自分らしく生きるための努力について【連載:えふしん】
2014/06/11公開
藤川真一(えふしん)
FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にpaperboy&co.へ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年、想創社(現・マインドスコープ)を設立し、2012年4月30日まで代表取締役社長を務める。その後しばらくフリーランスエンジニアとして活躍し、2012年11月6日に想創社(version2)設立
映画『アナと雪の女王』、皆さん見ました!? 僕が完全にスルーしている間に、世の中は♪レリゴーレリゴーとブームになり、親戚の子どもたちはずっとYouTubeの動画を再生しながら踊っているそうです。
日本語版は、すでに4000万回も再生されています。ほとんどの日本人が1回は聞いたことがあるぐらいの数字ですね。びっくりしました。
この作品を遅ればせながら観たきっかけは、中森明夫氏が『アナと雪の女王』についてツイートされていた記事を見たからです。お、これはただの映画じゃないのかな!? と。その場でチケットを予約して観に行きました。
「アナと雪の女王」ヒットの裏では「実は大変なことが起こっている」 評論家・中森明夫氏の「アナ雪」独自解釈がネットで話題呼ぶ – ライブドアニュース
最近の若い人は知らないかもしれませんが、中森明夫氏とは名の知れたコラムリストで、「おたく」という言葉を生み出した人です。何か新しい行動の背景があるなら見に行かねば!と。
……ですが、期待に反して、この映画を観て驚いたんです。何が驚いたかって、Let It Goという国民的に人気になった歌がてっきりメインテーマなのかと思っていたら、あれ、全然違うんですね。
主人公の1人である雪の女王エルサが、自身がコントロールできなくなった魔力を国民の前に晒してしまい、失意の元で雪山に逃げて行くシーンの歌なのです。今まで愛する妹のために自分を抑えてきたのに、うまく行かずに、疲れはて、持て余す力を解放しながら、雪の城を建てていくというシーン。それが、
「ありのまま」
という表現なのでした。
通常、「ありのまま」と聞くと、自分らしく、ポジティブな文脈でこそ使われる言葉で、中森明夫氏の記事もあいまって、もっと開放感あふれる、「Let It Go!」なのかと思ったら、まったく違っていました。
「え、そこ!?」
と思わざるを得ない映画でした。まさかそんな歌が、みんなに聞かれているなんて驚きです。この不思議な状態にこそ、言葉を付けたいです。
イケダハヤト氏がレリゴーを歌うエルサに見える
そんな映画を観た次の日の朝に、こんなニュースが目に入ってきました。
『イケハヤ書店』から『まだ東京で消耗してるの?』にタイトルを変更したイケダハヤト氏のブログ
なぜかYahoo!ニュースにも載っていたこの話題。見た瞬間に感じた、
「レリゴー」じゃないか!
普通に高知県に引っ越され、ブログタイトルを『まだ東京で消耗してるの?』と変えて、地方移住をするクリエイターを増やしていきたいのだそうです。
何かから解放されたのかは知りませんが、その後の記事においても、なかなかの開放感が文章に表れております。恐縮ながら、もうレリゴーを歌うエルサにしか見えません。
「なかなか飛び出すことができない」残念な人に共通する3つの欠点
彼は身を呈してブログのネタになる道を選んだので、新しいロールモデルとして成長できることが、彼や彼の周りにいる人たちによって幸せにつながることでしょう。
彼は「自分らしく生きる」ということをコンテンツにし、実際に成功しているという数少ない成功者であることは間違いありません。彼の文章力は非常に優れていると思いますので、そこを強化できるコンテンツ性を「地方在住」という機会で身に付けていただいて、面白い記事を発信していただきたいですね。
地方はそんなに甘くないという指摘もちらほら見かけました。
しかし、彼のプロブロガーというビジネスモデルは、コンテンツを発信し、意識の高い知識層を刺激し、ソーシャルのバズラインに、自分のコンテンツを載せ、結果としてGoogleやAmazonから外貨を獲得するビジネスなので、場所は関係ないはずです。それがノマドの本質なのだと思います。
今回の施策は、コンテンツ力を高めるための移住(引っ越し)なので、新しいチャレンジ、アウトプット力がどうバージョンアップするか応援したいと思います。
肝は、都会層のコンプレックスを刺激することで、ソーシャルメディア上のバズという名の流通ラインに、自身のブログURLを乗っけることだと思います。この道はこの道で、広告代理店によるバイラルメディアなどが参戦し、なかなか大変な世界になりつつあります。
距離が離れたことでスルーされないと良いですね。頑張りに期待です。
