聖母・聖美物語 #53【家族の愛篇〜秘密の蓋】 2014.06.12

(瑞穂)実のお母さま。
あの方を産んだ本当のお母さまのことです。
(聖美)そのことを弘明さんに伝えようと?会わせてあげようっていうの?生みのお母さんに。
(瑞穂)最後のチャンスかもしれないんです。
最後?
(瑞穂)最近は認知症の症状が進んで体の状態も思わしくない。
この機を逃したら産みの苦しみを分かち合った母と子が一生顔を見ることもなく…。
(摩耶子)《誰か!》
(女性)《どうしたの?》《おばあちゃん》
(摩耶子)《助けて》《殺…。
殺される。
あーっ。
ああーっ!》《殺される。
殺される!》
(瑞穂)どう思われますか?奥さまは。
ひかりお嬢ちゃんにとって奥さまは育ての母。
妹さんは生みの母。
そういう状況に生きる奥さまだからこそ伺いたい。
実の親子が互いに名乗り合うことはどうあっても許されないことなんでしょうか?一緒にはできないわ。
だって私たちの場合はケースが違うもの。
ひかりのことに限って言えば秘密のふたをこじ開けてまで生みの母生みの子を結び付けるべきだとは私は思わない。
弘明さんと実のお母さんにしたって理由があって別々の人生を歩むことになったんだもの。
そのときの切実な気持ちを思ったらいまさら…。
いくらあなたが会わせたいと願っても本人同士がそれを望んでいるわけではないんでしょう?弘明さん。
お母さんを憎んでるかもしれないでしょう。
本当に会いたくないって言い切れるんでしょうか?どんなことがあったって体の中で深く深く一つに結び付いていた母と子なんです。
目に見えなくても必ず何か通じ合うもの感じ合うものがあるはずなんです。
それはきっと愛美さんとひかりちゃんだって。
一緒にしないでって言ってるでしょう!申し訳ありません。
奥さまはもうご存じですよね。
私が小さな命を闇に葬ったことを。
母になることさえできなかった女に何も言う資格はないのかもしれません。
私はきっと失ったその赤ちゃんとたとえあの世に行っても会うことは許されないでしょう。
自業自得です。
それは私の罪なんです。
でもせめて弘明さんとお母さんには…。
後悔しないで済むのなら後悔してほしくない。
この世に生を受け許された特別な絆。
産み落とし産み落とされた意味を確かめ合ってほしい。
特別な絆。
それが親子だと思うんです。
(ひかり)「メールで叔母ちゃまとつながっていると思うととっても安心します。
おやすみなさい」
(愛美)ひかり。

(ひかり)《おいしい》
(愛美)《フフッ》《こっちのジャムも試してごらん》《こっちも手作りなんだから》
(愛美)あっ。
繁郎さん?
(繁郎)久しぶり。
(愛美)久しぶりってもう相変わらずね。
いつの間に入ってきたのよ?
(繁郎)ちゃんとこんばんはって。
(愛美)もういい親父なんだからどっしりとおっさんらしい存在感見せてよね。
(繁郎)年食ったってねそうそう人間の中身なんか変わりゃしないよ。
それもそうか。
まあ座ってよ。
来た以上ちゃんとお客さんになってもらうわよ。
ハァー。
どうしたの?ため息なんかついて。
うじうじしてないで言いなさいよ。
いちゃもんでもつけに来たんでしょ?姉さんに言われて。
目に浮かぶわ。
10年たっても尻に敷かれっ放しの。
つけたいよいちゃもん。
あんなことになった原因の一端はそもそも君にだってないわけじゃ。
はあ?殴ったんだ聖美のこと。
結婚以来初めて。
マジで?ひかりのことでやり合って。
どうかしてるよ最近の僕は。
時々気持ちが抑えられなくなるんだ。
実はおふくろにも盾突いちゃったんだ。
そっちの方がもっと驚き。
色々あって話が弘明のことになって。
