世界第2位の経済規模を誇る中国の5月のインフレ率の上昇は、持続的なデフレを憂慮する政治家にとって喜ばしい兆候であった。
しかしながら、それは既に多大な債務を負い、足取りの重くなった経済状況下で、資産バブルの再燃と政治的に受け入れがたいインフレを回避しながら、更なる経済成長を目指す中国のジレンマを露呈した。
4月の消費者物価指数が前年比1.8%の上昇であったのと比較し、5月は2.5%の上昇という公式値が10日発表された。生産者物価指数はわずかに上昇したが、デフレと見なされる領域に2年以上とどまっている。
特に、中国経済の屋台骨をなす不動産建設分野の活動低下に、中国政府は神経をとがらせ、金融政策の変更も視野に入れている。
ここ数週間、中央銀行である中国人民銀行は公開市場操作によって銀行間取引市場に潤沢な流動性を提供している。また9日には、中堅銀行が中央銀行に預託する預金準備率を引き下げると発表した。
こうした動きは主に中央銀行の姿勢を示すシンボルとして行っているもので、アナリストは市場に500億元~700億元を追加で供給したにすぎず、先週行った公開市場操作よりも規模が小さいとみている。
しかしこのシンボルは、政府が7.5%の経済成長を下支えしながら、同時にインフレ率を今年の上限目標の3.5%に抑えるというバランスに苦心している今、なおさら力強いものとして映る。
インフレ率は依然抑えられているし、成長率も昨年第4四半期の7.7%に比べ、今年第1四半期は前年同期比7.4%と目標に届いていない。
■成長へ発破掛ける李首相
ここ数カ月間、中国指導者は力強い声明を発信している。10日国営メディアは李克強首相が官僚に対し、責任と切迫性の意識を持ちながら、迅速な経済成長に注力するよう強く促したと伝えた。
さらに「我々は過去に政府高官はGDP成長率のみで評価されるべきではないと言ってきた。しかしそれは、理にかなった成長を維持しなくていいという意味ではない。共産党全体および中央のみならず地方政府は、政府が設定した成長目標を成功裏に納めるよう責任を持つべきである」と語った。
このコメントは今後の一層の緩和の兆候と捉えられているが、政府が金融政策で更にどれほど後押しできるかは不透明だ。
中国の金融政策は既にかなり緩和状態にあり、国の総債務はたった5年間でGDP対比130%から220%に増加したという経験をしている。
世界第2位の経済規模を誇る中国の5月のインフレ率の上昇は、持続的なデフレを憂慮する政治家にとって喜ばしい兆候であった。…続き (6/11)
インドのモディ新首相は5月の就任以降、比較的静かなスタートを切った。経済改革案の矢継ぎ早の発表を予想していた向きには拍子抜けかもしれないが、新首相に対する投資家の熱意は冷める気配がない。…続き (6/11)
各種サービスの説明をご覧ください。