大雨でビール麦に「穂発芽」被害6月11日 20時41分
大雨が続いている栃木県内では、収穫前のビール用の大麦に実が発芽して出荷できなくなってしまう「穂発芽」と呼ばれる被害が相次いでいて、NHKが県内の自治体を取材したところ、被害は少なくとも7つの市で合わせておよそ11億円に上っていることが分かりました。
栃木県は主にビールの製造に使われる「二条大麦」の全国一の産地ですが、収穫の時期を迎えた大麦に「穂発芽」の被害が相次いでいます。
「穂発芽」は、麦などの実が穂に付いた状態のまま芽が出てしまう現象で、「二条大麦」の場合は、収穫してもビール用としては出荷できなくなります。
NHKが「二条大麦」の作付け面積の多い県内の自治体を取材したところ、被害は栃木市や小山市、それに大田原市など少なくとも7つの市の合わせて2600ヘクタール、金額にしておよそ11億円に上っていることが分かりました。栃木県では今月5日の梅雨入りから大雨が降り続いていて、栃木県農業試験場では「ここ数十年、このような大規模な被害はなかった。詳しくは分析中だが、麦の実が種になる準備に入ったところに長雨が降ったことが主な原因だと考えている」と話しています。
被害確認し支援策検討へ
栃木県内で特産の「二条大麦」に「穂発芽」の被害が出ていることを受けて、自治体や県は農家に聞き取りをするなどして、被害状況の確認を進めています。
このうち作付け面積が1400ヘクタールと県内で2番目に大きい小山市では、市の職員が各地の畑を訪問して、被害状況の調査をしています。
市内の160アールの畑で大麦を栽培する農家の高瀬孝明さんは、調査に訪れた職員に対して「およそ半分が被害を受けた」などと説明していました。
高瀬さんは「こんなことは初めてだ。せっかく作ってたのに商品にならないのでがっかりした」と話していました。
小山市農政課によりますと、市内では作付け面積のおよそ3割に当たるおよそ400ヘクタールで「穂発芽」が起きていて、被害額はおよそ1億7000万円に上るということです。
小山市農政課の石川博さんは「被害状況を詳しく確認して、農家への支援策を検討したい」と話していました。
「40年以上で初めての経験」
このうち「二条大麦」の作付け面積が栃木県内で最も大きい栃木市では、およそ2000ヘクタールのうち3分の1に当たる770ヘクタールに「穂発芽」の被害が出ていて、被害額はおよそ3億4000万円に上っているということです。
市内で農家から農地を借りて麦や米などを作っている会社では、今月5日以降、雨が降り続いたためまだ半分程度しか刈り取りを済ませておらず、およそ15ヘクタールの麦は出荷できなくなったということです。
鈴木重雄社長は「収穫を楽しみにしていたが、こんな状態になり残念だ。40年以上、ビール麦を作ってきて初めての経験だ」と話していました。
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