自社のファンドで生じた約2億円の損失を顧客の年金基金に付け替えていたとして、証券取引等監視委員会が週内にも、「ばんせい証券」(東京都中央区)と子会社の「ばんせい投信投資顧問」(同)に対し、金融商品取引法に基づいて行政処分するよう金融庁に勧告することがわかった。金融庁は業務改善命令を出す見通し。同社が監視委の勧告対象になるのは4回目。

 関係者によると、ばんせい証券は自社が運営するファンドに、顧客の「関東六県電気工事業厚生年金基金」(さいたま市)と共同で計約17億円を出資。このファンドが2009年4月に船舶関係の債券を約2億6千万円で購入したが、リーマン・ショックの影響でほぼ無価値になった。

 ばんせい証券は損失のうち約2億5500万円を負担しなければならない契約だったが、これを免れるため、無価値の債券を基金が出資する別のファンドに販売し、約2億円の損失を基金に付け替えたという。基金は損失を付け替えられたことに気づかず、自身の損失として計上していた。