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コラム:中国、世界金融コミュニティーへの仲間入りならず

2014年 06月 11日 19:24 JST
 
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Peter Thal Larsen

[香港 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は、世界の金融コミュニティーへの仲間入りをあえなく拒否された。MSCIが10日、中国本土に上場している人民元建て株式(中国A株)について、新興国市場指数への組み入れを見送ったのだ。中国は最近、株式市場の改革を行っており、次回はチャンスがあるかもしれない。経済は著しく成長したが、資本移動の規制がネックだったようだ。

MSCI指数に組み入れられた場合、その長期的な影響は大きい。MSCIは、同社の指数をベンチマークとするファンドはおよそ8兆ドルに上る、と推定。ファンドの多くは新興国市場指数に連動している、という。中国A株が指数に採用されれば、中国の株式市場が振るわないなか、国際的なファンドマネジャーの需要が高まることが期待される。

半面、短期的な影響は小さい。香港などのオフショア市場に上場している中国株はすでに、MSCI新興国市場指数のおよそ19%を占める。MSCIは今回、本土上場浮動株の時価総額のわずか5%の組み入れについて検討していた。そのため、組み入れが実現したとしても、中国の全体のウエートへの押し上げ効果は、当初は0.6%にすぎない。

逆に言えば、ファンドマネジャーは、こうした限定的な変更にすら反対した、ということになる。外国人投資家は本土上場株を取得することはできるが、中国当局が付与するクオータ内に制限されている。さらに、中国から資金を出し入れできるのも、1週間に1度となっている。

MSCIが今回、中国市場の開放が十分でないと判断したことは、国際通貨基金(IMF)の議論にも影響する可能性がある。IMFは、国際準備資産である「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に人民元を加えるかどうか、来年1月までに決定する。世界の主要通貨に加わることになれば、人民元が国際的に認知されたことを意味する。しかしIMFの条件は当該通貨が「自由に利用可能」であることとなっている。

人民元も本土株もいずれは、それぞれのベンチマークに採用されるだろう。香港投資家の上海上場株取得を容認する新スキームが始動すれば、MSCIの2015年の次回レビュー時には組み入れが実現するかもしれない。しかしMSCIの今回の決定は、障壁が取り払われない限り、国際金融界に簡単には受け入れられないということを示している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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