京都地検の女5 2014.06.12

(あくび)
(池内弘二)おいあくびするな。
すいません。
(成増清剛)金出せ!おおっ…。
(ため息)何だよ成増さん…。
何だよお前ら隙だらけだな。
あくびしやがってこの野郎お前は。
子供じゃねえんだから。
えっ?何でこんなところ来てるの?そっちこそうちの近所で張り込みなんかしやがってお前ら。
近所って?…ああ成増さんのとこ確かお寺さんだったね。
そうだよ。
でどこ張ってるの?あの家。
京刃物屋です。
我々が張ってるのはホシの実家で容疑は傷害です。
ふ〜ん。
ホシがのこのこ実家に現れるかねぇ。
で被害者との関係は?飲み仲間だそうです。
目撃者がいて似顔絵を。
(刑事)池内さん。
うん?おっ。

(松木尚子)潤一…。
(池内)こんばんは。
ちょっとお話いいですか?よう。
おおっ?ふ〜ん…よっしゃ。
来いよオラ。
大外刈り!オラッ!よいしょー!
(松木潤一)ああっ!ああ成増さんもう大丈夫ですよ。
下がってろ。
(池内)おい。
この金は何の金だ?借りた金返しに来ただけだよ。
(池内)よし行こうか。
はい起きよう。
はいはい…。

(鶴丸あや)これでよしと。
(鶴丸りん)ネットオークションなんて簡単でしょ?うん!でもさ無駄がお金に変わるなんてなんて素敵なの!ふふふ…。
だけどほとんど新品同様なんだから八掛けぐらいで売れないかなこれ…。
無駄を省く前に無駄なもの買わないほうがいいと思う。
ねえ高く売れたらさりん温泉行こうか。
温泉?やった!よし高く売れろ高く高く…。
(高原純之介)いやぁ冷たいなあやちゃん。
いやまさか副部長があの乗馬マシン狙ってたなんて…。
(高原)今さら出品取り下げるなんてできないんだろうね。
それはちょっと無理ですわ。
あっ副部長も入札なさったらいかがですか?新品同様でも落札価格は半値以下だそうですから。
見かけによらずせこいね君も。
どっちがせこいのよ…。
ああ何か言った?いえいえ。
いえ。
次の案件なんだけどねええと…傷害かあるいは傷害致死にも。
判断が難しいぞ。
ああ…ということは被害者は生死の境にある?ああ。
アゴが砕けて意識不明の重体だそうだ。
あああの殴打事件ですね?被疑者が元ボクサーの。
今は宝飾品販売会社のセールスマンだそうだ。
それもマルチ商法のな。
まあ…高くてうさんくさいアクセサリーを売りつける主婦の敵ですわね。
わかりました。
気合入れてやります!では!あやちゃんにもってこいのヤマだと思ったんだがなぁ…。
ちと軽率だったか…。
あなたには黙秘権があります。
自分の意思に反して供述する必要はありません。
では始めます。
松木潤一さん。
あなたは四条大宮のマージャン屋において知り合いの斉田和男さんを見かけ10万円を貸していたのを思い出し返してもらおうと声をかけた。
(松木)おい。
(斉田和男)おお!話があるんだ。
出ろ。
ところがとぼけられたため近くに連れ出し斉田さんの顔面腹など数か所を殴り放置して逃走。
これに間違いありませんか?はい。
斉田さんは今死線をさまよっています。
助かってほしいです。
元ボクサーのあなたがなぜそこまでひどく彼を殴ったんですか?わずか10万円で。
あの人とは寿司屋でよく一緒になって。
しょっちゅう相談に乗ってもらいました。
説教もされた。
感謝はしてました。
けど「貸した金はこれまで相談に乗ってやった相談料だ金なんか返さねえ」ってそう言われてつい…。
(太田勇一)これは早く片付くぞ。
どんな相談をしたんですか?まあいろいろと。
仕事とか女のこととか。
親御さんとは10年以上音信不通だったそうですね。
(松木)まあ…。
その親御さんに最近突然500万円借りたそうですね。
事件とは関係ないでしょうそんなこと。
嫌な予感がする…。
ではなぜ犯行翌日にそのお金をわざわざ実家まで返しに行ったんですか?
