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海猫沢めろんインタビュー「東京煉極篇」
聞き手:やまだ+塩澤
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あぶり焼きチキンのデザイナーから工作舎系へ
――気を取り直して、海猫沢さんの経歴の続きを伺いたいと思います。関西から東京に出て来て、まずは何をなさったんですか?
海猫沢:オレがお金が稼げることはデザインしかなかったんですよ。でも、具体的にツテがあって東京に出てきたわけじゃないから、地道に仕事を探さなきゃいけなくて。そうだ、オレ、ガイナックスとかをいきなり受けたんだよ(笑)。でも採用されなくて。最初はオタク系企業を片っ端から受けてたんだけど全然ダメだった。エルフとか。
しょうがないからデザイン関係にしぼって、有名な会社を受けたのね。一応、デザイナーってことで自分の作品集を持っていくわけですよ。参考に。
で、俺は食品関係の会社で働いてたから、自分でデザインした「あぶり焼きチキン」とか「炭火焼きロースト」の広告――しかも手書きとか――をスキャンしたやつを「作品集」として持っていってた(笑)。
――あぶり焼きチキン(笑)。
海猫沢:完全に間違ってるんだけどね。俺は「このつくねの広告スゲエ!」「こんなローストの広告ありえない!」とか勝手に思ってるんだけど、向こうは全然「作品」だとは思わなくて。今考えるとそのせいでやたらたくさんの会社に落ちてた。覚えてるだけで20社。作品集を持ってくのをやめたら、すぐ受かったからね。
――(笑)
海猫沢:それが「間違ってるよ」って教えてくれた人は、松岡正剛の門下の工作舎系の人で。そこで働いてた。その人がスーパーギタリストだったこともあって、俺と話も合って。すげえ面白い人で、いろいろ教えてもらった。
――『左巻キ式』の凝ったレイアウトには〈遊〉精神が、松岡正剛マインドが微妙に入ってたんですか!?
海猫沢:うん。あ、いやいや……入ってないと思うよ。その会社でオレがやってたのは挨拶状の文字組みだからね。
――……だめだ。神は細部に宿るんですよ。
海猫沢:まあ、後半は多少マシなレイアウト仕事やってたけど。〈遊〉は古本屋で安いの見つけたとき、たまに買ったりしてたね。でも、そこの会社も途中でまたオレがなぜかキレて暴れて、やめちゃうんだけどね。
――またトラックでGO! ですか?
海猫沢:いや、トラックは残念ながらなかった。道路が狭いから入っていけなかった。数ヶ月後にその会社はあっさり倒産したんだけど(笑)その後に近所に住んでた、ある編集者の男と、高円寺の六畳一間で二人暮しを始めるんだよ。
――その人は編集王だったんですか?
海猫沢:ちょとだけ編集王だった。わりと器がでかくてクレバーな人でね。でもそいつもマトモな職がなくて。男二人で引きこもり。最悪だよ。冬なのにロクに暖房もなくて「サムいよ〜」とかプルプル震えながらエロゲ−やったり一日中アニメ見てた。凍えながら深夜に「アニメ版『Kanon』すげえ!」とか言ってた記憶がある。
――ああ、アニメ版はいたる絵を無駄なほど忠実に再現していましたからね。力入れるところを完全に間違えてましたね。
海猫沢:そうなんだよね。そんときカネに困っててね自分がつくった昔の音源を集めてCDにして売ろうとしたんですよ。オレのホームページで売ってたんだけど……ネットでは2枚しか売れなかった。仕方ないからネットの知り合いに半ば無理矢理買ってもらった。あと、中野ブロードウェイにある自主流通の作品扱ってるタコシェにも置いてもらったのに全然売れなかったんだよ!
――当たり前ですよ。売れないでしょう、普通(笑)。そんなクソ怪しいもの誰が買うんですか……。
海猫沢:アルバムタイトルは『第二次性徴期ハァハァ』。
――銀杏ボーイズ的なセンスを先取りしたアルバムタイトルだけど……中身にはさっぱり興味が湧きませんね。
海猫沢:それで、そんな状況から脱出するためにアルバイト雑誌をチェックしてたんだけど、ちょうど某「NT」というアニメ誌が「編集者」を募集してたんだ。すごくねえ?
