ばんせい証券:損失2.6億円客に移す 監視委処分勧告へ
毎日新聞 2014年06月11日 11時25分(最終更新 06月11日 12時46分)
中堅証券会社「ばんせい証券」(東京都中央区)が2億円を超える自社の損失を回避するために一般投資家や厚生年金基金が出資するファンドに損失を移したとして、証券取引等監視委員会は近く、同社を金融商品取引法違反(不適切な業務運営)の疑いで行政処分するよう金融庁に勧告する方針を固めた。金融庁は業務改善命令を出すとみられる。
関係者によると、同社が運営するファンドに組み込んだ債券に2億円を超える含み損が発生。ほぼ無価値になっているにもかかわらず、その事実を隠し2010年3〜4月、一般投資家向けと年金基金が出資する二つの別のファンドに、この債券を組み込んだ。その結果、二つのファンドに総額約2億6000万円の損失を与えた疑いがあるという。
年金基金は、ばんせい証券の子会社「ばんせい投信投資顧問」に運用を委託していた。監視委は、投資顧問も損失が発生することを認識していたのに回避しなかったとして、同法違反(顧客への忠実義務違反)容疑で、行政処分するよう金融庁に勧告する方針。
ばんせい証券は11年、必要な届け出をせずに有価証券を販売したなどとして金融庁から1カ月間の業務停止命令を受けた(当時の社名はばんせい山丸証券)。取材に対し「検査内容については現段階ではコメントできない」としている。【牧野宏美】