(松木)なぜって…借りた金を返しに行っただけです。
万が一被害者の方が亡くなればあなた殺人犯ですよ。
そんな人間が取る行動とはとても思えませんが。
だから関係ないって言ってるでしょ。
(机をたたく音)関係あるかないかは私が決めます!調書によればあなたその500万円をわずか10日で工面してますよね。
黙秘します。
(ため息)被疑者は途中まで素直に答えていたんだ。
検事!あれは明らかに誘導ミスです。
(本木恵介)言った…。
先入観が強すぎました。
反省します。
いやわかっていただければいいんですけど…。
(ため息)私もまだまだ修行が足りないわねぇ。
もっと冷静な判断力と客観的な視点を養わなければ!何よりもっともっと被疑者のことを知らなくちゃ!…うん?被疑者のことっていいますと?決まってるでしょ。
松木の借金500万の理由よ!
(本木)松木が被害者に貸したのは10万円ですけど?だってその気になったら10日で工面できる500万をわざわざ10年以上も音信不通の親から借りてるのよ?おかしいでしょ!検事これは10万円を巡る…。
君は松木の会社の聞き込み。
スケジュール調整よろしく。
じゃあ。
親の借金関係ないと思うんですよ。
ああもうせっかく言ったんですけどね…。
やぶ蛇でしたね。
えっ俺のせい?斉田さんはよく松木潤一にお説教をしていたようですね。
(森重)ああ…酔うてしょっちゅう絡んでましたよ。
なあ連絡とってやれよ。
親父さんはともかくおふくろさん心配してるぞ。
(森重の声)斉田はんも親に勘当されてたらしくて…。
ということは松木潤一も親から勘当されてたんですか?ああ。
えらいきついケンカして家出たみたいですよ。
その原因は?さあ…。
せやけど彼の恨みも根が深そうでしたなぁ。
「親なんてうざいだけだ。
一生親とは縁を切る」なんて…。
そうですか…。
ごめんください。
(尚子)はい。
あっどうも。
私京都地検の鶴丸と申します。
助からはりました?被害者の人。
いえ…まだ意識は戻らないようです。
そうですか…。
お父さん京都地検の検事さんが。
成増さん。
では私はこれで。
(松木繁)ご住職によろしくと。
はっ。
どうしてあなたがここに?色即是空。
人にはそれぞれえにしがあるものです。
うちのお寺のお坊さんです。
息子のことで心配してくれはって。
ああ…。
意識戻りませんか?被害者の方。
あっ…残念ながらまだ。
まあ…ことわざどおりなんですね。
「鉄は熱いうちに打て」。
冷めた鉄は焼き直せばいい。
人間も同じですわ。
息子さんが電話でそう言ったんですか?家業を継ぐと。
ええ。
会社うまくいってないようでね。
会社が?ええ。
よいしょ。
(尚子)里心がついたんどすやろきっと。
そやかて焼き直したところで冷めた鉄が形変えられるかどうか…。
あの…借金500万円について伺いたいんですが。
細かいことは聞いてないんですよねぇ?仕事で急に必要になったとかで…。
仕事?あの…奥さんは息子さんからの電話には…?いいえ。
出てません。
私には内緒でコソコソ…。
ねえ。
(繁)あいつがお前に心配かけたくないと言うから…。
隠したかて通帳見ればすぐわかってしまうのに。
(繁)ああイタッ…。
ほらはりきりすぎるさかい痛うなる。
ああ…納期があるんや。
(尚子)リウマチ長いの。
そろそろ引退したらって何べんも言うてるんですけど…。
ああ…こっちの炉は使ってないんですね。
(尚子)昔は主人と主人の父が2人でやってたんですけど今は…。
余計なことを言うな。
おい水。
(尚子)人使いが荒いね。
奴に伝えてくれませんか?はっ?勲章を見つけたと。
勲章ですか?ええ。
屋根裏の勲章。
そう言えばわかりますから。
十数年前ここで修行してた頃の松木潤一。
これ。
ねえねえ友子ちゃんこの人知ってる人?
