高円宮典子さま婚約 40歳出雲大社禰宜の千家国麿さんと
高円宮家の次女・典子さま(25)と島根県の出雲大社の宮司・千家尊祐(せんげ・たかまさ)さん(71)の長男で同大社禰宜(ねぎ)の国麿(くにまろ)さん(40)の婚約が27日、内定した。結婚式は今秋、出雲大社で行われる。皇室典範の規定で、典子さまは結婚に伴い皇族の身分を離れられ、出雲市に住む予定。皇族の結婚は天皇、皇后両陛下の長女・黒田清子さんの2005年以来となる。2007年4月の出会いから7年、典子さまと国麿さんは遠距離恋愛を成就させた。
この日宮内庁で行われた婚約会見。ピンクの帽子とワンピースの典子さまは、同じくピンクのネクタイでそろえた国麿さんと時折目を合わせ、はにかんだ笑顔で結婚の喜びを表した。「元気な、明るく楽しい家族であってほしいと願っています」―。右手薬指には、成年を迎えた際に祖父母の三笠宮ご夫妻から贈られたルビーの指輪が輝いていた。
「私が国麿さんと初めて会ったのは、平成19年(2007年)4月でございます」と典子さま。母の久子さまと出雲大社を参拝した際に初めて国麿さんと会った。
その後、結婚の話が持ち上がったが、典子さまは当時、学習院大在学中。成年皇族として、公務にも携わられることになるため、「非常にゆっくりと」話を進めてきたという。「長い間お待たせをしてしまったので、少し申し訳なかったかしら」と典子さまが笑うと、隣で緊張を隠しきれない様子の国麿さんは首を小さく横に振った。出会って7年。遠距離で育んだ愛を、成就された。
プロポーズの言葉については、ちらりと国麿さんを見やりながら「ございませんでした」。報道陣の「プロポーズのような言葉は?」との問いに国麿さんが「や…特に…」と言葉を詰まらせると、すかさず「それもありませんでしたネ」と助け舟を出した。2人の関係を示すような和やかなやりとりだった。
高円宮家と千家家は、出雲大社から出土した「心御柱」(しんのみばしら)を見に高円宮ご夫妻が参詣された01年9月以来、家族ぐるみの交際があった。野鳥観察をライフワークとする久子さまの「鳥の写真展」を出雲大社文化事業団が主催したことも。収益は、同じく野鳥観察が趣味の国麿さんが代表して島根県庁に出向き「しまね社会貢献基金」に寄付した。
典子さまは、02年に急逝した父・高円宮の公務を引き継いで各地を飛び回る母・久子さまに同行するなどして、尊敬する母を支えている。父と同じ東京・渋谷区の松濤幼稚園(閉園)出身。当時、園長だった楢原茂子さん(68)は「とびきり優秀で手のかからないお子さまだった」と振り返る。
国麿さんの印象について「おおらかで、大変誠実な方」と話した典子さま。12年前に亡くした父を思いやり、母の高円宮妃久子さまや国麿さんの両親にも「できるだけ長く元気でいてほしい」と願いを込められていた。
◆高円宮 典子さま(たかまどのみや・のりこ)高円宮ご夫妻の次女として1988年7月22日誕生。松濤幼稚園、学習院初等科、同女子中等科、同女子高等科を経て07年4月、学習院大文学部心理学科入学。11年3月卒業。お印は「蘭」。天皇の子と孫に当たる女性皇族を「内親王」、ひ孫と、それより遠い世代の女性を「女王」と呼ぶ。女王は典子さまら5人。
◆千家 国麿(せんげ・くにまろ)出雲大社宮司の千家尊祐氏の長男として1973年9月2日誕生。島根県出雲市在住。92年県立大社高、96年国学院大文学部神道学科卒業。同年4月から乃木神社(東京都港区)、01年4月から石清水八幡宮(京都府八幡市)の神職に就いた。05年3月、出雲大社に移り現在、禰宜(ねぎ)、祭務部長。父母と弟2人の5人家族。
◇高円宮家 昭和天皇の末弟、三笠宮さまの三男の故・高円宮が1984年、故・鳥取滋治郎氏の長女・久子さまと結婚して創設。高円宮は日本サッカー協会の名誉総裁を務めるなど「スポーツの宮さま」として知られ、2002年の日韓共催サッカー・ワールドカップで、久子さまとともに皇族として戦後初めて韓国を公式訪問した。同年11月、スカッシュの練習中に急逝し、久子さまが当主となった。日本ユニセフ協会勤務の長女・承子さま(28)、次女・典子さま、城西国際大大学院生の三女・絢子さま(23)がいる。
◆今後一連の儀式 典子さまと国麿さんは今後、秋の結婚式までに、一般の結納に当たる「納采(のうさい)の儀」や皇室経済会議など一連の儀式や手続きを経ることになる。納采の儀では、夫となる国麿さんの使者が納采の品を携えて宮邸を訪問し、婚約を正式に告げる。次いで行われる「告期(こっき)の儀」で、宮邸を訪れた国麿さんの使者が結婚式の期日を伝える。
結婚式が近づくと、典子さまが歴代天皇や皇族の霊、神々らを祭る宮中三殿を参拝する「賢所皇霊殿神殿(かしこどころこうれいでんしんでん)に謁(えっ)するの儀」、天皇、皇后両陛下が典子さまから感謝の言葉を受けられる「朝見(ちょうけん)の儀」もある。結婚式当日には、国麿さんの使者が宮邸に迎えに来る「入第(じゅだい)の儀」が執り行われ、結婚式に至る。
高円宮妃久子さま「二人で温かく幸せな家庭を築いてくれることを祈っております。典子には、親元で過ごした年月よりはるかに長い時を千家家の一員として生きていくことになります。常に感謝の気持ちと奉仕の心を忘れず、日々の務めを果たしてほしいと思います」
明治天皇の玄孫(やしゃご)・竹田恒泰氏「同じ皇族として、大変めでたいことですから、心からお喜び申し上げたい。千家様は、出雲大社の宮司になられる方。今回は歴史的にも意義深いことなんです。いにしえの時代から2000年来、皇族には『出雲を尊重していく』という約束がある。現代において体現するという意味では、大変素晴らしいことで、まるで神話を見ているかのようです。歴史的に意義深いご結婚が、自由な恋愛のなかで成立するというのは、まさに何かのお導きなのかなと感じますね」