何であいつのことをちゃんと大事にしてやらなかったんだって。
初めて口にした。
おふくろの弘明への態度は冷た過ぎたって。
何で母親として愛してやらなかったのか。
受け止めてやらなかったのか。
がきのころからずっと思ってきたことをこの年になってやっとこさ言ったんだ。
見て見ぬふりしてた俺の方が当のおふくろよりよっぽど罪深い。
ああ。
情けない情けない。
もう何て情けないんだ俺は。
飲もう。
ワインもあるよ。
お宅のみたいに立派なのじゃないけど。
ハァー。
あっ。
ああー。
ああ。
さっき私のせいって。
もしかしてひかりが何か。
何か言ってるの?あの子のこと私がうちに泊めたから。
ホントは君に責任なんかない。
そっちは夫婦の問題だ。
君はちっとも変わらないね。
10年ぶりにひかりと会って君の方こそ複雑だろうに誰かさんみたいにとげとげぴりぴりむきになったりわめいたりしないでさ。
あっ。
姉さんのこと?ひかりは君に似てる。
何にでも正直にこう真っすぐにぶつかっていくところが。
やっぱりホントの母親じゃないってことなのかな。
どっか冷たく感じるんだ。
陽の再発が分かってからの聖美のひかりに対する物言いが。
この10年ね聖美は素晴らしくいいママだったんだ。
穏やかで優しくて。
家族の真ん中にいつも聖美の笑顔があって。
ホントに幸せだったんだ。
なのに今はどうやってひかりを説得してドナーを引き受けさせるか。
ひかりの気持ちよりそのことばっかり考えてる気がして。
バカ!こんなとこで愚痴ってる暇があったらもっと姉さんと向き合いなさいよ。
ひかりと向き合いなさいよ。
どうしたの?急に。
あんたたちがそんなふうに迷ってふらついてんなら私がホントにひかりを奪ってやる。
私の手元に取り返してやる。
しっかりしろかげろう!あっ!痛い。
普段はどんなにぼんやりしてたっていざっていうときには家族をまとめあげるのが男ってもんでしょう?大黒柱の務めでしょう!やっぱり姉妹だ。
あっ。
痛い痛い。
きょうだいだ。
こら!痛いよ。
こら!あっ。
すいません。
(愛美)えい!
(星川)ああっ。
あっ。
(星川)ハハッ。
豆まきの時季はとっくに終わったはずだが。
(愛美)ああー。
ごめん先生。
先生は福は内。
鬼は外はあっち。
あっ。
(星川)おお。
ビールもらおうか。
(愛美)あっ。
はい。
(星川)聞いてるね?奥さんに犯人捜しを頼まれたこと。
犯人捜し?
(星川)ああ。
(星川)知ってるだろう?聖母マリアからの手紙。
2通目が来たそうだよ。
(愛美)2通目?2通目って何?
(星川)そういうわけで裁判の話はペンディング。
ひかりちゃんのために手を組むことにした。
(愛美)ちょっと。
裁判って何?やめてよね先生。
2人で内緒話は。
だって何か仲間外れにされてるみたいで。
仲間外れになんかしない。
後でちゃんと全部話す。
ひかりちゃんを産んだ実のお母さんとして。
あっ。
あのう。
先生は誰が犯人だと?分からん。
今のところはまだ。
ただ個人的に気になる人物はいるんだが。
気になる人物?
(星川)行方不明の諏訪先生。
彼なんかも君ら夫婦をねたんでる口じゃないかと思って。
諏訪先生?
(諏訪)《院長は愛してるんですか?聖美さんを》《妻として陽君とひかりちゃんの母親として》えっ!?珍しいわね。
どこで飲んできたの?うん。
ちょっとね。
フッ。
何これ?えっ?うん。
あのう。
これ…。
《バカ!》《こんなとこで愚痴ってる暇があったらもっと姉さんと向き合いなさいよ》《ひかりと向き合いなさいよ》あっ。
あのさ…。
弘明さんのことなんだけど。
えっ?ど…どうぞ。
今日会ったのよ瑞穂さんに。
それでちょっとあなたに相談したいことが。
うん?