(成増友子)えっ…こんな人何人も見てきたしなぁ。
ねえ。
昔からなワルどもを鍛え直すのが親父の信条だったからねうん。
あっふふふ…そうねぇ。
何何何?ううん何でもない。
失礼します。
ふふふ…。
ねえそれで?それで?うん?ああ…うん。
あの松木家は江戸時代から続く京刃物の老舗でまあ父親も代々続く家業を守ろうと息子に無理やり後を継がせようとしたが反発した息子は非行に走っちゃったらしいんだよ。
(ため息)やっぱり借金500万が事件を解く鍵ね。
あっ出た!出たよ出たよまたおばちゃんの勘が。
おばちゃんじゃない。
主婦の勘!それに根拠もちゃんとあるわ。
いい?そんな松木潤一が十数年ぶりに親に電話をしてきた。
用件は2つよ。
それはあれだろ?家業を継ぐって話と500万だろ。
そう!仕事がうまくいってないっていうのが理由だったらしいんだけどでも逮捕された時のあのシャツ。
いい生地でダブルカフスの…あれ絶対ブランド物よ。
それにあの爪。
ピッカピカに手入れされてた。
仕事がうまくいってないはずないわ。
つまり家業を継ぐっていうのは父親から金を引き出すためのエサだったと?
(ため息)もしそうだとしたら残酷よね。
十数年ぶりに連絡してきた息子に騙されてお金貸して…未だにその息子の言葉を信じてさ…。
まあまあまあ気持ちはわかるけどなちょっとひと言いいか?うん?何?あのさ人の家のおせっかいこうやってさ思い込みでしゃべるのもいいよ。
けどなまたそんなことやってるとなまた京都地検からな北海道とか沖縄とか東北とかまた…バンバンバンバン飛ばされるぞ。
大きなお世話さま!…まったく。
おまけに外車2台も所有してるそうです。
やっぱり嘘だったのね仕事がうまくいってないなんて。
外車2台って誰の話?
(本木)例の元ボクサーですよ。
あこぎな商売で贅沢三昧か。
生活だって普通の勤め人とは違いますよ。
出勤だって自由やし。
そういえば事件前日から仕事休んでたわよね。
何で?体調を崩して寝込んでたんです。
2日も閉じこもってたんで。
まあだからあの夜は気分転換にマージャンを。
お父さんに家業を継ぎたいと言ったそうですね?いきなり脱線かよ…。
理由は仕事がうまくいってないからだとか。
高級マンションに住んで外車は2台。
社内でトップセールスのあなたがうまくいってないって…これ嘘ですよね?
(咳払い)あの人にしゃべらないって約束してくれますか?あの人?親父です。
いいでしょう。
約束します。
騙しましたよあの人。
家を継ぐ気はありません。
お金を借りるために嘘をついたんですか?
(咳払い)まあ急いでたんです。
他に当てもなかったし。
でも後悔してますよ。
だから謝ろうと直接金を渡しに…。
できるだけうやむやにしたいんです。
わざわざあの人にばらす必要もないでしょう。
お父さんはまだ家を継ぐと言ったあなたの言葉を信じてらっしゃるようでしたよ。
縁の下の力持ちなんて冗談じゃない。
縁の下の力持ち?
(咳払い)
(ため息)この話はもうやめてもらえませんか?さっさと起訴してください。
(咳払い)屋根裏の勲章って何ですか?松木さん。
屋根裏の勲章。
そう言えばわかりますから。
お父さんからの伝言です。
屋根裏じゃなくて天井裏ですよ。
えっ?何かちぐはぐなところが気になって…。
つまりこういうことか?松木は親から500万騙し取るような卑劣な男でありながら親を傷つけまいと真実を隠そうとしている。
あんなものは底の知れた三文芝居に決まってますよ。
あれは嘘をついてる目じゃなかった。
…といいますか検事そもそも松木親子の問題に議論の時間を費やすのは無意味ではございませんか?無意味?傷害事件の犯行動機は500万ではなく10万ですよ?10万の貸借関係のほうを調べるのならまだしも…。
10万の貸借関係があったかどうかもまだわからないでしょ!じゃあ何ですか?検事は松木の自供を疑うんですか?高級マンションに住んで外車2台も持ってる男が10万で人を半殺しにする?まあまあまあまあ…落ち着きなさい。
もう…!ええっとだなぁ…被害者の意識が戻れば明らかになるんだがなぁ。
急用を思い出しました失礼します!おっおい!君が行ったって意識が戻るわけ…。
わかりやすい人。
同感だ。
被害者は変わらず意識不明のままです残念ながら。
ああっちょっと待ってちょっと待って。
