「とにかく食べればわかるから」と知人は言うのである。台湾麺線。聞いたことのない食べ物だが、一度食べるとクセになるんだそうだ。わかった。とにかく食べてみよう。
台北や高雄など、場所によって味付けが違う
向かったのは、東京メトロ銀座線の虎ノ門駅。ここから徒歩1分、オフィス街の真ん中に目指す店がある。
店頭にはすでに数名のお客さん
ここは、今年3月にオープンしたばかり。しかも、日本初の台湾麺線専門店なのだ。さっそく、お店の人にご挨拶を。
「いらっしゃいませ~」
何となくのイメージで、太った弁髪のおじさんみたいな方が出てくるかと思ったら、店主はお若いレディーだった。彼女の名前は林千笑(はやし・ちえみ)さん。10年ほど前に旅行先の台湾で麺線を食べた際、心を奪われたそうだ。
「それ以来、台湾には数え切れないぐらい行って食べてるんですけど、日本でも誰かお店を出さないかなあとずっと思ってて。でも、10年待っても誰も出さないので、自分でやるしかないと(笑)」
フードメニューは台湾麺線とルーロー飯(魯肉飯)のみ
林さんによれば、麺線とはソーメンを蒸した細い麺を、温かくてとろみがある鰹ダシを効かせたスープで煮込んだもの。
「台湾には麺線を出す屋台がたくさんあって、食事としてもおやつとしても食べるんです。面白いのは、台北や高雄など、場所によって味付けが違うところ。南に行くにつれ甘みが増す傾向にありますね」
ふんふんと頷きながら、麺線とルーロー飯(小)のセットを注文した。これで750円。都心にしては安い。
台湾ビールも飲みたかったが、この後仕事があったので断念
「ラーメン、蕎麦、うどんなど、麺好きな日本人の味覚にとても合う食べ物なんですが、日本で出している店はほとんどないんですよ。たまにメニューにあるから注文すると、まったく別のものが出てきたり…」