時間をかけたアウトプットが「ありのまま」を知ってもらう近道
さて、さらに、そんなことを考えていた時に、こんな記事を見つけました。
面接で、こういうことを言うとよくないよという記事です。
書いてある1つ1つは確かにその通りだし、素敵な締めくくりで良記事なのですが、改めて自分のことに置き換えて考えると、
「俺、面接で受かる自信ないわ」
と思ってしまいました。
面接という限られた時間の中で自分のすべてを知ってもらうのは至難の業
確かに思い起こすと、自分の就職活動はあんまりうまく行かなかったような気がします。そういえば第1志望の会社はことごとく落ちていたし、結果的にはよかったのですが、当時はそれなりに苦労していました。
特に反省点として「ついつい余計なことを言ってしまう」というのがあって、まさしく、この記事の通りです。まったく笑えないな、と。
でも、とある会社さんに拾っていただいて、身に余る幸せな仕事をさせていただいて、その後の転職も何人もの人に誘っていただいて、今があります。周りのネットで活躍する人たちと比較して、さほど突出した能力のない普通枠の人間としては、ラッキーなキャリアを送っていると自負しています。
僕が普段生きていて、正直言って苦手だと思うのは、僕のことをまったく知らない人に、自分を短期間で知ってもらうことです。
それに対してブログやモバツイなどでのアウトプットは、僕を良い方向に判断していただく時の強力なバイアスになりました。特にネット系の転職では、これは強い力を発揮します。
大学生の新卒面接に話を戻すと、学歴を自慢しても履歴書に書いてあるわけですから意味がありません。さらに、「あなたが何をやってきたか」をアピールし、「ありのままのあなた」を知ってもらう必要がありますが、はっきり言って、ほとんどの人には難しいですよね。
もし、どうにかしたいという気持ちがあるなら、あなた自身のポテンシャル以外の武器を持つ方法を推奨したいですね。
適切な受け答えや、話の面白さと言った瞬発力のセンスを磨くのは、すごく難しい話ですが、じっくり何かに取り組んで、時間をかけて成し遂げるのは、瞬発力よりは簡単だと思うのです。
プログラムが書けるなら、オープンソースだったり、iPhoneアプリだったり、素敵なWebサービスだったり、その他にもいろいろあると思いますが、アウトプットを世の中にアピールして、必ずしもメガヒットにならなくても、そこでの哲学をアピールする機会にはなります。
もし、知ってくれている人がいたら、そこは、あなたに合う場所なのかもしれません。
そうやって糸口を作って行くのはオススメです。ただ、これも「あなたがやりたいこと」じゃないと続かないので、あくまでも心に刺されば、の話です。
「ありのまま」を大切にし、自分を知ってもらう努力を
さらに、Facebookで友だちから流れて来た記事なのですが、
出会いを求めて、興味のないことをやる必要は全くなくて、
自分の好奇心のおもむくままに行動している中で、
突然、出会いってふってくるものなのかなーと思います。
彼氏が出来ないからって特別なことは何もしなくていい/はあちゅうの女の本音
From Val Gardena – Gröden Marketing
恋愛でも、仕事でも、ものを言うのは「行動量」
いやホント。そう思います。これは就活にも当てはまると思います。そもそも就活という言葉がおかしい。仕事でも恋愛でも、とにかく「自分らしく」が一番です。
この記事で大事なのは「好奇心おもむくままに行動する」という部分です。
「ありのまま」でいたいからと言って、週末、ひきこもっていたり、何もしないで寝ているというのはやめた方が良いですね。何かに出会う確率が一定なら、行動量を増やさないと成就しません。
結果 = 自身のポテンシャル × 行動量
だとすると、行動量がゼロであれば、いくらポテンシャルがあっても、ゼロです。
これでは、評価のしようがありません。
自分はこんな奴じゃない!もっと評価されるべきなんだ!と心では思っていても、周りから判断する情報がないので、判断しようがない、という状態です。
中森明夫氏の「アナと雪~」の記事には期待していますが、エルサを自分に投影していても、抑えきれない魔力は皆さんにはないですからね。気持ちだけ正当化するのは良い状態ではありません。やっぱり何かを形にする努力をして、その先に何かが得られるのだと思います。
とにかく知っておいて欲しいのは、アウトプットを作るのは、それはそれで「簡単ではない」ということです。ネットにはプログラムを書くのは楽しくて仕方ない!と書いている人もいますが、それはあくまでも幸せな状態の話。そういう人もいつか、辛いと思う時期がやってくるものです。
そこで止めるか進むか、が一番大切なことなのだと思います。
まぁこれは余談ですけどね。これはこれで、また違う機会に書きましょう。