融雪剤の塩で蝶の生存率低下、米研究

2014年06月11日 08:49 発信地:ワシントンD.C./米国

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×米イリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)で、道路にまくための塩を積み吹雪に備えて待機するトラック(2014年2月4日撮影)。(c)AFP/Getty Images/Scott Olson

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【6月11日 AFP】凍結した道路に塩をまくとドライバーの命を救うことにつながるが、一方で蝶の寿命を縮めている可能性があるとの研究が、9日に米科学誌「米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)」で発表された。

 冬季の道路でのスリップ対策では、最も安価な塩類である塩化ナトリウム(食塩)が融雪剤として広く利用されている。

 しかし今回の研究によると、冬に塩化ナトリウムを道路にまくと、道路付近で餌を得る蝶などの無脊椎動物の生態に影響を及ぼす恐れがあることが分かった。

 米ミネソタ大学(University of Minnesota)の生物学者で、今回の論文の主著者であるエミリー・スネルルード(Emilie Snell-Rood)氏は、道ばたと草原の両方に生えるトウワタを食べる移住性の蝶「オオカバマダラ」に研究の焦点を当てた。

 道ばたに生えたトウワタの組織からは、通常と比べ最大30倍ものナトリウムが検出された。オオカバマダラがこれらの葉を食べた場合、体内のナトリウム量も同様に上昇。雄の場合、これによって羽ばたき用の筋肉が発達したが、雌の場合は逆に筋肉量は減少していた。さらに雌の場合は脳が肥大したが、これは雄には当てはまらなかった。

 摂取ナトリウム量の増加は、よい影響を与えることもあるが、過剰な摂取は命にかかわる事態を招くこともある。スネルルード氏の研究チームは、大量のナトリウムにさらされた蝶の生存率が極めて低いことを明らかにした。

 同様に、ナトリウム量が多い道路のそばに生息するオオカバマダラの幼虫の生存率は40.5%で、草原に生息する幼虫の生存率(約60%)に比べて著しく低かったという。(c)AFP

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