(テーマ音楽)開幕が目前に迫るワールドカップ!日本代表の活躍に期待が膨らみます。
(笛)芸能界きってのサッカー芸人又吉さん率いる芸人代表チームも熱き戦いに挑みます。
前回は東京大学教授の松井彰彦さんとPK対決!この戦略を経済学のゲーム理論を使って解き明かしました。
今回はチームの協力について考えるためこの理論を活用します。
サッカーで勝つためにはチームワークが欠かせない!団結していきましょう!…ってあっああああれ!?あれ!?早速芸人チームが失点!
(又吉)違うやんもう!マークついてたらええねん!ちょっとちょっと又吉さん!協力しましょうよ!なんでもめてるんですか!?
(宮平)1枚でいいじゃないですか。
だから僕があがってオフサイド…。
一緒にあがればオフサイドトラップ引っかかるわけですから。
オフサイドトラップ?詳しくない人のためにわかりやすく説明します。
ゴール前で守備につくディフェンダー。
この青い人たちより後ろにパスを出すと「オフサイド」という反則になります。
「オフサイドトラップ」とは守備が前進しスペースを広げ相手のオフサイドを誘う作戦です。
ディフェンダーが1人でもゴールの近くに残っているとスペースを十分に作れずオフサイドトラップが成立しません。
先ほどの場合宮平さんはオフサイドトラップをかけようと前進しましたが又吉さんが残っていたため失敗してしまったんですね。
2人ともゴールを守りたかったのにどうして協力できなかったのでしょうか?この間の試合でですねオフサイドトラップをかけるかどうかですごくもめたんですよ。
この赤が僕らのチームでこれが僕だったんですね。
これが後輩の宮平というやつだったんですけど。
ボールが下がったんですよ。
で宮平はここでオフサイドトラップをかけたんですけど僕は残ってたんですよ。
ははっ。
でオフサイドにならなかった。
(松井)それは大ピンチですよね!そうなんですよ。
このオフサイドトラップっていうのは難しいんですけれどもゲーム理論的には「コーディネーションゲーム」というゲームで説明することができます。
コーディネーションゲーム。
「コーディネーションゲーム」とは経済学用語で……のこと。
先ほどの状況を考えてみましょう。
又吉さんだけが残って守り味方の宮平さんはオフサイドトラップをかけようとしたのでコーディネーションは失敗。
仮にそれぞれが逆の行動を取ったとしても失敗です。
成功させるには…2人とも「トラップをかける」もしくは2人とも「守る」を選択しなければなりません。
もしこういう状況で宮平さんがあがってたというんであれば又吉さんこれは一緒にあがってもよかったんじゃないですか?ただですね僕の考えで言うと2人であがった場合相手は僕たちが見えてますからパスを出さないんです。
僕たちをドリブルでかわしにくる可能性があるんです。
初めから2人で引いてスペースを埋めて相手がやりにくい状況を僕は作りたかったんです。
なるほど!そうするとこの表をちょっと変える必要がありますね。
つまり又吉さんは2人でトラップをかけ合うよりもこれ花丸。
2人で守る方が本当に一番いい状況だと思ってたと。
こんなゲームをプレーしてたんだということになりますね。
じゃあ宮平さんはなぜトラップをかけようとしたんでしょう?「オフサイドにしてしまえばここは相手プレーできないでしょ」という考えでやったんでしょうね。
ああなるほどね。
じゃあ宮平さんはこういうゲームをプレーしていると思ってたんではなくてこういうゲームをプレーしてると思ってたんじゃないんですか?そういうことですね。
2人の間でプレーしてると思っている状況が違うとこれはなかなか同じ行動を取るのは難しいですね。
難しいですね。
これを防ぐためにはどうすればよかった?本来サッカーでよくとられる手段としてはディフェンスラインで1人リーダーを決めていてそのリーダーの声に従うということですよね。
そのリーダーがあがらないなら他のやつもあがらない。
そうするとリーダーが例えば又吉さんだったとしたら又吉さんは2人で守ってる状況の方が望ましいと思っていたと。
リーダーの判断で守るんだというふうに決めたら味方もそれに合わせて守ることでコーディネーション協調を達成すると。