――すごくないです。ふつうに募集してますよ。
海猫沢:そうかな。まあ、「これだ!」と思って受けたら最終面接までいって。
――あの……今までの話の流れだと、めろんさんが「これだ!」と思ったときってロクなことが起きてないんですけど……。
海猫沢:今度は大丈夫だよ。
ニュータイプ、ぷに☆ふご〜
――それで〈NT〉編集部には受かったんですか?
海猫沢:いや。オレも受ける前は「やべえ、これが人生の分岐点になる」とか思ってたんだけど、いざ面接になってみたら編集長はもちろんエライ人もいっぱいいてテンパっちゃって。
――やっぱり……修行が足りないんですよ。滝に打たれなきゃ。
海猫沢:カッとなって思わず「いつまでもガンダムばっかやってる〈NT〉さんにはわからないかもしれないけど! これからの時代は『萌え』なんですよ!」とか言ったら、編集長さんが「千と千尋はどうかね?」とか聞いてきて。
オレは「『千と千尋の神隠し』の千尋はキモくてブサイクで見れない! 以上!」「オレは動画の枚数がどうのとかわかんない。オレがいいと思うものがいいんだ!」とか完全に暴言を吐きまくってた。
――ひどすぎる……ビキニアーマーが好きな人なのに。
海猫沢:そしたらK川書店の人もオレのテンションに押されたのか、「アニメはメインカルチャーだ!」とか謎の発言をし始めて。
――……それについてはノーコメントですね。
海猫沢:オレはアニメはメインカルチャーじゃないと思ったから「ちがう!」って断言したら「じゃあ、何がメインカルチャーなんだ?」って聞かれてさ。
テンパって「トランス!」って言ったら、みんな「トランスか……」って考えこんじゃった。
――「メインカルチャーはトランス」(笑)。
海猫沢:トランスが何なのかオレも知らなかったんだけど。そのとんでもない面接の後に、一応K川からの連絡待ってたんだけど全然なしのつぶてで、気になったから同居人に「K川から電話とかなかった?」って聞いたら、そいつがまたひどいんだよ! 「あー。あったかもしんねえけど、興味ないから切った」って。
――さすがちょっとだけ編集王ですね。熱い!
海猫沢:ありえないよ! それで超焦ってすぐK川に電話してさ。「すみません、同居人のせいで失礼なことをしてしまったかもしれませんが、採用の件はどうなっているんでしょうか!?」って。そしたら「うーん……キミ、よくわかんないからもう一回来て」って言われて。
――また面接?
海猫沢:そうそう。で「きみ編集者志望って言うけど、編集経験まったくないよね?」とか編集長に言われて。困ったよ、編集王にはそういうこと書いてなかったから。
――はあ……。
海猫沢:で面接後に、なし崩し的にメシに誘われて行ってみたら副編の人(注*現NT編集長の矢野氏だったらしい)とかがいて。
たぶん「こいつよくわかんないからよろしく!」みたいな感じで上の人がたらい回しにしたんだと思うんだけど。その人(注*矢野氏です)も困ってたしね。
――なんとなく分かります。
海猫沢:だけどその人はすごいいい人だった。いろいろ話を聞いてくれて。そこで「どう考えても君は編集者タイプじゃない……」って言われて。ふりだしにもどる。
――えーと、話が錯綜してるんですけど、小説というかゲームの仕事にはどうやって……?
