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原発事故備え小学校に放射線遮断室 集中立地の福井県嶺南地方

(2014年6月11日午前7時20分)

拡大 会議室に隣接する「機械室」には、ドラム缶のようなフィルターを備えた換気装置がある。放射性物質を取り除いた空気を取り込める=福井県敦賀市色浜の西浦小 会議室に隣接する「機械室」には、ドラム缶のようなフィルターを備えた換気装置がある。放射性物質を取り除いた空気を取り込める=福井県敦賀市色浜の西浦小


 厚さ7センチの鋼製気密扉や特殊な大型フィルター付き換気装置―。福井県の嶺南地方の小学校や高齢者施設に、放射性物質が入り込まないよう防護対策された部屋が次々登場している。万一の原発事故の際、即時避難が難しい高齢者らが一時的に危機をしのぐ“駆け込み寺”だ。

 敦賀半島先端部の日本原電敦賀原発から約2キロ南に位置する敦賀市西浦小。職員会議や児童の発表会に使われる一見何の変哲もない会議室は、実は高気密の屋内退避施設。壁の内装をはがして樹脂モルタルを塗り、気密性が従来の約3倍にアップした。隣にあった放送室のスタジオはつぶして機械室にした。ドラム缶のような大型フィルターを備えた空気を取り込む装置があり、放射性物質を取り除くことができる。

 各所の「陽圧弁」によって、部屋の気圧が外に比べ少し高く保たれるようになっており、原発事故の際にも放射性物質を含んだ外気が入り込まない。窓には放射線を遮る分厚い鉛成分入りガラスを据えた。停電しても部屋が使えるよう、グラウンドの一角には平屋を建設し、ディーゼル発電機を置いた。

 周辺4地区の約30人が救助の到着まで最大3日間、避難する想定で、物資はいざというときに搬入される。工事は3月末に終了した。同校の山下典子教頭は「使われることがない方がいいが、部屋が地域のお年寄りらの安心につながるなら」と複雑な思いをのぞかせた。

    ◆   

 原発からおおむね5キロ圏内は事故の際、放射性物質が外に放出される前であっても、避難を始めるエリアだ。マイカーなどで県内外の避難所に向かうのが原則だが、中には介護度の重い高齢者や障害者ら、急な避難が難しい人もいる。

 西浦小会議室のような「放射線防護対策施設」は、これらの人とその家族向けに、県や市町が昨年から整備している。5キロ圏の小学校や高齢者施設だけでなく、30キロ圏の医療機関も含め計20カ所。既に敦賀、美浜、小浜、おおい、高浜で9カ所が完成。南越前町や鯖江市などの残る施設も本年度中に整備を進める。総事業費は約41億円。

 医療機関の一つが市立敦賀病院。福島第1原発事故で、入院患者を搬送し症状が悪化するケースがあったことを教訓に、重症患者ら約40人が一時的に避難する。医師や看護師ら約20人も寝泊まりし付き添う。

 市危機管理対策課は「屋内退避できる施設の充実は、避難に時間のかかる人の安心につながる。全体の避難速度が上がる側面もあり、今後も幅広くリスクを減らす方策を考えたい」と話している。

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