これを使うと経済で非常に問題になるような状況も分析することができると思うんですね。
銀行の取り付け騒ぎも実はコーディネーションゲームを使って分析することができます。
「取り付け騒ぎ」とは金融機関への信用不安などから大勢が殺到して預金を引き出そうとすること。
銀行は預かったお金の大部分を企業などに貸し出し運用しています。
そのため取り付け騒ぎが起こると支払う現金の用意ができず経営危機に陥る場合があります。
発端は業績の悪化や不祥事など経営に問題がある場合また失言や噂デマなどもあります。
今回はある噂から取り付け騒ぎが起ったと仮定してゲーム理論でその構造をひもときます。
経営の実態にかかわらず噂で潰れることもあると。
そうですね。
これも実は先ほど言いましたようにコーディネーションゲームというもので分析できる。
ご存じのようにお金そんなに銀行には残っていません。
そうするとたくさんたくさんの人間がいっぺんに下ろしに来ると困ってしまう。
その状況をごくごく簡単にエッセンスを見るためにこういうゲームで見てみたいと思います。
実際には自分というのもたくさんいて相手方もたくさんいる。
そういう状況をイメージして下さい。
お互いにお金を預けたままにしておけばそれなりに利子が付いてただ単に元本をタンス預金しているときに比べれば少しいいということで「1」というふうにしておきましょう。
相手も預けたままであればお互いに利子がもらえて「1」という利得が得られると。
仮に「1」という便宜的な数字を当てはめます。
他の状況の利得も考えてみましょう。
ここで何か噂が流れたぞとなったとします。
又吉さん噂信じる方ですか?う〜んあんまり信じないですかね。
わかりました。
じゃあこの自分というのを又吉さんだと思って自分は預けたまま又吉さんは預けたままで相手が引き出すと相手はタンス預金に戻るという感じでここは損得なし。
利子ももらえないということで「0」という点数利得になったとします。
でみんなこういうふうに引き出してしまったらお金どうなっちゃうと思います?銀行が潰れちゃうと戻ってこないという可能性もあるんですかね?そうですね。
元本がチャラになってしまうと。
これはやばいですね。
やばいですね。
ここがマイナス10ぐらいとしておきましょうか。
大変な損失になってしまいます。
同じように自分だけが引き出せば利得0。
相手はマイナス10となります。
そこでお互いに引き出そうとした場合取り付け騒ぎの時のように殺到してラッキーだった最初の人だけどちらが引き出すかはその時の神のみぞ知る。
半々だとするとマイナス10の半分マイナス5。
それから相手も同様に考えて半分ぐらいの可能性で元本を失うので半分という事でマイナス5。
そういう損失が出るとしてみましょう。
それでは自分は預けたままがいいのか引き出した方がいいのか考えてみましょう。
相手が預けたままだったら又吉さんどうします?相手が預けたままだとこちらも預けたままが一番いいですよね。
そうですね。
じゃあ相手が急いで引き出そうとしてきた。
そういうふうに思った場合には又吉さんどうしますか?これはもうこのケースだと引き出すしかないですね。
そうですね。
ということは相手が引き出そうとするときには引き出した方がいい。
それから相手が預けたままのときには預けたままがいい。
相手と動きを合わせるのがいいことになります。
先ほどのオフサイドトラップの話思い出していただければ。
はい。
似たような。
確かに。
お互いで同じ考えで行動を取らないといけない。
そうですね。
これもそういう状況ですね。
そういう状況ですね。
この状況がしかし怖いのはみんなが引き出すだろうと思ってしまうとせっかくいい状態はあるのにこちらに移ってしまう可能性がある。
その結果噂がちょっと流れただけで場合によっては悲惨な状況が起きるかもしれないと。
みんなが引き出しに行ったときは銀行は破綻してしまう訳ですね。
ところがそれだけではなくて噂は僕は信じないぞというふうに預けたままにしておいた人も他の人が引き出してしまうと悲惨な目に遭ってしまう。
逆もそうですね。
こういう感じで銀行が破綻してしまうと結局みんな損してしまうと。
