いつ売るか、今でしょ-上位6%好成績ファンドも国債で転換
6月10日(ブルームバーグ):国債の売り時がいつか知りたい投資家に対して、ウェスタン・アセット・マネジメントのマーク・リンドブルーム氏は答えを用意している。「それは今でしょ」というのが結論だ。
米国でウェスタン・アセットの「コア・プラス 」ファンド(運用資産総額102億ドル=約1兆400億円)の管理・運用に携わるリンドブルーム氏は、過去2週間まさにそれを実践している。コア・プラスは、基準となる指標(インデックス)に連動する運用を行う場合に比べて国債の保有比率を過去1年にわたって高くしてきたが、先月になって国債の投資配分を縮小する方向に方針転換した。
コア・プラスの年初来リターンは、米国債相場の上昇を背景に同種のファンドの94%を上回り、上位6%に入る好成績だ。リンドブルーム氏は9日の電話インタビューで、「われわれは今ではその取引に対してこれまでほど積極的ではない」と語った。
米モルガン・スタンレー も同様の結論を導き出した。同社のストラテジストらは8日のリポートで、「米国債を最大限アンダーウエートにしている」と説明。CMEグループのユーロダラー先物の取組高を見る限り、借入金を活用してリターンの押し上げを狙うレバレッジド投資家は、米国の金利が上昇する方向に賭けるポジションをこれまでで最も積み上げている。
今年に入り世界の国債相場は3.5%上昇しており、買われ過ぎているようだというのが大方の主張だ。米国の10年国債の2.6%という利回り を取ってみても、過去20年間の平均を約2ポイントも下回っている。
米国債相場は先月、欧州中央銀行(ECB)が6月5日の政策委員会で追加金融緩和を決定するとの期待から値上がりした。バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数のデータによると、6月に入ってからは0.8%下げており、このままいけば昨年12月以降で最も悪い月間パフォーマンスになりそうだ。
リンドブルーム氏は近い将来の米国債売りを予想するが、それが比較的抑制されたものになると考えている。同氏が運用に携わるファンドは中期債を売る一方、比較的長めの債券は引き続き選好している。
ウォール街のエコノミストのコンセンサスが正しいとすれば、米国債利回りが年内のある時点で上昇するのは避けられない。その時はすでに訪れているかもしれない。
原題:The ‘Sell Treasuries’ Cry Is Serious This Time to WesternAsset(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Lisa Abramowicz labramowicz@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Shannon D. Harrington sharrington6@bloomberg.netDavid Papadopoulos
更新日時: 2014/06/11 14:27 JST