(弘明)俺を産んだ女?瑞穂さんの話じゃもう長くないらしいんだ。
ご主人は何年か前に亡くなったそうだけどちゃんと結婚して子供が3人いて孫もいて暮らし向きも悪くないし幸せにっていうか。
うん。
そう。
幸せに暮らしてきたみたいだ。
一度会っておいてもいいんじゃないのかな。
こうやって消息が知れたのも天の配剤っていうか運命の導きって気がしないか?あの女余計なことを。
瑞穂さんらしいじゃないか。
あの人はホントにお前のことが好きなんだよ。
小さいときからずっと。
小学生のころだったかお前のことよく心配そうな顔して見てたっけ。
ほら。
ケンカして帰ってきたお前がおふくろさんに叱られたときなんか飛び出したお前をこっそりかくまってくれたりなんかしてさ。
きっと俺にも言いたかったろうな。
もっと兄貴らしく弟を守ってやれないのかって。
でこないだお前のことでちょっとおふくろさんとやり合ってね。
言ってたよ。
おふくろさん自身もつらかったって。
《悪いのは母さんだ》《今日こそはっきり言わせてもらいます》
(波津子)《繁郎》《何の罪もない弘明を恨んで憎んで邪魔者扱いにして》《あいつだって素直に甘えたかったろうにその隙さえ与えてやらなかった》《私も苦しかったのよ》《縁あって私の子になってくれたんだもん》《お父さんの過ちをのみ込んで大きな心で弘明を包んでやれたらどんなにいいだろうって》まあお前からすればそれで納得できるものじゃないだろうけど。
でもね弘明。
こういう機会に産んでくれた母親に会うってことがお前がおふくろさんと向き合ういいステップになる気がするんだ。
ステップ?母さんも年を取った。
俺たちも相応のおっさんになってきた。
このままずっと顔を背け合って生きるのはむなしい気がしないか?俺は別におふくろさんを恨んじゃいないよ。
かわいがってもらった覚えはなくても育ててもらったことには感謝してる。
それでいいじゃないか。
じゃあ生みのおっかさんは?そっちには恨みもなければ感謝もない。
その人あっての弘明なんだぞ。
お前は産婦人科医だ。
ぴかぴかの新しい命を生みだすお母さんたちの姿をもう数えきれないほど見てきたろう。
男には考えられないよな。
自分の体の中にもう一つの命があるなんて状況はさ。
ハァ…。
でも女はその命を何カ月も自分の中で守って痛みに耐えてこの世に送り出していく。
すごいよな女の人ってみんな。
俺もお前もそうやって生まれてきた一人の子供だ。
母親ってつくづくありがたい存在だなってさ…。
俺のことは放っておいてください。
今まで気楽に好き勝手に生きてきた。
居心地が悪くてこの辺がぞわぞわするんですよ。
そういう話を聞かされると。
それ以前に俺は兄貴に気遣ってもらう資格はない。
資格がないどころか俺は一生柳沢家のはみ出し者。
それでいいんです。
弘明。

(ドアの開閉音)ハァ。
さっぱりした?
(陽)ひかりどうしてる?うん?
(陽)ひかりのやつ全然顔見せないから僕が言ったこと気にしてるのかなって。
ひかりに何を?お前の骨髄なんかいらないって。
パパとママの言うことなんか聞くなって。
《臍帯血もらってちょうど10年》《骨髄をもらったところであと何年持つ?》《フッ。
そうまでして生きたいなんて思っちゃいないよ》
(ひかり)《お兄ちゃん》陽。
あなた。
(陽)僕のために産んでくれたんだよねひかりを。
僕に合わせてつくったんでしょう?こんな出来損ないの体のためにそんなことまで。
妹の体を犠牲にして僕が喜ぶとでも思ったの?いつもみんなが言ってるみたいに白血球の型が合ったのが偶然だとしたってひかりに申し訳ないと思う。
そんな簡単に骨髄をくれなんて僕には言えない。
なのに何で?ママは…。
ママはあなたのために。
ひかりを犠牲にするなんてそんなつもりは毛頭なかった。
赤ちゃんが…。
ひかりがあなたを助けてくれる。
そのことだけを信じて。
何でそんなことしたの?何でひかりをただの妹として産んでくれなかったんだよ。
ひかりがかわいそうだろ!出てってよ。
出てけよ!早く!どうして?な…何を?放して。
弘明さん。
何でいきなりこんなことを?こんなものが出てきましてね。
これは。
「陽。
