集団的自衛権:首相が公明党との早期合意を指示

毎日新聞 2014年06月10日 21時22分(最終更新 06月10日 23時19分)

 安倍晋三首相は10日、自民党の高村正彦副総裁と首相官邸で会談し、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更について、22日に会期末を迎える今国会中に閣議決定するため、公明党との合意を急ぐよう指示した。首相は「今国会中に集団的自衛権という言葉をしっかり入れて自公が合意できるよう、一層頑張ってほしい」と表明。一方、公明党の山口那津男代表ら幹部は、与党協議や党内集約に時間がかかるとして慎重な見方を示し、両党の攻防が激化した。

 首相はこれまで与党協議について「期限ありきではない」として進展を見守る意向を示してきた。しかし、目標の会期末が近づき、「集団的自衛権」を明記した閣議決定を目指す強硬姿勢を鮮明にした。高村氏は首相との会談後、「時間をかけず、結論を出してほしいというのが首相の強い希望だ」と記者団に説明した。

 会談に先立ち、高村氏は「安全保障法制の整備に関する与党協議会」で、13日に政府から閣議決定の原案を示し、20日の閣議決定を念頭に議論を進めたい意向を公明党に伝えた。閣議決定すれば、野党から国会審議を要求される可能性もあり、自民党は週末の21、22両日に党所属議員を国会周辺にとどめる「禁足」を設定。首相は10日夜、東京都内のフランス料理店で、太田昭宏国土交通相や公明党の当選1回議員と会食した。

 一方、公明党の北側一雄副代表は与党協議会で、閣議決定原案に関する協議入りに難色を示した。山口代表も10日の記者会見で「まだ議論すらしていない事例もある。なかなか簡単ではない」と強調。早期の与党合意に理解を示してきた井上義久幹事長は同日、千葉市の講演で「党内で相当議論が出ており、意見集約には時間も労力もかかる。それを無視して結論は出せない」と述べた。

 公明党は10日、党国会議員の会合でこの日の与党協議について報告した。しかし、日本の武力攻撃には至らないグレーゾーン事態、国連平和維持活動(PKO)などの国際協力の2分野・計7事例にも、議員から質問が殺到。同党は2分野の意見集約を再び見送り、集団的自衛権の議論には入れなかった。

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