ねえねえ…あと1つ。
ねえねえねえねえ松木は事件前日から会社休んでたって?ええ。
まあ体調不良とかって。
あれちゃんと裏取った?何でただのケンカでそこまで調べる必要があるんですか。
いやだってさ納得いかないんだよ松木の供述!ああ…じゃあもうこっちで調べるわよぐうたらデカ!さっ。
(池内)あっ。
あっあっ…。
松木を最後に確認した会社の受付の子が中年女性の訪問客と出かける松木を見送ったとか言ってました。
中年女性?息子さんの会社の受付に訊いたところ事件の2日前に潤一さんを訪ねてきた女性はとてもやさしい京都弁を話す品のいい奥様だったそうです。
年格好からいっても奥様だったんじゃないですか?ご主人から息子さんの借金の話を聞いて心配になって会いに行った…違いますか?私です。
息子さんの居場所はどうやってお調べに?先月友達に強引に誘われてあの会社のお見立て会に…。
そこで偶然潤一を見かけて…。
ビックリしました。
東京にいるとばかり思うてましたんで。
ショックでした。
十数年ぶりに見た潤一はまるで別人で…。
ドキドキして私逃げてしもうたんです。
しばらく主人には言えずにいました。
そうしたら先日…。
えっ…。
500万円をどこかの口座に振り込んでいるのに気づいた。
それで主人を問いただして潤一から電話があったことを知ったんです。
そやけどおかしいと思いました。
「潤一が家業を継ぎたい言うてる」…。
主人はそう言うけどお見立て会で見たあの潤一がそんなこと言うなんて信じられませんでした。
それで本人に確かめようと会社を訪ねたんですね?案の定というか…その言葉は嘘でした。
どうしても金が必要だった。
それでつい家業を継ぐだなんて…。
ごめん。
後でうまく取り繕うつもりだったんだ。
金はできるだけ早く返す。
だから親父には黙っててくれ。
息子さんから借金の本当の理由聞きましたか?
(尚子)教えてくれませんでした。
ああ…そうですか。
検事さんこのことを知ったら主人がどれほど傷つくか…。
そやから主人には…。
言いません。
安心してください。
母親にばれて返済を迫られ会社を休んで金策に走った。
その相手の中に被害者がいた。
つじつまが合うじゃないか!親を騙すのは心苦しいけどでもやっぱり背に腹は代えられなかった。
そういうことだよ!釈然としないわ!すべてのつじつまが合いすぎてて気持ち悪い!ええ〜?付き合ってられないわ。
後を頼むぞ。
ええ〜?
(ため息)
(一同)華道!?えっ?麗子さんがお花習い始めたの?
(桜井麗子)ああ違う違う!娘がね。
花嫁修業。
私なわけないじゃない!
(吉川香織)そうやなぁ。
(漆原さやか)上流階級じゃあるまいし。
花ばさみだってたった1万9千円の安物だし。
(4人)1万9千円!?そんなもの100円ショップでいくらでも買えるやろ!京都の伝統芸術よ。
だってさそのさ1万9千円のはさみっていうのはやっぱりこう切れ味とか違うの?そうそうそう…。
なんたって京刃物どす。
京刃物?もう造花のね針金もねパッツンパッツンパッツン…。
(柿野たまこ)京刃物ならうちの店でも使ってますよ。
ほら。
(3人)うわぁー!あっホントだ。
ちゃんと銘が入ってる。
この包丁があるからこそおいしいジュースが作れるんです。
あっ!それで縁の下の力持ち。
京刃物って刀鍛冶のことでしょ?うん。
刀は昔の話よ。
今ははさみとか彫刻刀とか包丁とかいろいろ作ってる。
まあそれが京都の伝統を支えてきたのよ。
西陣織京象眼京扇子京料理。
京刃物職人って職人が使う道具を作る職人ってわけね。
そう。
で縁の下の力持ち。
ねえ近すぎない?うん?いいじゃん親子なんだから。
いややっぱり近すぎると思う。
何で?親子じゃん。
いやでも…。
(成増清一)清剛!のぞき見とは行儀が悪い。
すいません父上。
実は…。
ご住職話してくださった?ああ。
ケンカ万引き器物損壊…。
松木は何度も警察の厄介になったらしい。
そう…。
それで高校を中退した後うちの寺に来たと…。
その後ボクシングジムに通うようになってまあ少しはまともになったらしいんだけどある日突然プロのボクサーになるって言い出したんだよ。
まあ家業を継ぐとばかり思ってた父親は大激怒だ。
殴り合いの大ゲンカをしたらしい。
(松木)誰が継ぐかこんな家!縁の下の力持ちなんて冗談じゃねえ!
