集団的自衛権:公明、歯止め案模索 限定的行使容認に向け
毎日新聞 2014年06月11日 22時07分(最終更新 06月12日 02時35分)
集団的自衛権の行使容認に向け、閣議決定で方針を明確に打ち出そうとする安倍晋三首相に対し、公明党が苦慮している。連立政権離脱の選択肢が事実上ないため、着地点を見いだす必要があるからだ。13日の次回与党協議会で閣議決定原案を議論することには依然、難色を示しつつ、党内では、極めて限定的に行使を認める道筋を探る動きも出ている。
北側一雄副代表は11日の参院憲法審査会で、自民党との協議について「決して『絶対に平行線』ということでやっているわけではない」と述べ、いずれは双方が歩み寄るとの見方を示唆。政府が行使容認の根拠と考える1972年の政府見解の重要性も指摘し、「急迫、不正の事態に国が何もしないわけにいかない。72年見解をさらに詳細に検討する」と述べた。
井上義久幹事長も10日、千葉市の講演で、憲法解釈の変更を容認する条件として、「これまでの政府の憲法解釈との整合性に加え、(行使容認を)限定的にするための基準で合意できたときにはじめて容認する。国民的な合意も前提だ」と説明。公明党幹部によると、党執行部は、行使の範囲を限定する歯止めの検討に入っているという。
与党協議会メンバーの上田勇政調会長代理も11日のラジオ番組で、「(憲法解釈を)絶対変えてはいけないということではない」と述べ、自民党に丁寧な議論を求めた。
公明党幹部らは一斉に前向きなメッセージを発信する一方で、今後、政府・自民党がさらに強い姿勢に出ることを警戒する。政府は当初、「集団的自衛権を行使するための法整備を今後検討する」との閣議決定原案を用意していたが、安倍晋三首相は、より明確な表現にするよう指示。10日の与党協議会後、公明党幹部は「受け入れられない」と反発した。
同党内では、72年見解が示している「国民の権利が根底からくつがえされる急迫、不正の事態」に限って集団的自衛権の行使を容認し、一定の歯止めをかける案が浮上している。しかし、首相の出方は見えず、山口那津男代表は11日、「(今国会中の)合意に努力するのは基本だが、期限にこだわって国民の理解を深める目的が失われては元も子もない」と記者団に語った。【高本耕太、田所柳子】