海猫沢:なんだっけなあ……なんとなく近所の知り合いも増えて、フリーでDTPとかデザインの仕事が入ってきて、そのうちに久しぶりに会った友達がゲームの話持ってきて……っていう。皆様との出会いと偶然により、BECK風に言うと「ケミストリ」が起きました。
――なるほど……これでやっと『左巻キ式』の話ができますね。
『左巻キ式ラストリゾート』に込めたもの
――さて、海猫沢さんの数奇な経歴(の一部)も明らかにされたところで、ようやくながら『左巻キ式』の話に入りたいと思うのですが、海猫沢さんがこの作品に込めたものについて教えてください。
海猫沢:ディティールの部分でじゃあ話すと。まず、DTP。オレはそんとき自分の書くものがエロでミステリでSFでオタク小説で文学だとかワケわかんないこと思ってて……オタク小説がマンガと小説の中間と考えた場合「擬音」までは入れられると思ったんですよ。
――……まあ突っ込みはおいといて先に進みましょう。
海猫沢:そもそも《スレイヤーズ!》にはフォントいじりがあったわけで、でも、それ以降、スニーカーとかでは基本的にはそういう方向はなくなっちゃった。でもあの方向性は突き詰めるとおもしろいかも知れないと思った。
線的な変化じゃなくて面の変化、パラダイムシフトを志したと? めろん先生の本に出会って人類が次のステージに上がるんだと。オーバーマインドに一歩近づくのだと。
海猫沢:みんなやれって言ってるわけじゃなくて、多様性の問題。いろいろなことを試してみないと気づかないこともあるわけで。
前に絵本のガイドブックを作るのに携わったことがあって。子どもって読者層としてはものすごい難しいと思うんですね。それをいかに引きつけるかってところを絵本はスゲエ考えてて、ギミックだらけなんですよ。飛び出すわふわふわだわ音出るし。それを見たときにもしかしたら、出版社側が読者の質が云々って言うまえに本自体が保守的なところから動こうとしていないんじゃないかと思った。
――正しいかも知れないけれど……めろんさんが言うと……なにか複雑な気分です。大塚英志さんとかの口から聞きたいですね。
海猫沢:で、なんか出来るんじゃないかと考えてあの版面になったわけなんですが……それが有効だとか正しいかとかどうかは分からないけど。徒花になればいいかなあと思ってた。
――なるほど。ライトノベルに対して、よく「マンガと小説の中間」と言われるけれども、擬音の導入でさらにそれが徹底できると。
海猫沢:けっこう危ないけどね、行きすぎるといろんな問題が出てくるし。手書き文字や漫符の導入で出てくるとしたらまず書体の問題とかね。例えば、情報を広く平均化して伝えるために書体があるとしたら、その対極に究極的に作家らしさを出す版面の最終形「手書き原稿そのまま印刷」という荒技(笑)がある。でも、それは情報伝達ツールとしての書体や小説とはまた違うものとして捉えられると思うんです。
――確かに肉筆原稿には骨董的価値があるけど、データにはないですね。
海猫沢:中上健次の肉筆原稿とかものすげえでしょ。あそこには文字で伝わる以上のなにかがあるじゃない。 だから話はかわるけどアージュ・グローバル・システムをノベライズするとして。
――ほんとに話がとびましたね……。
海猫沢:DTPならできるんですよ。アージュ・グローバル・システムを。ノベライズの可能性を、話の中身だけじゃなくて別の次元でも考えてみると、デザインによって演出を突き詰めるっていう選択肢もある。本当は、ゲームでやってるようなエフェクトは、DTPを使えばある程度落とし込むことができるはずなんですよ。
DTPのメリットはコストダウンだけじゃないから。
――〈D-SIGN〉って雑誌なんかでも「DTPになってから、むしろ雑誌のデザインは保守化した」みたいに言われてますもんね。
海猫沢:太田出版から出てる雑誌ですよね。道具によってデザインが変化するならそれは必然かも知れない、保守化っていうのも相対的なもんだから分からないけど。昔よりレイアウトとかのバランス感覚は悪くなってる気がする。縮尺の感覚さえよくつかめてない感じのデザインがあるからね。デザイナーの使ってるツールが透けて見えたり……オレがまさにそうなんですが。
審美眼的な面から言えば、オレはデザイナーとしては言うまでもなく三流です。ただ、DTPに対するアイディアを出すのは、オレでもできるくらいに可能性が残ってる。
本当はメタはやりたくなかった
――物語のレベルではどうですか? 数々のゲームのキャラがネタにされるメタな構造になってますよね?
海猫沢:いや、オレは本当はメタはやりたくなかったの。ちゃんと物語がやりたかった。
――ちゃんとした物語っていうのは?