これって大問題ですよね。
ええものすごい大問題ですね。
1つの銀行が破綻しただけでも何兆円何十兆円という経済的な損失が発生します。
ところが1929年に起こった世界大恐慌のときにはこういった取り付け騒ぎが至る所で起きてしまいました。
ニューヨーク証券取引所での株価暴落を発端に未曽有の不況に世界を陥れた「世界恐慌」。
その影響は長期にわたり第2次世界大戦の原因の1つとも言われています。
「世界恐慌以来の金融危機」と言われる2008年のリーマンショック。
リーマン・ブラザーズは経営破綻しアメリカの主要な投資銀行も痛手を受けました。
しかしアメリカのGDPの変化率を見てみると2つには大きな違いがあります。
この差はなぜでしょうか?なぜ世界恐慌に比べて2008年のリーマンショックは被害がそこまで大きくならなかったんですかね?これはいろいろな説はあります。
しかし1つ大きかった要素として世界恐慌の教訓を生かして作られた「預金保険制度」のおかげだったんじゃないかと。
「預金保険制度」とは金融機関から保険料を集めておきもし破綻した場合にその金融機関に代わって一定限度まで預金を払い戻す制度のこと。
日本では1971年に導入されました。
…1人当たり…一見預金者を保護しているだけに思えますが実は大きな社会問題を未然に防ぐ効果があります。
銀行が仮に破綻したとしても預金が保護されていますから元本を失うことはないと。
そういう状況になっています。
例えば預けたままにしておいて相手が引き出しちゃったと。
その時の又吉さんのこの利得は今度はどうなると思いますか?預金1,000万円以下なんで…それ残りますもんね。
自分の預金は。
そうですね。
じゃあ0ですかね。
又吉さんの利得は0。
元本だけ戻ってきます。
はい。
他のケースも同じです。
何人の人が預金を引き出してもこの制度があれば大丈夫。
元本を失うことはないんです。
随分変わりましたね。
そうですね。
今度この状況だったらどうされます?預けたままにしますよね。
そうですね。
まあ焦って銀行に駆けつける必要はないですね。
他の人も同じです。
みんな預けたままにしておくので結局取り付け騒ぎのようなことは起きないということになります。
すごいですね。
1つ制度を変えただけで。
ええ。
すごく危険があったことが無くなったということですよね。
そうですね。
世界大恐慌第2次世界大戦の遠因とも言われてますので。
そういう意味では1つ大きな戦争を防いだということも言えるかもしれない。
それぐらい大きな制度変更。
じゃあ実際にこの預金保険制度というのは莫大なお金を使ってこの制度を守っていると思われますか?あっそっか。
でも言葉で宣言してるだけやからそんなにかかってないかもしれないですね。
そうですね。
確かに銀行からはお金を集めていますけれども制度を作りましたと。
それがみんなに信用されるだけでみんな安心して預けたままにしておくのでお金をかけずに危機から経済を救えるということになる。
「保証しますよ」と。
すごくシンプルですもんね。
はい。
それでこんなに結果が大きく変わるということですよね。
すごいですね!ええ。
1つの制度が社会を大きく変える。
サッカーのルール変更も競技そのものに変化をもたらしました。
例えば1866年には前にいる選手にパスができない「アウト・オブ・プレー」というルールがありました。
そのころは選手が横一列になりパスをしながらドリブルで突破するのみのラグビーのような戦術でした。
その後ルールの見直しで前へのパスが認められ早いパス回しで展開する近代的なサッカーへと進化しました。
ゴールキーパーのルールも大きく変化しました。
味方からのパスは原則手で触ってはいけないバックパスのルールや6秒以上手でボールをキープしてはいけないルールができたことでリードしているチームの時間稼ぎが減り終盤まで白熱した試合が展開されるようになりました。
小学生の時にキーパーへのバックパスが禁止になったんですけど本当に劇的に変わった記憶がありますね。
キーパーがディフェンスにパスして回して相手が追いかけてきたらまたキーパーに戻してって。
時間すごい使ってて「何してんのやろな?」と思ってたんですよ。
