ネットバンク不正:無料アプリで指示 中国の首謀者

毎日新聞 2014年06月11日 23時59分

 インターネットバンキングの不正送金に関与したとして中国人13人が警視庁に逮捕された事件で、不正送金先の口座から現金を引き出した「出し子」らが、中国にいる首謀者から「微信」と呼ばれる無料アプリケーションで指示を受けていたことがわかった。LINEと同じ機能があり、若者を中心に中国で広く普及している。

 中国・福建省から国際郵便で送られていたキャッシュカードは、大半が中国人名義だったことも判明。同庁は国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、差出人の特定など組織の解明を進める。

 中国への送金役とみられる林秀美容疑者(42)=東京都江戸川区=や出し子などの男女計13人は、不正送金の被害金と知りながら現金自動受払機(ATM)で現金を引き出したなどとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)容疑などで逮捕された。

 グループは昨年〜今年5月、ネットバンキング利用者のパソコンをウイルス感染させ、盗み取ったパスワードを使って自分たちが管理する約250口座に総額約6億円を不正に送金させたとみられる。その後の調べで、出し子らは、「微信」や「QQ」などのアプリで中国にいる首謀者から引き出し金額や口座などについて指示を受けていたことがわかった。

 逮捕された出し子はいずれも20代の留学生らで、生活苦から報酬を得るために始めていた。中には130回、計6200万円を引き出した男もいたという。【林奈緒美】

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