海猫沢:バランスがいいものですね。テーマとドラマと作家性のバランスが良くて、なおかつ楽しめるもの。メタはそういうことが出来てからやるものだと思ってるから。
――今のメタって楽屋オチとか苦し紛れとか、そういうレベルのものも多々見受けられますもんね。
海猫沢:そういうときは作者も本当に苦しいんだと思うんだけど……結果的にはオレもメタになっちゃった。もっと物語に対して真摯になろうと思ってたんだけど。物語が信じられない。でも信じたい。そういうジレンマがあって。少なくとも自分が信じられる物語を書こうと――でも、どうにも力不足でちゃんと消化出来なかった。
オレは「物語にしか救いがない」人のために書こうと思ってたんですよ。昔のオレみたいなやつに対して「透明な存在になっちゃダメだ! 半透明になろう!」と。もちろん「自分だけの物語」なんて無意味だってわかってるんだけど、でも、好きになれる物語があるなら、その人は幸せなはずなんですよ。
あと、誰にも指摘されなかったけど、『左巻キ式』はキャラの名前に福本(和行)マンガが混じってるんですよ。いきなり名前が「アカギ」でしょ?
――あ、ホントだ!
海猫沢:福本マンガはすばらしい。今だと『最強伝説黒沢』がいいね。あれは反面教師なんですよ。読んでて震えるもん。あれはみんなギャグだと思ってるかもしんないけど、ギャグじゃないんだよ。福本さんはどの作品でも、若者のことをすごく考えてるんだよ。「こうなっちゃいけない!」っていうギリギリのものを見せてるんだよ!
――そうですか。
海猫沢:たぶんそうだよ。
ジャンルオーバー
――『左巻キ式』は福本マンガだったのか……。ざわ……。
海猫沢さんはマンガもけっこう読まれるんですか? 最近のオススメは?
海猫沢:けっこう読んでるからなあ……チョイスがムズイんだけど。一番最近読んだんだと『フルバ』の最新刊かなあ。『フルーツバスケット』はエロゲーですね。
――エロシーンありましたっけ……?
海猫沢:あの作品はセカイ系を意識してるとしか思えない。学園恋愛ものなんだけど「学校が世界だと思ってるだなんて!」云々みたいなセリフがあって。
――『フルバ』はセカイ系なんですか(笑)。
海猫沢:そうだよ! あれは泣きゲーの世界。昔から白泉社系全般に弱かった。オレが好きなのは、小説もなぜか8割くらいが女性作家ですね。
――なるほど。
海猫沢:あとジャンルを渡ってる人が好きかなあ。実際超大変だと思うけど、理屈じゃなくて、ほんとに全部の小説を愛してたら、プロパー意識が薄くなるのは仕方ないと思う。視野が広がるというか。
でもなんか世の中には「一君主に仕えるのが正しい」みたいな風潮があるじゃないですか。小説出すと、基本的にはレーベルでジャンル分けされちゃうしね……ミステリとSFとか、オタクとサブカルとか、ラノベと文芸とか。そういう狭いところで変な対立構造とかを作ってしまうのは悲しいと思う。ジャンルはインデックスとして必要だとは思うけど、それで何かが阻害されるのは読者にとってはマイナスでしかない。そんなのとっぱらって、もっと素直に読書を楽しめるように……っていうかオレが云っても説得力ゼロなんだけどさ。
――そうですね。講談社ノベルスから出てたら「ミステリ」だと思うから、〈ファウスト〉系の作家さんたちもデビュー当初は苦しんでいたわけで。
海猫沢:そんな状況でパンプキンノベルスから出しても、どうなるもんかと。レーベルの制約を守ってエロを書いても、それだけで売れずに終わるだろうってのが目に見えてた。それこそオレが愛してるミステリSF文芸ラノベアニメ映画ゲーム、いいろいろあっても誰にも理解されないまま消えるだろうと。だからオレが『左巻キ式』を書いてる頃は、世界に対する憎しみに満ちていたんですよ。なにがなんだかわけわかんねえ、って。
――確かに分からない。
海猫沢:で、本出た後、お金もなくなっちゃったし仕事もなくなってバイトしてた。理想だけで実力がないとそうなる(笑)
次回作の構想
――次回作は?
海猫沢:ないんじゃない。
――ええぇっ!? 今も何か書いていると伺いましたが、それは全然別の作品ですか?
