Updated: Tokyo  2014/06/11 18:35  |  New York  2014/06/11 05:35  |  London  2014/06/11 10:35
 

目標にまっすぐ進む黒田日銀総裁、マラドーナのゴールを彷彿

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  6月11日(ブルームバーグ):サッカー界の伝説となっているアルゼンチン代表のマラドーナ選手がワールドカップの対イングランド戦で決めた5人抜きゴール。コースを変えると読んだディフェンダーの裏をかき、まっすぐ進んだゴールに、黒田東彦日銀総裁とエコノミストの関係に似ているというエコノミストの声が出ている。

1986年のマラドーナのように、黒田総裁も追加緩和を予想していたエコノミストを翻弄(ほんろう)した。追加緩和の予想を繰り返したエコノミストに対し、黒田総裁は自らの政策を変えなかった。

今月3-6日にブルームバーグ・ニュースが実施した調査によると、エコノミストの24%が日銀が昨年4月に発表した量的・質的緩和にさらに追加的な措置をとることはないと予想した。昨年12月時点で同様の予想を示したのは3%だった。追加緩和の実施時期を10月に後ずれさせる見方がエコノミストの主流になった。実施時期の予想は昨年10月から今年4月、さらには7月と次々と後退させていた。

「マラドーナ効果」というのはイングランド銀行(英中央銀行)のキング前総裁が2005年の講演で使った金融政策を行う上での理論。中銀が実際に行動しなくても、そうした行動を予測する市場心理のおかげで中銀の意図を達成した例として、マラドーナの伝説のゴールを挙げたのに基づいている。

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはこれまでの日銀とエコノミスト予想について、「マラドーナ理論は極めて言い得て妙だ」とし「市場の追加緩和予想は変化しているが、結局のところ物価の上昇は日銀の見通し通りになっており、エコノミストは緩和予想を続けて後ずれせざるを得ない状況になっている」と述べた。

7月緩和予想を撤回し、10月31日の会合での緩和予想に変更したニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「エコノミストが外してきたのは否定できないし、残念なことではある」としながらも「依然2%の物価上昇率は達成するには高過ぎる目標だ」と述べた。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net;東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net淡路毅, 中川寛之

更新日時: 2014/06/11 00:01 JST

 
 
 
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