ニホンウナギ:国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定

毎日新聞 2014年06月12日 09時05分(最終更新 06月12日 11時12分)

福井県若狭町の三方湖で捕れたニホンウナギ。口が細くとがっているのが特徴=2012年7月、柳楽未来撮影
福井県若狭町の三方湖で捕れたニホンウナギ。口が細くとがっているのが特徴=2012年7月、柳楽未来撮影

 政府機関や科学者らで作る「国際自然保護連合」(IUCN、本部・スイス)は12日、絶滅の恐れがある生き物を掲載する最新のレッドリストを公表し、日本人の食生活になじみが深いニホンウナギを絶滅危惧種に指定した。漁獲禁止などの法的拘束力はないが、今後、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の保護対象となる可能性がある。

 IUCNはウナギ類8種を新たに評価。ニホンウナギを「個体数は30年間で少なくとも50%以上減った」として絶滅危惧種のうち2番目にリスクの高い「絶滅危惧1B類」に分類した。

 危機をもたらした要因として、生息地の損失▽乱獲▽回遊ルートの障害と汚染▽海流変化−−を列挙。ニホンウナギの減少が、東南アジアを原産地とするビカーラウナギなど異種のウナギの取引増加を招いているとし、ビカーラウナギも準絶滅危惧種に指定した。

 農林水産省によると、国内の養殖用の稚魚(シラスウナギ)の漁獲量は1963年の232トンをピークに2012年はわずか3トンまで落ち込んだ。天然ウナギの漁獲量も61年の3387トンに比べ12年は165トン。激減した国産シラスウナギを補うため、近年は約半数を中国などからの輸入に頼っている。

 環境省は昨年2月、ニホンウナギを「近い将来に野生での絶滅の危険性が高い」とする絶滅危惧1B類に指定したが、今回の指定によって世界から保全を求める声が高まることは必至だ。また、レッドリストはワシントン条約の保護対象を決める科学的根拠となるため、16年に開かれる同条約会合で、輸出国の許可を義務づけるなどの新たな規制が検討される可能性がある。

 評価した専門家グループのマシュー・ゴロック委員長は発表文で「ニホンウナギの状況は非常に懸念される。ウナギ類の保全に向けて優先的に取り組まなければならない」と指摘した。

 レッドリストには、キツネザル類の94%や温帯に分布するランの仲間「アツモリソウ属」の80%なども絶滅危惧種として掲載された。生息状況を調べた7万3686種の30%に当たる2万2103種が絶滅危惧種となった。【阿部周一】

 ◇ニホンウナギ

 世界で19種いるウナギの一種。日本や朝鮮半島南部、中国など東アジアの温帯・亜熱帯地域に広く分布する。産卵場はマリアナ諸島沖で、ふ化した子魚は北赤道海流、黒潮に乗って回遊するうちに稚魚「シラスウナギ」となり、さらに河川をさかのぼって成魚になる。産卵期に再び海に出る。

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