(清一)潤一!シゲさん…。
父親は警察へ息子を引き取りに来なかった。
以来11年。
11年?はあ…ご住職よく覚えてらしたわね。
ああ…。
万引きの戦利品の数を競うような奴だからコソ泥にでもなったんじゃねえかなぁなんて心配してたんだと。
万引きの戦利品…。
ああ…。
まあそれが男の勲章だとかよ自慢する奴だからまあろくでもねえな。
勲章?そうかそれだ…。
そうです。
あいつの部屋の屋根裏です。
あいつが電話で言うたとおりそこに段ボール箱が隠してあった。
それが勲章やなんて…申し訳ありませんでした。
今さらあのバカ息子をかばいたくはないが共犯になってみとうなりましてね。
共犯?ええ。
秘密を共有すれば心が通い合えるようなそんな錯覚を起こしましてね。
思い起こせばそういうこと今まで一度もなかったような気がして…。
そうでしたか…。
ですからその屋根裏の勲章を肴にこう一杯飲もうと言われた時はうれしかった。
夢見てるようやった。
うれしくてついあなたに伝言を頼んだ。
あっ天井裏だそうです。
屋根裏じゃなくて天井裏ですよ。
息子さんが…。
いやいや確かにあいつは屋根裏と言うた。
体はガタきてますがね耳も頭もまだシャンとしてますよ。
斉田さんあなた松木から10万円の現金借りたこと認めますか?はいイエスの時は瞬き1回ね。
ノーの時は瞬き2回で答えてください。
結論から申し上げますと被害者斉田和男は被疑者松木潤一の供述を全面的に認めました。
認めた!?松木から10万円借りたことも返済を渋ってとぼけたことも彼は認めました。
自分に多少の非があると思うかとの質問にも彼はイエスと答えました。
被害者と被疑者の供述が一致したってわけか。
つまり500万の借金は事件とは無関係と。
これで気が済みましたか?鶴丸検事。
もう疑う余地はなさそうだねあやちゃん。
米粒ほどもありませんね。
わかりました。
明日中に起訴状を提出します。
(ため息)今夜の彼女はやけ酒かな?
(一同笑い)
(森重)いらっしゃい。
何だよ。
今さら松木潤一が通ってた店に来るとはよ。
往生際が悪いっていうか何ていうかな…。
あっすいませんどうも。
あなたこそ何しに来たのよ?ケンカ売ってるの?いやいや。
そんなことないよ。
あっちょっと鉄火巻きな。
へい。
いや俺はあのガイシャの斉田って野郎どうも気になるんだよな。
半殺しの目に遭いながらよ素直に自分の非を認めるか?普通。
あれたたきゃホコリ出てくるぞ。
私が引っかかるのは屋根裏と天井裏。
屋根裏と天井裏ってお前一緒じゃねえかよ何だよそれ。
だから松木がねお父さんに電話を…。
ご主人松木潤一いつもどこに座ってました?えっ?どこってそこ。
検事さんが今座ってはる…。
見えた!松木の気持ち。
あの包丁!えっ?あとちょっと…ああ…。
ああもう…あとちょっとなのよね…。
(ため息)
(携帯電話)うん?
(携帯電話)公衆電話?
(携帯電話)もしもし?
(りん)「売れたよ売れた!結構いい値で売れました!」はあ?
(りん)「オークションよ」「駆け込み入札で一気に跳ね上がって」どちら様ですか?
