新首相候補「朝鮮民族の象徴は怠惰」

過去の発言で物議醸す

 韓国の首相候補に指名された文昌克(ムン・チャングク)元中央日報主筆がかつて、教会で講演を行った際「日本による植民地支配や南北分断は神が与えた試練だ」という趣旨の発言をしていたことが分かり、物議を醸している。

 文氏は2011年、長老を務めている教会で「神様がなぜ、(韓国が)日本に侵略され、植民地になることを許したのか。心の中で抗議したいだろう。しかしそこには神様の意向があったのだ。私たちに『お前たちは朝鮮王朝500年の無為な歳月を送った民族だ。お前たちには試練が必要だ』というメッセージを伝えたのだ」と述べた。

 また別の公演では「神様が南北分断に導いた。それも今となっては、神様の意向だったと私は思う。あの当時のわれわれの体質から考えて、韓国を完全な独立国家にしていたら、共産化は避けられなかった」と主張した。

 一方、済州4・3事件(1948年4月3日、済州島で住民が蜂起したのに対し、韓国の軍や警察などが住民を虐殺した事件)については「済州島で4・3暴動が起こり、共産主義者が反乱を起こした」と言及した。また「日本から技術を導入したおかげで韓国は経済開発を成し遂げた。今、日本は韓国よりも衰退しつつあるではないか。これは神様が、暗い地政学を祝福の地政学に変えてくれたということだ」と述べた。

 韓国のキリスト教の歴史について講演した文氏は、朝鮮王朝末期の民族性について言及する中で「さっきも申し上げたように、朝鮮民族の象徴は怠惰だ。怠惰で自立性に欠け、他人の世話になること、これがわが民族のDNAとして残っている」と述べた。このような民族性に、今のような変化をもたらしたのがキリスト教精神だというわけだ。

 また、愛国啓蒙運動を率いた尹致昊(ユン・チホ)=1865‐1945=については「あの人は最後まで信念に反することをしなかった。たとえ親日だったとしても、後にキリスト教の信仰を持ち続け、死んでいった人だ」と述べた。このような発言について首相室は「韓国社会が経験してきた数多くの試練は、韓国を豊かで強い国にするためにあったということに言及したものだ」と説明した。

 一方、文氏が過去に書いた新聞のコラムも論議を呼んでいる。文氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が死去した2009年5月、「公人の死」と題するコラムで「人として胸の痛むことではあるが、公人としての(盧元大統領の)行動は適切ではなかった。その点が、彼の葬儀の手続きや死後の問題にも反映されることになった」とつづった。

 また、金大中(キム・デジュン)元大統領が死去する直前の09年8月には「最後に残ったこと」と題するコラムで「金元大統領については、裏金のプールや海外での資産隠し疑惑がたびたび浮上した。このような疑惑をそのまま葬り去ってしまうのか。きれいな最期があってしかるべきだ」と主張した。

黄大振(ファン・デジン)記者 , 趙義俊(チョ・ウィジュン)記者
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