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側室となって、あいつらを見返してやりますっ! 作者:七瀬 せな

側室合格者

さっきの件で、悪目立ちした私はそそくさとその場を離れ、今や情報収集のため聞き耳を立てる壁の花となっていた。
どんどん増えていく側室希望者に若干うんざりしつつ、集めた情報を整理する。
ルイス様は、金色の髪に綺麗な青の瞳らしい。
年齢は26歳で(私と9歳差!)17歳、丁度私の年齢の時に前王の死で即位。
どうやら臣下達に優れているらしく、また信頼も厚いらしい。

…ふむ、なかなか良い国王陛下ではないか。

私の中の陛下の好感度が少し上がったが、問題はここからだった。
私は目の前のグループの中心にいる、情報提供者であるお嬢様を見る。
陛下と同じ金髪の髪に少しつり上がった紫の瞳をした彼女は、何度か陛下に会った事があるらしく、私の陛下による知識の殆どは彼女からと言ってもおかしくない。
彼女は、大臣の一人の娘らしく、陛下に対して愚痴を零していた。
まぁ、一言で言えばまったく女っ気が無い事が問題らしい。魅力的な女性が言い寄っても、夜這い(どんだけ必死なんだ)させても、無表情で「近寄るな」と射殺すような視線を向け、撃退しているとのこと。王宮内では、陛下は男が好きなんじゃないか、とまで噂になってるらしい。
ーーこれは、女嫌いどころの話じゃないわ!
大丈夫か、私達の国の王様は。
まだ続いてる彼女の話しによると、日に日に彼女の父親はやせ細り「早く、早く世継ぎを…」とぶつぶつ言っているらしい。…近日中に、その大臣死ぬんじゃないだろうかと私は密かに思った。

そうしてる間に、大広間がざわつき始める。そろそろ始まるらしい。ふぅ、と私が息をついた瞬間、大広間のざわめきが大きくなった。

金色の髪をなびかせた男が壇上に立つ。ここからじゃ顔は見えないが、その堂々とした立ち姿に何となく国王陛下だろうと直感した。

「今日は、急だったのにも関わらず私の為に集まってくれて感謝する。側室を決めるためだとは言え、パーティーだ。楽にしてくれて構わない。また、側室は、私が気に入った者のみとする。以上」

そう言って、壇上を降りる。
あっさりしすぎじゃないだろうか?不機嫌そうに聞こえたのは、私だけ?
ぼんやりしていると、あっと言う間に陛下は囲まれてしまった。ハーレム状態である。
壁の花状態から抜け出せずにいた私に、不思議に思った文官が近づいて来る。
「メリア嬢、ですよね?貴方は、陛下の側に行かなくて良いのですか?」
何故か私の名前を知ってる文官に困惑気な視線をむけると「いや、さっきの見ていたので」と、少し困ったように笑う。
ちなみに。さっきの、とは私が大失敗した事だろう。何よ、笑いに来たのなら足を踏みつけてやる。
殺気を出しながら睨むと「違いますから!」と慌てたように手を顔の前で振った。
「そ、その、メリア嬢は陛下にアピールしないのかな-、と」
「…あの状況で、アピール出来ると思いますか?」
私は、完璧なハーレム集団を指差して問うと「あぁ…」と気の抜けた声が聞こえた。
「では、どうやって側室になるつもりです?アピールしなきゃ、選ばれませんのに」
文官の言うことは最もだ。そう、アピールしなきゃ、側室には選ばれない。
だが、陛下だけアピールすれは良いって物じゃないだろう。微笑を意識しながら、顔を文官へとむけ、悲しげな声音を出した。
「私、実は今日、叔母…いえ親戚に家を追い出されたんですの。一銭もお金も持たされず」
あぁ、あのときの勝ち誇ったような叔母の顔。
苛立ちが募ったが、きつく拳を握りしめるだけに留める。
「その時、陛下が側室を募集すると聞いて…こんな理由で来ては行けないのは分かっていますわ。でも、諦められなくて。一縷の望みをかけて来ましたの」
そう言って目を伏せると、慌てたような声が聞こえた。
「そうとは知らず、辛い事をお聞きしてすみません!」
「いいえ。貴方は、知らなかったんですもの。気にしてないですわ」
儚げに微笑むと、痛ましげな視線を送られた。
引っかかったな!ニマニマしたいのを抑えつつ、私は、心の中で声をあげた。
どーだっ!天涯孤独な少女を完璧に演じられてるだろう!?
実は、王城にくる前にあるオバサンに吹き込まれた悪知恵である。
『陛下が駄目なら周りにいる臣下達にアピールする』
陛下の側室になる、と呟いた私に笑いながらオバサンは教えてくれた。
いくら陛下が気に入ったからって、陛下の害になる人は選べないし、まず臣下達が納得しない事には側室にはなれないだろうと。
しかも、陛下は女嫌いと来た。今までの陛下の話を聞く限り積極的な女性はあまり好かないのだろう。
なので、私は陛下から一歩引く事で逆に文官達の視線に止まる事が大事だったのだ。


そして、パーティーも終わりに近い頃。文官の一人に差し出された紙には、側室合格者『メリア・シュナイダー』と書かれてあった。
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