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王国へ続く道 作者:お風呂足つぼ

第7話 背徳の楽園

6/9 色々修正
 窓から差し込む光で目を覚ます。
ガンガンする頭を抱えて顔を洗い歯を磨く。
1年の間、毎日繰り返してきた日課だ。
朝食の準備のため竈に火を入れる。
ここまでが俺の役目。

 後は俺の教師兼主人兼愛人を起こして一日が始まるのだ。

「ルーシィ、起きろもう日が沈むぞ」

 差込む光は夕日だ。
俺は彼女と違って、真っ暗な部屋だと周りが見えないので夕日だけは差し込むように俺用の窓を付け加えたのだ。
今もベッドで唸っている吸血鬼には大不評だったが、これぐらいは許されるだろう。

 生活のサイクルは夕方起床、夜から明け方までルーシィに勉強や世界の常識、情勢を教わっている。

 吸血鬼に常識や世界のことを教わるのは不自然に思えるかもしれないが、彼女は血を吸った相手の知識を吸収することができるらしい。

 年に数回は森を出て不幸な犠牲者を頂いているので知識もそれなりに蓄積しているとのこと。

 今、彼女の食欲は俺が一手に引き受けているので犠牲者はいない。
それに吸血の時の絶対的な快楽、死の間際とは言え、他の男が味わっていたと思うと嫉妬に狂ってしまう。

 勉強の合間に壊れた物の修理や道具作りを行う。
大抵深夜になるので、ここでも真っ暗な部屋が問題になったが、菜種を燃やす油皿のおかげで暗いながらもチマチマと作業できるようになった。

 愛しい吸血鬼は家が燃えるだのと文句を言ったが、髪をとかす櫛も、ほつれた着物も自分でなんとかするのか?と言ったら大人しくなった。

 基本的にここにあるものは全て自作だ。
最寄の街まで2日はかかるし、何よりルーシィが一人前の人間になるまで外の世界に出ることは許さないのだ。

 空が白んで来るとルーシィは窓を閉めて閉じこもり、俺は外に出て小さな畑を耕し、必要があれば森で獲物を取る。

 この周辺の森はまったく荒らされていないためか10分も探せば大抵何かしらの動物が見つかるのだ。
この狩りは身体訓練にもなるので出来る限り行っている。

ルーシィは貴方は身体より頭を鍛えなさいと口すっぱく言って来るが。

 朝日が昇りきる前には終わらせて家に戻り吸血鬼と夜の戦闘訓練を行う。
戦闘訓練と言うのはベッド上の戦いで、負ければ恥辱を味わう。

 ここに来た当初は10日に一度の吸血の時だけだった。
後は俺が我慢できなくなり、ルーシィに泣きついて相手をしてもらえるぐらいだった。

 だが最近は毎日のようにしているし、求めなければ「体調が悪いの?」と聞いてくるほど日課の一部になった。

 大抵、1日2~3戦を挑むのだが勝率は1割程度だ。
ルーシィ曰く、女を知って1年そこらの若造が500年を生きた自分に挑むなど愚の骨頂だそうだ。
それでも最初の半年は一度も勝利できなかったことを考えるとかなりの進歩と言える。

 また、他の雑務で忙しくして、時間が遅れるとルーシィの側から誘ってくれることもある。
寝物語に聞いたが、俺が必死に彼女の体を求める様が可愛らしくで仕方ないそうだ。

 最近はベッドの技術も上がってきたと褒められる。
何しろ、絶世の美女が俺の下で嬌声を上げてのたうつのだ。
ルーシィは俺が攻めればしっかりと受け止めてくれるし、自分も良くなれば快感を訴えてくる。

 勢い余って乱暴なことをしてしまっても「今のは痛いな減点♪」と叱った後に、何でも受け入れてくれる。

 美しすぎる豊満な教材を使い、なんでも受けいれてくれる優しい教師に教えられて成長しないはずがない。

 大抵はこうやって一日が終わるのだが例外の日もある。
それは10日に1度、吸血のある日だ。

 吸血はルーシィにとって食事であり、嗜好品を味わうといったものではないらしい。
定期的に吸わないと他の食べ物をいくら食べていても死んでしまうのだ。

 その間隔が10日なのかと聞いたが、やたら目を逸らすので問い詰めると1年~2年は大丈夫らしい。

 俺の血を10日ごとに欲しいと言ったのは、単に好みの少年の血をしょっちゅう味わいたいという、純然とした欲望に過ぎなかったわけだ。

 その時にじゃあ1年1回の吸血にしようと提案したが、それなら夜の戦いも年に一度にすると言われたのでこの提案は廃案になった。
ルーシィの隣で生活しながらの禁欲生活など今なら2日で音を上げる。
吸血時の快感も捨てがたいしな。

 吸血のある日は、その衝動が一番高まるのが深夜なので、大抵深夜に行われる。
その方が圧倒的に味がいいらしい。

 この吸血は性衝動と激しく連動していて、首筋に噛み付かれた時の快感は尋常のものではない。
全裸になっておかないとズボンが大変なことになるし、向きも注意しないと部屋を汚してしまう。
なので大抵はルーシィと正面から抱き合い、首筋を捧げるのだ。
そうすれば噴き出たそれはルーシィを染める。

