集団的自衛権:政府、条件付き武器使用を提示 米艦防護

毎日新聞 2014年06月10日 21時42分(最終更新 06月10日 23時37分)

 ◇7事例の対処方針を自民、公明両党に

 政府は10日、日本への武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」と国際協力分野の計7事例について、対処方針を自民、公明両党に示した。グレーゾーン事態のうち、両党が合意していない「日本近海でミサイル発射を警戒する米艦の防護」は、自衛隊法95条の「武器等防護」を踏まえ、条件付きで自衛隊の武器使用を可能にする。政府は同法に米艦防護を追加する改正を検討し、公明党の了承を取り付けたい考えだが、同党内の意見集約は難航している。

 米艦が武力攻撃に至らない侵害を受けた場合に自衛隊の武器使用を認める条件は、(1)自衛隊と連携して日本の防衛に資する活動に従事する米軍部隊の武器などが対象(2)米国の要請か同意がある(3)極めて受動的、限定的な必要最小限の行為−−の3点。政府は、これらを満たせば、憲法9条が禁じた武力の行使には当たらないとみなす方針だ。

 「多国籍軍の後方支援」を巡っては、政府は既に、「戦闘行為の現場では支援活動はしない」など他国の武力行使と一体化しないための3基準を与党に提案している。これに関連し10日には、戦闘の現場で武器弾薬を供給・輸送▽戦闘現場で他国の医療部隊に組み込まれる医療活動▽地上の戦闘現場に食糧などを空から投下−−といった活動は新基準でもできないと説明した。ただ、戦闘へ発進準備中の航空機への給油は1回の作戦に必要な燃料などに限って認めるとしている。

 一方、10日の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」では、集団的自衛権の行使容認を巡る自公両党の議論が本格化した。

 公明党の北側一雄副代表は、政府の15事例のうち5事例(うち1事例はグレーゾーン事態)を占める米艦防護について、平時と周辺事態では自衛隊法の武器等防護を適用・拡大する▽近隣有事や米国への武力攻撃が起きた際は、米艦への攻撃を「日本への攻撃の着手」とみなす▽日本の領海内にいる米艦への攻撃は日本への武力攻撃に当たる−−と整理する見解を表明。過去の政府答弁も根拠に、集団的自衛権の行使を容認しなくても、警察権や個別的自衛権で米艦防護は可能だと主張した。首相が米艦防護にこだわっていることから、今国会中の閣議決定を念頭に、自公両党の妥協点を探る狙いがある。

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