(りん)「私よ私。
娘の声もわからないの?」あんた何で公衆電話からかけてるの?携帯家に忘れたの。
まったく…私よ私ってちゃんと名前があるんだから自分の名前を…。
ああ…!そうか…。
検事今日中に起訴状を書くという約束でしたよね?えっ?もう一度聴取する!?まじめに言ってます?マジよマジ!わかったらさっさと手続き!検事さん…。
昨日被害者の方が意識を戻されました。
これで潤一さんが殺人罪に問われることはもうありません。
ありがとうございます。
潤一さんは傷害罪か殺人未遂罪で起訴されることになります。
そのどちらを取るか今悩んでるところです。
それは潤一さんの本当の動機がわからないからです。
潤一が嘘ついてるいうんですか?私はそう感じてます。
でもそれは誰かのためについている嘘ではないかと。
お父さんの…ご主人のため。
違いますか?私は何も…。
では500万円の振込先を教えてください。
知りません。
私は何も知りません!もうやめましょう奥さん。
そんなのホントのやさしさじゃないわ。
嘘はいつか必ず暴かれます。
真実から目を背けてはダメです。
ちゃんと向き合わなきゃ。
嘘でご主人は救えません!あの子言いました。
会社に潤一を訪ねた時です。
この11年間家に電話なんかただの一度もしてないって。
ああ…よく話してくださいました。
検事さんこのこと主人には…。
被害者でも家宅捜索ってされるんですか?斉田さんも気の毒にねぇ。
用が済んだら声かけてくださいね。
検事さんいつまでこんなことを続けるんですか?俺は全部認めてるじゃないですか。
松木さんあなたは以前行きつけの例の寿司屋で包丁を研いであげたことがあったそうですね。
その銘はお父さんのものでした。
あなたはそれを知っていてあの店に通っていたんじゃありませんか?ただ単に店が気に入っていた…それだけです。
あなたがいつも座っていた席からご主人の手元がよく見えました。
あなたはいつもそこでお父さんの包丁を見てた。
松木刃物の包丁を。
万引きの盗品だそうですね屋根裏の勲章。
あなたは天井裏と言った。
でもお父さんは間違いなく電話で屋根裏と聞いたと…。
この食い違いの理由やっとわかりましたよ。
あなたから斉田さん斉田さんからお父さんへの伝言ゲームは正確に伝わらなかった。
斉田って被害者の…?どういうことですか?さっぱりわからん。
あなたは寿司屋で万引きの戦利品のことを話した時「天井裏の勲章」と言った。
でもそれを間違って「屋根裏の勲章」と記憶した斉田さんはお父さんに電話で「屋根裏の勲章」と言った。
斉田さんがお父さんに電話したんですか?言い間違いは検事ですよ。
電話をしたのは斉田ではなくここにいる…。
いいえ電話したのは斉田です。
松木潤一に成りすました斉田和男!ええっ!?斉田はあなたから聞いた身の上話を利用して息子を装って実家に電話し家業を継ぐと言って500万円を振り込ませた。
あなたしか知らないはずの盗品の隠し場所を伝えたのもお父さんを信用させるため。
振り込め詐欺?そう。
そういうことですね?松木さん。
でもじゃあ何でそれを訴えないんですか?
(携帯電話)はい鶴丸。
斉田の部屋から500万振り込まれた通帳見つかった?あっありがとう成増さん。
お父さんから騙し取ったお金…。
あなたが斉田を訴えなかったのはお母さんから頼まれたからですね?詐欺に遭ったことをお父さんに知られないようにしてほしいって。
(ため息)最初は何が何だかさっぱりわかりませんでしたよ。
11年ぶりにおふくろが訪ねてきたと思ったら「本気で家業を継ぐ気があるのか?」…「500万は何に使った?」…なんて言い出して。
電話なんかしてないよ。
この11年間1度も!あんたやなかったらほな誰が…。
振り込め詐欺だ…やられたんだよ!警察に電話するよ。
知られたないんやお父さんに。
(松木)えっ?お父さんあんたをずーっと待ってた。
どうせ食えんようになって泣きついてくる。
そやからリウマチをおして続けてきはった。
あと1年あと1年って…。
500万ぐらい俺が何とかするよ。
お金で解決できること違う!あんた泣きついてきたんやで?家業を継がせてほしいって。
それは俺じゃない。
そやな…にせものの息子。
けどお父さんの中では本物なんや。
まだ本物だと信じてはる。
わかるん…鋼たたく音張り切ってる。
(尚子)生き生きしてるんや。
(鋼をたたく音)その音がすごくつらいんや。
じゃあ詐欺師なんていなかったことにして500万は俺が直接あの人に返すよ。
それでいいだろ。
お金の…。
悪いけど家を継ぐのはごめんだ。
その時既にあなたは犯人に思い当たっていた。
すぐわかった。
犯人は斉田だ。
俺がしゃべった話を奴が詐欺に利用したに違いないって。
奴は最初とぼけてたけど…すぐ開き直った。
まあ20万ほど使っちまったがそれはおたくら親子の和解のきっかけを作ってやった謝礼ってことで…なあ。
おうそれから例の勲章の隠し場所な言っちまったぞ。
勲章を肴に一杯やろうって約束もしておいた。
だから親父には黙っててやれよ。
それがお前のできる最高の親孝行だ。
おう喜んでたぞ親父さん。
「夢見てるのか?俺は」って声詰まらせてさ。
「夢見てるのか?俺は」って…。
(松木)うわーっ!!
