ニホンウナギ:絶滅危惧種指定 日本は世界の消費の7割

毎日新聞 2014年06月12日 11時20分(最終更新 06月12日 11時38分)

国内のシラスウナギの年間漁獲量
国内のシラスウナギの年間漁獲量

 政府機関や科学者らで作る「国際自然保護連合」(IUCN、本部・スイス)は12日、絶滅の恐れがある生き物を掲載する最新のレッドリストを公表し、日本人の食生活になじみが深いニホンウナギを絶滅危惧種に指定した。日本は、世界のウナギ消費の7割を占めるとされる。IUCNによるニホンウナギの絶滅危惧種指定は、日本人の「食」との向き合い方に再考を促すものだ。

 日本人はウナギの生息数が回復するスピードを超えて取り、食べ続けてきた。漁獲量が明確に落ち込んだ1980年代以降、日本人の胃袋は、その代替をヨーロッパウナギなど異種の海外からの輸入に求め、輸入ウナギをパック詰めした冷凍かば焼きが大量に出回るようになった。その結果、ヨーロッパウナギが2009年にワシントン条約で国際取引の規制対象になり、今は、代わりの輸入先を東南アジアなどに求める業者が現れ、ビカーラウナギなど別のウナギの減少も招いている。

 水産資源に詳しい勝川俊雄三重大准教授(水産学)は「短期的な需給にばかり目を奪われ、持続的な資源管理の視点を欠いてきた」と指摘する。

 IUCNは、ニホンウナギ激減の要因には乱獲のほかにも河川・沿岸開発、海流変化などが複合して関係していると指摘する。伝統的な食文化を守るためにも、国内の漁獲規制はもちろん、国際的な管理の仕組み作りに積極的に関与することが日本に求められている。【阿部周一】

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