何か嫌らしい展開も見られたんですけれどもこのルールの変更によってそれが随分減ったんじゃないかなと。
ルール変えた人には感謝したいですね。
ああなるほど。
面白いですもんね今のサッカー。
1つのゲームの中でのルール変更というのがゲームに及ぼす影響も非常に大きいと思うんですけれども。
今度はそれを面白くするためにどういう制度を作るかと。
私が覚えているのは勝ち点。
昔は勝つと2点引き分け1点負け0点だったんですよ。
でもそうすると引き分け狙いが増えてしまって。
でいつの頃からか勝つと3点というふうになったんであれで随分またお互いに勝ちを狙うようになって。
なるほど。
日本だとサッカーだけじゃなくてプロ野球大好きな人も多いと思いますけれどもああいうプロ野球のドラフト制度とかも特定の強いチームに人材が固まらないように。
対抗しうるライバルのチームがあったりとかギリギリで勝敗が決まる方が面白いということを考えるとチームのレベルも同じぐらいのチームがあった方が…。
そうですね。
リーグ全体のことを考えればそこを競うようにいろいろな制度を取り入れていると。
1つでそれだけ変わるということですもんね。
だからサッカーでいうバックパス禁止は銀行でいうと預金を保証するのと同じくらいというとあれですけど違うかもしれないですけどそれぐらいゲームに与える影響はでかかったということで。
そういうことだと思います。
それを読み解いたりそれから具体的にどういう制度がいいのか考えたりするのがゲーム理論の面白さということが言えるかなと思います。
面白いですね。
何かゲーム理論っていうと勝つためのとかそういうイメージを持ってたのかもしれないですがそれだけじゃないんですね。
そうですね。
相手のこととかをちゃんと理解したうえで読み合ったうえで協力する方にも使えるし何でしょうね普通の仕事職場なんかでお互いがお互いのことを嫌い合ってると思ってた場合に「私はあの人の事を意外と好きだ」という事を周りに言ってその噂が広がったら向こうもそれで緊張が解けてすごく改善されることも。
そこの読み合いもいいように作用する場合もあると。
それは人間関係のことをよくわかっている人は自然にそれが身についててできるかもしれないと思うんです。
だけど「そこまでう〜ん?」という人はゲーム理論なんかでちょっとモノの見方「相手もちゃんと考える人なんだよ」という習慣を身に付けるだけで随分職場での人間関係学校での人間関係も変わってくるかもしれないですよね。
自分が相手のことを考えてるときは相手も考えてるということを想像していくことですよね。
それがすごく何かハッとしました。
よかったです。
ただ私自身は相手の気持ち読めてないと思いますけれど。
そんなことないと思いますけどね。
今回はありがとうございました。
ありがとうございました。
いらっしゃいませ。
美輪乃湯へようこそ。
2014/06/11(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「サッカーで勝つ!経済学」(後編)[字]
サッカーで勝つにはチームワークが欠かせない。作戦を選手が全員理解し,協力して遂行するメリットは,経済学の「協力ゲーム」という理論でも実証済みなのだ。
詳細情報
番組内容
例えばサッカーの守備、ディフェンス。このラインを上げるか下げるかは、選手が協力して行わないとほころびが生じ、相手に得点をされかねない。これを防ぐにはゲーム理論が役に立つ。とるべき戦略を明らかにして足並みをそろえるのが肝要なのだ。このことはサッカーだけでなく、社会生活にも応用できる。例えば銀行の取り付け騒ぎ防止など。どんな状況になろうとも被害を最小限に押さえる制度を設計するヒントにもなる。
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】東京大学教授…松井彰彦,【語り】朴ろ美
ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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