(斉田)うっ…うっ…!うっ…うわぁ!あの時何であんなに殴ったんだか…。
あなたが殴った相手はきっと自分自身だったのよ。
お父さんを侮辱する斉田の言葉の中にあなたは自分自身の心の声を聞いた。
そしてその声に耐えられずに殴ってしまった。
お父さんの作業場に桐箱がありました。
真新しい桐箱です。
それが何なのかあなたならわかりますよね?砥石…。
そう。
でもただの砥石じゃない。
お父さんから後を継いでくれる息子への贈り物。
幾世代もの京刃物職人がつないできた…それはたすきです。
たすき?京都の伝統工芸を支えてきた縁の下の力持ちからあなたへのたすき。
そのたすきを受け取るかどうかはあなたの自由です。
大切なのは…ここに誇りがあるかどうか。
今のあなたに誇りはないわ。
ないから意地を張ってる。
父親がまぶしくて近寄れなくてその言い訳に意地を張ってる。
これはチャンスですよ。
あなたのにせものがくれたチャンス。
本当の自分を取り戻す最後のチャンス。
さあ本物の出番よ。
もう少し頑張ってくれないか。
俺が一人前の職人になるまで…。
お願いします。
(繁)冗談やない。
何十年かかると思うとる。
すぐや。
ずっとあんたの背中見ながら育ってきたんやさかいあっという間やわ。
親父の手にそっくりや。
父さん…。
ありがとうございました。
松木潤一ですが傷害罪が相当と思われます。
(高原)そうか。
はい。
(高原)いやそれにしても振り込め詐欺とはね。
ところであやちゃん例の乗馬マシンなんだけどね…。
ああ…はい。
ちょっと思ったより値が張っちゃったんで今度取りに伺うよ。
送料もったいないからね。
あっあの…じゃあもしかして…落札したの副部長!?何が半値以下だよ。
最後の最後ドーンと跳ね上がっちゃってさ。
うわぁ…だってしょうがないですよオークションですから。
…ホントにマジでせこい。
それがね声はそんなに似てなかったんだって。
へえ…。
10年って子供の声も忘れさせちゃうのかな。
やっぱり親子は一緒が一番ですよね。
そうよ。
近すぎてもうざいけどね。
ちょっとあんた…。
いやまあまあ…いずれにしてもな騙す奴も悪いけどな騙されるほうも隙があるというか。
子供の声ぐらい何で忘れるんだ?忘れちゃダメだよな。
何言ってるのよ成増さん。
あなたがそんなこと言えるの?ねえ友ちゃん。
はいじゃあ後は親子水入らずで。
ほら座って。
いやちょっと…何何何…?ちょっと…天下のあやちゃん…。
お父さんしっかりね。
ちょっと…ちょっと待って!ちょっとりんちゃん!ちょっと…!着物…似合うな。
照れてる照れてる。
おおたい焼き?たい…めでたい!…なんてなははっ。
2014/06/12(木) 15:05〜16:00
ABCテレビ1
京都地検の女5[再][字]

「殺意の伝言ゲーム!!一致しすぎる供述!?」

詳細情報
◇番組内容
“主婦の勘”を武器に難事件に立ち向かう京都地検検事・鶴丸あや(名取裕子)の活躍を描く大人気シリーズ第5弾!春の京都を舞台に、事件の裏に隠された心の奥深くを描き出す大人のミステリー。新レギュラーに寺島進を迎え、装いも新たに生まれ変わった「京都地検の女」をお楽しみに!
◇出演者
名取裕子、寺島進、益岡徹、渡辺いっけい、蟹江敬三 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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