くらし☆解説「人手不足 身の回りの影響は?」 2014.06.11

生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうのテーマは、こちらです。
担当は今井純子解説委員です。
今井さん、確かに今、人手不足ということばよく聞きますけれどもかなり深刻なんですか?今井⇒今、町を歩くと本当に、あちらこちらの店に、こうしたスタッフ募集ですとかアルバイト緊急募集といったこういった貼り紙を目にしますよね。
これまでも例えば格安航空会社のパイロットですとか介護といった多少専門性の高い、あるいは相対的に賃金が低いそういう仕事で人手不足だという声は、派遣先に出ていましたが今、人手不足、さまざまな分野に広がっている状態です。
影響も出てきています。
例えば大手外食チェーンの中にはアルバイトが集まらなくて店を休業したり閉鎖に追い込まれたりそういうところも出てきているんです。
話題になりましたね。
そのほかにも、例えば建設の現場。
被災地以外の地域でも人手が集まらなくてマンションの建設が遅れる、あるいは保育園が予定どおり完成できないといった、こうした事態も起きているんですね。
マンションや保育園に入る予定だった方は困りますね、予定が遅れると。
さらには、例えばトラックですね。
これの運転手が集まらなくて配送が間に合わないですとかあるいは、ものづくりの現場でも人が足りなくて注文の増加に追いつかない。
こうした声が、あちらこちらから上がっているんです。
どのくらい人が足りていないんですか?こちらが4月の有効求人倍率。
これは仕事を探す人1人に対して何人分仕事があるか、つまり求人があるかというのを示す数字なんですけれども、4月には1.08倍だったんです。
仕事を探している人が全員仕事に就けたとしても企業から見るとまだ人が足りないという状態ですね。
特にこちらにあるように業種別に見てみます。
本当に深刻な人手不足の状態なんです。
ついこの前まで仕事がないとか就職氷河期だとか言われていましたよね。
今でも仕事によっては、例えば人気の高い一般事務の仕事を見てみますと0.23倍です、つまり4人の希望者に対して仕事が1人分しかない状態。
誰もが希望する仕事に就けるわけではない。
そうしたミスマッチの状態は続いてはいるんです。
希望するところと募集があるところ、必ずしも同じではないんですね。
全体で見て1.08倍というのは2006年7月以来の高い数字です。
およそ8年ぶりの深刻な人手不足の状態なんです。
なぜ急に人手不足になったんですか?背景を見るとやはり景気が回復して消費が増えて、企業が採用の枠を急激に増やしているということがあります。
その一方で、そうした中でこれまでは、特に低い賃金あるいは長い厳しい労働時間を強いられてきた人たちが、これまでは仕事がほかにないので、我慢して働いてきたけれどももう耐えられないということで次々と辞めてもう少し待遇のよい仕事に移っていってしまう。
そして企業側は新たな人を募集して埋めようと思っても、なかなか集まらない。
そういう動きが今増えてきているというのが最近の大きな特徴と言っていいと思います。
給料が上がっているところがあるんですね。
それは働く側からしたらありがたいですね。
人手不足というのは働く側にとってみると悪いことばかりではないんですね。
例えば、正社員ですね。
こちらは、ことしの春闘で中堅・中小の企業でも、それを含めて賃金を上げる動きというのが目立ったんです。
これも若手を中心に人材をつなぎ止めようというねらいがありました。
正社員以外を見てみてもパートやアルバイトの時給そして派遣社員の時給、募集のときの時給ですが前の年の同じ月と比べてこのように上がる傾向が続いているんです。
時給も上がっているんですね。
特に人手不足が目立っている外食や流通業界を見ても非正社員を社員を希望に応じて正社員や働く場所や働く時間を限定する限定正社員に登用する動きも目立っています。
厚生福利が充実したり給料が上がったりボーナスが出たりという動きにつながるケースも多いんです。
企業は大丈夫ですか?企業にとっては、確かにその分人件費のコストというのは上がることになるんですけれども、だけれども中には、人手が集まらなくて倒産に追い込まれたりあるいは大幅に業績が悪化したりそういう企業も出てきているんです。
それだけに企業は今、必死でなんとかこういう対策で人を引き止めようということで躍起になっている状態です。
ただ人手不足で待遇がよくなっているといっても一時的なものではないですか?多少景気に左右される面もあると思いますが今回の人手不足必ずしも長い目で見ると一時的なものではなさそうです。
こちらが年齢層ごとの人口の推移です。
注目は15歳から64歳の主な働き手となる人口です。
去年32年ぶりに8000万人を割りました。
こうして団塊世代が65歳に達して次々と退職しています。
働き盛りの人口は今後、さらに減っていく見通しです。
こうしたことから、そう簡単に人手不足は解消されないというかむしろ、これからが本格的な人手不足の時代に入っていくそういう見方もあるんです。
私は今回の人手不足というのは、私たちの働き方を大きく変えていく、そういう転換点になる可能性があるというふうに見ています。
どういうことですか?これまで十数年続いてきたデフレの時代世の中では少しでも人を安く雇って長時間働かせる、それによって少しでも安い物やサービスを提供する、そういうビジネスモデルがもてはやされていたんですが安い賃金が嫌だきつい仕事が嫌だというならどうぞ辞めてください、ほかに代わりの方はいくらでもいますからということで非常に企業の側の立場のほうが強かったので酷使されてきた方が多くいました。
その典型がいわゆるブラック企業と呼ばれる会社だったわけですよね。
それが、これからの人手不足時代になってくると、なかなかこうした企業には人が集まらないもっと待遇のよい企業が出てきますのでそうした企業を見つけて移っていってしまう。
そして代わりの人を見つけようと思っても新たに人が集まらないということで、こうした企業は経営が成り立たなくなってしまう可能性もあります。
そういう意味で働く側の立場というのが今、強くなりつつあると言ってもいいと思います。
企業は賃金を上げればいいんですか?それも1つの手段ですが、あとは働く側にとって大事なのは働きがいとか働きやすさ。
これも人を集めるときに大事なポイントになりそうです。
そういう意味で例えば短時間の勤務とか自分の住んでいる地域で働ける正社員の制度を充実させるそういうことで働きたいんだけれどもフルタイムとか、転勤のある仕事は無理ということで働いていない女性とか高齢者が働いてみようかということにつながるかもしれません。
また、これまでは即戦力ばかり募集していたのを、これからは経験がなくて、すぐには戦力にはならない人たちにも採用の枠を広げていく。
そして長い目で見て社内の教育や研修をして育てるということ。
そうしていくとこれまで非正規の仕事を転々としていて、よい仕事になかなか就けなかった人たちも貴重な戦力につながっていくと思います。
技術を身に着けられると働きがいやりがいが出てきますね。
今、人手不足に対応するためにITやロボットを使おうとかあるいは外国人の労働者を増やしていこう、こうした動きもあるんですが、簡単なことではありません。
それよりも今いちばん大事なのは、これまでの人をコストとして安く使い捨てにするのではなくてそういう経営を改めて、限られた人を貴重な人材と見て、育てていって大切にしていくそう経営に切り替えていくことがいちばん求められていると思います、むしろそうしないとこれからは生き残れない。
そういう新たな時代に入っています。
今井純子解説委員でした。
2014/06/11(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「人手不足 身の回りの影響は?」[字]

NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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