ファイブスターの大木氏、今月にも海外募集開始-100億円目指す (1)
6月12日(ブルームバーグ):ファイブスター投信投資顧問の大木昌光氏が運用する買い持ちと売り持ちを組み合わせた日本株ロング・ショート(L/S)ファンドは、早ければ今月中にもドル建ての募集を開始する。日銀の大規模金融緩和が継続する中、増益・インフレ基調の日本市場を運用対象とした商品に海外投資家のニーズがあるとみている。
2月にスタッツインベストメントマネジメントから移籍した大木シニア・ポートフォリオ・マネージャー(48)は、3月末から運用を開始。1年以内に現在の運用残高10億円から100億円への拡大を目指す。運用開始から6月11日までの運用結果はプラス2%だった。
大木氏は今後の日本株市場 について、「海外の投資家が日本をどうみるか次第」と指摘。「昨年6月以降の株価上昇時以来、ポジティブ要因が多く、状況を明確に語れるようになった」として、外国人投資家を開拓する方針だ。評価されている要因として、増益基調の企業収益のほか、物価のインフレ基調や法人減税への期待、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成見直しなどを挙げた。
このシンビ・ジャパン・エクイティ・ロング・ショート・ファンドは、同社初の自社運用の日本株L/Sファンド。ロングからショートを差し引いた買い越しのポジションを取り、全セクターからロング100-150銘柄、ショート50-100銘柄程度に分散投資する。リターンは最低でも年20%、リスクは10%程度を目指す。
一方、大木氏は懸念材料として賃金上昇や人手不足を挙げ、「バブルの時以来で、過去20年くらいの経験しかない企業経営者にとっては初めてのこと。対処が難しいのではないか」と指摘。事業環境の厳しさが予想される銘柄として、介護人材派遣のツクイや、外食産業のゼンショーホールデングスやワタミなどを挙げた。
同氏が2010年7月からスタッツで運用していた同様の戦略のギンガ・エクスプローラー・ファンド は、2013年11月までの設定来リターンが114.6%、年率平均リターン25.05%、トータルリスクが12.97%。運用額は約70億円だった。
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更新日時: 2014/06/12 16:27 JST