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日本の電力構造を変える電気事業法の改正が、参院で可決、成立した。 3…
日本の電力構造を変える電気事業法の改正が、参院で可決、成立した。
3段階に分けられた改革の第2弾だ。家庭向け小売り分野への参入規制が16年に撤廃され、家庭ごとに電力会社を選べるようになる。料金についての規制も、2年程度の経過措置を設けた後でなくす。
7・5兆円規模とされる市場の開放で、新たな事業者の参入による健全な競争や、サービスを工夫した新しいビジネスが期待できる。地域独占に安住してきた電力大手も、経営戦略の再構築が迫られよう。
今回の法改正では、電力事業を①発電②送配電③小売りの三類型に整理し直す。これは改革の要となる「発送電分離」への布石でもある。
事業ごとの規制のあり方をはじめ、政府には詳細設計をしっかりと詰めてもらいたい。
一方で、積み残しとなっている点がある。原発政策と電力改革との整合性だ。
福島第一原発の事故で明らかになったのは、原発投資がいかにリスクの高い事業か、ということだ。
いざ事故が起きたときの社会的損害は甚大で、一企業ではとても対応できない。火力などに比べ割高だった建設・維持コストは、安全規制の強化でさらに上昇した。稼働率次第で収益を大きく揺さぶられる。
ふつうなら民間企業には手が出せないものをこれまで続けてこられたのは、競争のない環境のなかで、かかった費用を電気代として回収できる「総括原価方式」という規制料金制度があってこそだった。
さらに、立地のための財政措置や使用済み核燃料の再利用政策への関与など、原発の推進をかかげる国による手厚い支援があった。
原発は、国の関与なしには成り立たない電源であり、自由化とは相いれない存在である。
本来なら新規参入側にメリットを与えて既存勢力との競争を促すのが自由化政策の常道だ。原発という特定の電源を保護したままでは、既存原発の見かけ上のコストが安くなり、新電力は対抗しにくくなる。
原発を確実に減らしていく工程表とセットにしてこそ、新電力の積極的な参入で競争が広がる条件が整う。
ところが、安倍政権は原発を「ベースロード電源」として今後も維持するとして、再稼働を全面的に支援する方針だ。
自由化と原発推進という根本的矛盾を放置して、自由化が頓挫する事態は願い下げである。
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