5月10日から11日にかけて、石巻で開催されたイングレスツアーの様子をお伝えします。Ingress は Google が開発した実世界陣取りゲーム。そもそもイングレスとは何か、から前後編に分けてリポートします。
人の行動を変えられるWebサービスが優れたサービスであることに異論のある人はいないでしょう。今、そういったサービスの中でも、世界中で人を画面上だけではなく、実際に外で動かし続けているのが、Googleアース・マップを生み出した ジョン・ハンケ氏(Googleナイアンティックラボ副社長)が率いるナイアンティックラボが提供しているイングレスです。
ただ、2012年11月15日にクローズドベータ版でローンチしたイングレスは、形としてはサービスではなくゲーム。ただその後ろでは、Webサービスで使われているものと同じような技術が使われています。なにしろ、イングレスは実際の地図をゲームマップとしているのです。
このイングレス、ナイアンティックラボは、MMMMORPGと呼んでいます。やたらにMが多いですが、Map-based Mobile MMORPGということなんだそうです。MMORPGは日本語では「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」と呼ばれることもあります。日本のゲームではファイナルファンタジー11などが、その代表です。
イングレスはドラクエのようなRPGではありませんが、ストーリーが存在しています。謎のエネルギーXMを巡って、人類が「Enlightened(覚醒者)」と「Resistance(抵抗勢力)」という2つのグループに分かれて対決しているという話です。
※日本語字幕あり
なんか少しややこしい感じになってきたかもしれませんが、実際のゲームで行われていることは、緑の「Enlightened(エンライテンド)」と青の「Resistance(レジスタンス)」による世界規模の陣取りゲームです。
世界中にはイングレス運営がマップに登録したポータルと呼ばれるポイントがあります。その点であるポータルを3つ以上、線でリンクすると、その内側は自軍のフィールドとなるというわけです。
またスマホのゲーム画面から見えるポータルは、徒歩で動ける範囲が見えるだけです。電車や車などでポータルに近づいても、ハックというイングレスでいちばん基礎となる行動を取ることはできません。
つまり、イングレスを楽しむためには、スマホを片手に世界を歩く必要があるのです。イングレスに興味を持った方は、日本語字幕付きでイングレスのビキナーズガイドが公開されているので、こちらもどうぞ。
現状、イングレスはAndroid OSでしかプレイできません。しかもメニューとかもろもろは英語のみですが、日本でも多数のエージェント(イングレスではプレイヤーをこう呼ぶ)によりプレイされています。
例えば、以下の画面は、通称「Intel」と呼ばれるイングレスの全世界のマップから見た六本木ヒルズの様子。
グーグル・ジャパンがあるのが六本木ヒルズなので当たり前とも言えますが、六本木ヒルズを真ん中にして、左の青と右の緑が実に熱い攻防戦を繰り広げています。
攻防戦という言い方をしたのには理由があって、イングレスはまず参加する際には、緑か青のどちらの陣営に参加するかを必ず決めなくてはいけません(今のところ陣営を鞍替えする方法はありません)。プレイは基本1人で楽しめるのですが、イングレスはチームプレイをした方がより楽しめるゲームデザインとなっているのです。
日本でも、エンライテンドとレジスタンスのコミュニティが作られているのは、このためです。 さて、前置きがすっかり長くなりましたが、この先お話するイングレスミートアップ@石巻はこのイングレスを使った試みです。イングレスはプレイ自体は単純なのですが、その世界観や仕組みを理解するには少し時間がかかるのです。
とにかく今回強調しておかなくていけないのは、海外からの訪問組も合わせると、実に80人強のエージェントが石巻に集まったということです。1つのゲームがこれだけの人たちを石巻に集めました。