退院おめでとう」「あなたの生きたい元気になりたいという願いを神様がかなえてくださってママは本当にうれしいです」10年前あなたが追われるように柳沢の家を出たとき陽に宛てて書いた手紙です。
どうしてこれをあなたが?拾ったんです。
道端に落ちていたのを。
実際に陽が読んだのか渡してやるべきかどうかそれさえ分からないままこうして俺の手に。
時々取り出して読み返すうちに何だか俺自身が小さな子供になって母親の手紙を読んでるような気がしてきちまった。
自分のセンチメンタルがわれながらおかしくなってそのとき捨てたつもりだったんですけどね。
言いましたよね?あなたの中に理想のおふくろを見たかったって。
おせっかい女の瑞穂も言ってましたよ。
若奥さまの中に実の母親の面影を見てるんだろうって。
本当のお母さん。
聞いたのね?主人から。
あなたを産んだお母さんのこと。
それで急にそんなことを。
どうだっていいじゃないか。
産んだのが誰であろうと育てたのが誰であろうと。
心が母親を感じない以上事実なんて何の価値もありゃしない。
そういう意味じゃ俺があなたの中に求めた虚像の方がまだリアルだ。
本当の親。
生みの親。
遺伝子上の親。
何だって猫もしゃくしもそのことばかりにこだわる。
これだからいつまでたっても日本の生殖医療は進歩しないんだ。
生殖医療?そう。
あなたが何度も経験した生殖医療です。
陽のような一般的な体外受精だけではなく第三者の精子や卵子を用いられるケースも増えてきてる。
いわばひかりのやり方に近い方法です。
親たちはよかれと思ってしたことなのに成長した子供は事実を知って悩み始める。
親たちはそのことにおろおろする。
フッ。
そんなこと最初から分かってたはずだ。
私の場合はそうじゃないわ。
秘密さえ守られればひかりが悩む必要はなかった。
私たちが戸惑う必要もなかった。
そのために万全の対策をしてきたのよ。
100%なんてものはこの世には存在しない。
悩むくらいならやめておけ。
生殖を神から奪い取って人の手に委ねた以上どんなことが起こったっておかしくない。
それだけの覚悟をしろと言ってるんだ。
それがどういうことかどんな可能性を示唆するかあなたに分かりますか?事によったら陽やひかりの父親はこの俺だったかも。
あの子たちの父親が?俺にはそれができた。
まさか…。
まさかあなたそんな恐ろしいことを?やりましたよ。
二度目の体外受精のとき。
一度目があえなく失敗に終わってどうも兄貴の精子じゃ駄目らしいと判断した。
それで元気のいい俺の精子に切り替えた。
(弘明)《俺だって兄さんと同じ父親の心境なんです》嘘。
嘘よ。
事実です。
2014/06/12(木) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #53[字][デ]【家族の愛篇〜秘密の蓋】

聖美(東風万智子)はひかり(小林里乃)が愛美(三輪ひとみ)のもとにいると知り、衝撃を受ける。自分の出生について悩み苦しむひかりは、本当のことが知りたいと…

詳細情報
番組内容
 聖美(東風万智子)は、瑞穂(魏涼子)から弘明(金子昇)を産んだ実の母が見つかったことを聞かされる。すると、瑞穂は愛美(三輪ひとみ)とひかり(小林里乃)のことを持ち出し、実の親子が名乗り合うことはいけないのかと聖美に問う。答えに窮する聖美は、自分たちと弘明親子のケースは違うとしか言い返せず…。
 繁郎(原田龍二)が愛美の店に現れる。
番組内容2
この十年、幸せな日々を送ってきたが、陽(上遠野太洸)の病気が再発したことで、聖美はひかりを実の娘と思っているのか、息子のドナーと思っているのか正直分からなくなった、と打ち明ける繁郎。昔と変わらない彼の愚痴を聞かされ、愛美は怒りを露わにする。
 繁郎は、聖美から弘明の実の母のことを聞く。それを知った繁郎は、弘明にもそのことを告げる。自分の本当の母親が余命いくばくもないと聞かされ、弘明は…。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:藤木靖之
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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