かあったの?あっ涼ちゃん!あのね今ね避難してたホームレスさんたちのマサさんっていう人の方が居なくなっちゃってたのが分かって。
また川べりのあずま公園に戻ったみたいなんです。
戻った?すぐに行こうかと思ったけど今から行ったら2次災害の危険があるって止められちゃって。
せっかく福祉課の山倉課長がみんな早めに避難させてたのに。
2階の方へお願いします!
(3人)はい。
マサさ〜ん!どこに居ますか?マサさん!あんた…!危ない!すぐ避難所に戻りましょう!置いてきちまったんだ!えっ何を?あれ…。
あっ!木下さんのカップ。
あっ!はいここお願いします。
使って下さい。
お茶はどうですか?どうもありがとう。
必要な世帯はほぼ避難完了したようですね。
はい。
山倉くん。
あっ近藤さん。
福祉課の大英断だったね。
休日だが避難は速やかに済んだようですよ。
社協さんの初動も早かったので。
うちには里見さんというまずは行動の守護神がおりますので。
(房枝)あの〜福祉課の方ですか?あっはい。
一度お礼を言わなくてはと思っていました。
えっ?去年の秋私もうこの町を出ていこうかと思っておりまして。
ゴミをいっぱいためて。
あっ…。
それが社協の里見さんが何度も何度も通って下さってね。
この町に残ってよかった。
昔のようにご近所さんとも家族みたいにおつきあいできています。
(片平)今年も栗ごはん楽しみにしてるんです。
そうですか。
それはよかったです。
こんな温かい思いを人生の間にもう一度味わえるなんて本当に感謝しています。
私もとてもうれしいです。
どうした?それが…避難していたホームレスの老人が1人気が付いたら公園に戻ったようなんです。
何で止めなかったんだ?ですからもう居なかったんですよ。
公園に行くんですか?公園にはもう社協の里見さんが行ってると思います!それでいいんですか?課長!それで…いいんですよね。
里見くん…。
何やってるんですか?あの人がさあれを拾うってんだ!里見くん!課長!どうした?先輩が一人で川べりの公園に行っちゃったんですよ。
一人で?もう危なすぎますって。
待て!私が行く。
事務局長はここに居て頂かないと。
そうですよ。
沢木くん!安否確認は全て終わりましたからここに全員が居る必要はないと思います。
三輪さん行こう!はい行ってきます!君は何て事を一人で…!こんな事しちゃいかん!動くな!あっ…!僕は…この手をもう離さない。
・「HeyBabySoMerry」・「HeyBabySoMerry」・「自分も知らない」・「秘密は言えない」・「キミには分かるの?」・「この不思議のこと」・「ねぇFriendDarling」・「今日も眠れない」・「ずっときっと」・「不安でどうしようねぇ」・「絶対割れないキミの」・「ガラスの心を伝う」・「涙色の振動に」・「思わず声が出ちゃうよ」・「HeyBabySoMerryHeyBabySoMerry」・「Iwannaholdyourhand」
(ノック)社協の里見です。
扉を開けて下さい。
2014/06/10(火) 01:25〜02:15
NHK総合1・神戸
ドラマ10 サイレント・プア(9)[終]「私は、その手を離さない」[解][字][再]
町が梅雨末期の豪雨で浸水の危機に。涼(深田恭子)や祐一(北村有起哉)の活動で避難は無事に完了するが、ホームレスが危険な川べりに戻ってしまい、2人は救出に向かう。
詳細情報
番組内容
ホームレスだった木下(大地康雄)が地域の人たちに見送られて亡くなった。涼(深田恭子)は遺品のカップを木下の知り合いのホームレスに手渡す。ある日、梅雨末期の突然の豪雨で、町は浸水の危機にさらされる。涼や祐一(北村有起哉)の素早い動きと町の人たちの助け合いで、避難は無事に完了するが、いったん避難したはずのホームレスがカップを取りに危険な川べりに戻ってしまった。救出に向かった涼と祐一だが…。
出演者
【出演】深田恭子,北村有起哉,桜庭ななみ,山口紗弥加,モロ師岡,田口浩正,坂井真紀,小橋めぐみ,押元奈緒子,千代將太,横田美紀,市毛良枝,米倉斉加年,渡辺大知,大地康雄,中島ひろ子,久保酎吉ほか
原作・脚本
【作】相良敦子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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