諫干・制裁金:漁業者ら長崎県に抗議 県庁でもみあい

毎日新聞 2014年06月12日 00時53分(最終更新 06月12日 01時20分)

長崎県の担当者の前で要請書を読みあげる開門派の漁業者(右)=長崎市の長崎県庁で2014年6月11日午後1時13分、和田大典撮影
長崎県の担当者の前で要請書を読みあげる開門派の漁業者(右)=長崎市の長崎県庁で2014年6月11日午後1時13分、和田大典撮影

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の開門問題で、福岡高裁が間接強制の決定で国に命じた開門調査の履行期限を迎えた11日、有明海沿岸の佐賀、長崎、福岡3県の漁業者や支援者ら約40人が長崎県庁を訪れ、開門に反対する同県の姿勢に抗議した。県職員ともみ合いになり、一時騒然となった。一方、開門に反対する長崎県の住民団体も諫早市で会議を開き、開門した場合にも国に制裁金が科せられることを確認した。

 午後1時ごろ、開門賛成派の漁業者らでつくる「よみがえれ! 有明訴訟弁護団・原告団・支援する会」が長崎市の県庁を訪れ、中村法道知事との面会を求めたが、県諫早湾干拓課は入室を拒否。もみ合いとなり、漁業者らはなだれ込むように同課の部屋に入った。

 漁業者を代表して諫早市小長井町の小長井町漁協理事の松永秀則さん(60)は「長崎県知事は漁業被害を直視し、調整役としての責務を果たすべきだ」などとする要請書を藤田昌三・同課総括課長補佐に手渡した。もみ合いとなった際、頭に軽傷を負ったとして県職員の男性が県警長崎署に被害届を出した。

 漁業者は県庁前で集会を開き、市街地にかけて「長崎県は話し合いに乗れ」と訴えながらデモ行進。弁護団の堀良一事務局長は「国は『板挟み』を演じているが、解決の道は対策工事をしての開門しかあり得ない」と訴えた。

 一方、諫早市で開かれた開門反対派の会議では、開門した場合に1日49万円の制裁金支払いを国に命じた4日の長崎地裁決定を確認。山下俊夫弁護団長は「国に開門させないという目的は最低限果たされた」と話した。

 終了後、長崎県雲仙市の背後地で営農する大久保信一さん(69)は「最高裁まで争うことになるのだろうが、あくまで開門しないという立場で運動していきたい」と語った。【松尾雅也、小畑英介、武内靖広】

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