 性衝動は吸う側も同じらしく、吸血が終わって彼女が血の味をゆっくりと楽しんだ後は大抵すぐに上に飛び乗ってくる。

吸血後は身体が恐ろしく重いのだが、この時間はルーシィにベッドで勝利できる数少ないチャンスなのだ。
食事後の恍惚の中で、その血の持ち主に抱かれるというのが背徳的な快楽を生むらしい。
いつもの余裕が嘘のように簡単に乱れ、我を忘れて叫ばせることもできる。

 俺の1割の勝率はほとんどがここで稼いだものなのだ。
最初は吸血された後は指一本動かせず、彼女のおもちゃのように遊ばれていた。
だが彼女が吸血後は余裕を無くして俺のモノを貪るのを見て、なんとか逆転してやろうと頑張った。
今では彼女を持ち上げることだって出来るし、わざと焦らして懇願させることもしている。

 やりすぎて遂に理性を飛ばしたルーシィに襲われ、擦り切れて血が出るまで犯されたこともあったが。

 この1年で知識も体力も以前より遥かに成長していると思う。
もちろん女の扱いも。

 成長期の身体も成長し、つい先日ルーシィを追い越したのだ。
筋肉も完全に成人のものに変わり、もはや子供の雰囲気はどこにも残っていなかった。

 だが何よりの成長は心だろう。
戦って勝って生き残る、それで満点だった昔に比べて今の自分は遥かに多くのものが見えている。

 この閉鎖された森の中に閉じこもってさえ、世界は格段に広がったように思えた。
野菜を作り、道具を作り、獲物を飼って、帰りを待つ女と一緒に食べる。

 今ならあの時ルーシィが言った意味がわかった。
「心が歪んでいる」今の俺が1年前の俺を見たら同じことを感じるのかもしれない。

 ルーシィ、ルーシィ、ルーシィだ。

 今の俺の何割が彼女で占められているのだろうか。
彼女のおかげで俺は人になり、育てられて男にしてもらった。

 俺は彼女に惚れている。
美人だとか抱きたいとかそれだけじゃない。
俺は彼女と一緒にいたい、一生共に生きたいと思っている。

 それは適わないだろう。
彼女はきっとここから動かない。
何があったのか聞き出そうとは思わないが、彼女にとってここは大切で、離れてはならない場所なのだ。

 そして俺が一人前になったら、知識をつけ心のゆがみを直したら、ここから追い出すだろう。
それは最初から決まっていたことで俺も彼女も望んでいたことだ。

 気持ちがわかったのは俺の方だ。
外に出られなくていい、それよりもずっとルーシィと一緒にいたい。
毎日抱きたいし、出来れば子供も産んで欲しい。

 口に出したりはしない。
それは俺に色々教えてくれた彼女の気持ちを裏切ることだ。
今までやってきたことを全て無駄に終わらせることだろう。

 理想はなんだろうと考える。
俺がここを旅立つ時にルーシーも連れて行く。
そして彼女を引っ張って広い世界を旅し、気に入った場所で二人で暮らす。

 これが理想か、寿命の問題があるから俺もヴァンパイアにしてもらってもいいかもしれない。
ここまで考えて矛盾に気づいた。
その案だとお互い血が吸えないので2人で人を殺して回る事になる。
それでもいいじゃないか。

 きっとなんとかなる。
俺がここから出る時には絶対にルーシィを誘おう。
それだけを心に留めて、服を脱ぎ捨てて、彼女を襲おうと近寄る。
途端クズっていた瞳がパッチリ開いた。

「んふ♪そっちからきてくれましたね~私の勝ちです」

 一年の付き合いだが彼女のことはかなりわかってきた。
本質的に彼女は相当のエロ女なのだ。 

 何も言わずに抱き合ってベッドの上を転がってじゃれあう。
このベッドも俺が横に広げたのだ。
激しいプレイ中に転落事故が多発したから。

 しばらくじゃれて、仰向けに寝たルーシィは上に乗る俺の顔を片手で優しく胸に抱き寄せた。

「たった一年なのに、こんなに成長して……本当に大きくなりましたね」

 この言葉でまた一つわかった。
俺は母親の影も見ていたんだと。
高まっていた情欲がふっと消えていく。
このまま眠ってしまうのもいいかもしれない。
照れくささを隠して誤魔化すように抱きしめ返した。

「ついこの前、ルーシィを抜いたからな。すぐにあんたを見下ろすことになるかもよ」

 思わず嫌味な返しをするのは我ながら反抗期の子供のようだ。

「えっ?私をぬく?見下ろす・・・・・あぁ!そうですね、そっちもそうですね」

 困惑する声に我に返り、下半身の感触に気づく。
母性を感じた女の手が俺の局部を撫で回していた。

「成長ってこっちのことか! この淫乱女!」

「うふふ、さあ使い方はどうかしら?」

「やってやる!」

 俺は腹立ち紛れにルーシィにのしかかり、彼女もお手並み拝見とばかりに足を開く。
しばらく絡み合うが、やがてルーシィが上になり、俺は呻きを上げるだけになった。

「まだまだ一人前は大きさだけですね~」

 搾りとられてベッドに倒れこんだ俺だが、少なくとも大きさには満足だったんだな?と少しばかり誇らしかった。



ルーシィとの愛のお話
主人公が性豪になったのは100%ルーシィのおかげ
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