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【社会】

特定秘密易しい言葉に 弁護士も難解で、うんざり…

2014年6月11日 14時02分

本では漫画も交えながら内容を紹介している(イラストは大島史子さん)

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 年内に施行される特定秘密保護法の危険性をあらためて伝えようと、知恵を絞る若手弁護士たちがいる。今月出した著書では、難しい法律の条文をくだけた日本語に「超訳」した。漫画も使いながら、特定秘密保護法によって国民の知る権利が制限される恐れを身近に感じてもらい、法廃止に向けた機運を高めようと考えている。 (鷲野史彦)

 グループは、憲法を市民に知ってもらう活動をしている「明日の自由を守る若手弁護士の会」(会員三百二十五人)に所属する弁護士ら七人。弁護士らは、特定秘密保護法案について「国民が政府のやることを知ることができず、批判できない」とインターネットなどで訴えてきた。だが、法は昨年十二月に成立。会の事務局長で執筆者の一人、早田(はやた)由布子さん(31)は、「法律はややこしく弁護士でもうんざりするような内容。分かりやすく伝え、自分の生活に関わりがあることを知ってもらいたかった」と話す。

 今回出版した「これでわかった! 超訳 特定秘密保護法」ではほとんどの条文を平易な言葉に言い換え、イラスト入りで、市民が巻き込まれかねないケースも明示した。

 たとえば二五条一項は、処罰対象を「第二三条第一項に規定する」などと記し、ほかの条文と読み比べないと分からない。本では「『秘密』を漏らすように働き掛けた人(教唆)」などは、「最大で五年間刑務所に入ってもらいます」と記した。

 漫画では、電力会社に「原発の防災ってどうなってるんです?」と尋ねただけで、同法違反容疑で逮捕される市民の姿も描かれる。これまでの政府見解では、原発の警備状況も特定秘密に当たるとされている。

 省庁にコンピューターシステムを納入する会社の従業員も登場する。秘密を扱うにふさわしい人物かどうか、家族も含めて国に身辺調査され、不合格に。娘が中国に留学していることくらいしか思い当たる節はないが、原因は告げられないまま。結果が響き、会社では左遷の憂き目に遭うというシナリオだ。

 早田さんは「安倍政権は集団的自衛権を解釈改憲で認めさせようとするなど、ごまかしに満ちている。本を通じて、自分たち市民が主権者で権力に文句を言ってもいいんだということも伝えたい」と話している。

 出版元は岩波書店で本体価格は千四百円。全国主要書店で販売されている。

(東京新聞)

 

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