海猫沢:なんで知ってるんですか……そうですね。サンライズの某美少女アニメのノベライズを。ビッグタイトルなので驚きました。そんときオレはやっぱり二次元のキャラに対する信仰心を失ってたし、『左巻キ式』のあとにわけわかんなくなって、小説書けなくなっちゃってたんですよ。そんで「こんなていたらくでは小説書いて暮らすなんて無理だ……
」と気づいて、一から出直そうとスタニスラフスキー・システムを学んだ。普通は順序が逆ですけどね。
――近代演劇の基礎とも言うべき『俳優修行』のスタニスラフスキー・システムでキャラクターノベルを書くんですか!?(笑)
海猫沢:いや、スタニスラフスキーが言ってることって、別に大したことないんですよ。『俳優修行』には当たり前のことしか書いてない。理屈抜きにして脚本を熟読しろ! 脚本に書いてあることを疑わずに、キャラクターになりきって演じれば「わかる!」って書いてるんですよ。でも、ぜんぜんわかんなくて困ってます。超長くなりそうで怖い……。
――で、オリジナルの次回作は?
海猫沢:どうなんでしょうね。オレが一時期書こうと思ってたのは、SF版『8mile』。エミネムですよ。MCバトルですよ。呪文の詠唱シーンとかが日本語、英語、フランス語……とか言語ごとにある作品。『8mile』のすごいところって、ラップで対決してるんだけど、どっちが強いのか見ててわかるんですよ。字幕でも。だから、これはたぶん「小説でもできる! いや、小説のほうがよりやれる!」とか思って構想を練ってたんですけどね。大阪のスラム街(西成区)に隕石が降ってくるんですよ。韻石。それで韻が踏めるようになる。韻を踏むとドッカンドッカン街が爆発する。だけどみんな基本はシャブ中とキチガイだからヘロヘロなんだよ。浮浪者もflowするんだけど、そもそも韻なんか踏めねえ。そこに言語学教授がいて、若者に韻の踏み方を伝授するというベストキッド的な普遍的展開……ダメだ……やっぱこれ。
――(笑)。ヒップホップは好きなんですか?
海猫沢:いや、別に。マトモに聴いたことがない。J-waveで流れるオレンジレンジとかしか聴いてない。っていうか、その作品は各国語で韻を踏まないといけないわけで、語学能力があまりにも必要とされるから挫折して、そのままですね。オレの頭脳では書けない……気づくのが遅かった。
なんにしても、とにかくこれからしばらくは、世界のみんなの胸を打つ健全な物語を書くために鍛錬しようと思います。まず、基礎から地道にやろうかと。本書く前から言ってるけど、最終目標は聖書を越えるベストセラーですから。
――大丈夫なんでしょうか。
海猫沢:飛べなくてもハードルを限界まで高くしとけば怠けないからいいんですよ。あ。今気づいたんだけど、スタニスラフスキーシステムで村上龍とかスティーブン・キングとかイエス様になれたらスゴくない!? そっち修行した方がいいかも……。
――めろん先生のこれからのご活躍、期待しています。
(2005.2.1 新宿の沖縄料理屋にて)
『左巻キ式ラストリゾート』海猫沢めろん Illustration/鬼ノ仁
目覚めた僕(ユウ)は記憶を無くし、12人の少女たちが暮らす見知らぬ学園にいた。僕の覚醒と時を同じくし、外部を喪失した学園では、トーチイーターと名乗る犯人による暴力的な事件が連鎖的に起こる。次々と餌食(えじき)になる少女たち。犯人は誰なのか、この閉鎖された学園は何なのか──そして、僕はいったい誰なのか……。 伝説的奇書、ここに再誕!!! ゼロ年代の衝動の総てを詰め込んだ、異能・海猫沢めろんの伝説的デビュー作!
鬼ノ仁(きのひとし)の新規描き下ろしフルカラーイラスト群を収録し、東浩紀(あずまひろき)による解説を附した、これが最終版にして完全版! これは、ゼロ年代の墓標(ぼひょう)だ。
文庫版刊行にあたり、批評家・東浩紀による「ゼロ年代総括」ともいうべき解説を附し、奇才・鬼ノ仁がカバー・挿絵イラストを全てフルカラーで描き下ろした。
初刊時に話題を呼んだ凝ったDTPデザインは、プリグラフィックス・川名潤によって更に押し進められている。
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