旅行収支:177億円黒字…4月 大阪万博以来44年ぶり

毎日新聞 2014年06月09日 20時44分(最終更新 06月09日 22時32分)

 財務省が9日発表した4月の国際収支速報で、訪日外国人の増加を背景に「旅行収支」が177億円の黒字に転じた。訪日外国人が国内で使ったお金が、海外で日本人が使ったお金を上回ったことを示す。黒字は大阪万博開催中の1970年7月以来約44年ぶり。燃料輸入の高止まりなどで貿易赤字が続く中、市場では「旅行収支が将来的に外貨の獲得、貿易赤字の穴埋めで一定の役割を果たす」との見方も出ている。

 宿泊代などで訪日外国人から得られた収入は、前年同月より410億円多い1716億円。一方、出国した日本人の海外支出額は前年同月とほぼ同規模の1539億円。旅行収支は差し引き177億円の黒字となった。前年同月は224億円の赤字だった。

 日本政府観光局によると、4月の訪日外国人は約123万人となり、月間ベースでは2カ月連続で過去最高を更新。出国した日本人数(4月は119万人)を上回った。円安やビザ発給要件の緩和など政府の規制緩和が奏功した。政府は訪日外国人を2030年までに年間3000万人に増やすことを目指しており、実現すれば「旅行収支の収入が現在より年2兆円増加する」(第一生命経済研究所の星野卓也エコノミスト)との試算もある。

 一方、海外との総合的な取引状況を示す4月の経常収支は1874億円の黒字だった。黒字額は前年同月比で76.1%縮小し、4月としては比較可能な1985年以降で最少だった。【竹地広憲】

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