実際の地図をゲームマップとして攻防を繰り広げる MMMMORPG(Map-based Mobile MMORPG) イングレス は、Google Earth などを手がけた ジョン・ハンケ氏(Googleナイアンティックラボ副社長)率いるナイアンティックラボによる世界規模の陣取り合戦ゲームです。先日、スマホを片手に世界を歩くイングレスのプレイヤー(エージェント)らが石巻に集結するミートアップが行われました。イベントの様子をお伝えします。
イングレスミートアップ@石巻、各方面からのツアーの集合場所となった仙台駅に着いてみると、そこはすでにイングレスの世界となっていました。
石巻でのイングレスツアー、もちろん日本国内でわざわざ石巻が選ばれたのには理由があります。イングレスは現実の地図に仮想空間を表現するゲームなので、現実とは違う様子を参加者に伝えることができます。これが震災による破壊と復興による再生を表現する手段として優れていること。
また、ツアーの実施で不可欠な現地との協力体制がすでに動いていることです。ツアー主催のグーグルは「イノベーション東北」という復興支援プロジェクトを行っており、石巻には「ISHINOMAKI2.0」「イトナブ石巻」という地元の復興組織があります。
また、人を送り込むJTBはボランティアツアーを長く扱っています。つまりこのツアーに至るまでに、それぞれが自分たちがやるべきことを積み上げてきた場所が石巻だから、イングレスツアーが実現したということなのです。
ツアーは地元有志で作られた「がんばろう石巻」の看板前からスタート。ガイダンスとともに、ここで石巻でツアーをサポートするメンバーとツアー参加者がはじめて顔を合わせました。
看板の横には、東日本大震災の津波の高さを示す標識が立てられており、かつて商店街であった場所が今は更地となった理由を物語ります。
ツアーのスタートは日和山公園。津波ですべてが流されていく光景を記憶している人もいるかと思います。
スタート地点では、ナイアンテックラボの川島優志氏(右)とのISHINOMAKI2.0代表の松村豪太氏によるガイダンスがありました。
ツアー初日のメニューは、この日までに主にISHINOMAKI2.0が作成した120近い石巻のポータルを巡る緑(Enlightenedチーム)と青(Resistanceチーム)のガチンコの攻防戦。そして「ジョン・ハンケを探せ!」というミッションのミニゲーム。そして、ミニゲームのヒントと攻防戦をサポートするアイテムが入ったパケットを呼ばれる小さいな袋が配布されて、この日のゲームがスタートしました。
さすが、石巻に集合した手練のエージェント集団。早速、その場で緑と青に分かれて作戦会議が始まったのは壮観でした。
そして、なにを打ち合わせしていたのかまではわかりませんが、そこから日和山公園エリア60カ所・駅周辺商店街エリア30カ所・中瀬エリア30カ所のポータルに向かって、エージェントは作戦行動を開始していました。
川の中州にある中瀬地区には、ほぼ唯一流されなかった「石ノ森萬画館」があります。石巻の商店街には、石ノ森作品のキャラクターのモニュメントが数多く設置されており、それも今回のツアーでポータルとなっています。
なお、今となっても住んでいた人が多く、被害も大きかったエリアについては、事前調査の上「ゲームとはいえ、面白がりながら歩くべきではない」とポータルは設置されていません。
石ノ森萬画館の前からは、震災前には石巻ハリストス教会が見えました(現在は移築)。ポータルは、当時の様子を再現する形で設置されており、はじめてきた人に震災前の姿をゲームを通じて伝えます。
ミニゲームも同時進行しており、チェックポイントにはこのツアーのためにやってきたイングレスの物語に登場するキャラクターのクルーがヒントを持って待っていました。
エージェントといっしょに動いていると、なにやら騒がしくなってきたので、イングレスの画面を見せてもらうと、緑のエンライテンドがなにやら大人げない作戦を敢行した模様。
半島などの海に出ている部分が多い日本だからこそできるプレイですが、石巻全域を大きな緑のフィールドで囲ってしまうという作戦。これでは、青のレジスタンスは石巻ではなにも行動を取ることができません。
ほどなく、別働隊が緑のポータルを破壊して、この状態は回避されたのですが、よくよく話を聞いてみると、このもっと前の時間には石巻を青のさらに大きな巨大フィールドが囲っていたらしく、要するにどっちもどっちというわけですね。
そうこうするうちに、ミニゲームも最初にゴールするエージェントが現れました。
ゴールしたエージェントとゲームについて話をするジョン・ハンケ氏。このエージェント氏、これまでにこんなはまったゲームはないそうで、過去のゲームとの違いは「外に出ることだ」と言い切っていました。
そして、ジョン・ハンケ氏は、このエージェントのイングレスでのステイタスをチェックして「なかなか!いいね!」とコメント。
開発者とゲームのプレイヤーが直接話をする、これこそミートアップの醍醐味というものでしょう。
ツアー初日の最後のイベントは、表彰・総評・懇親会。そして、2日目のイベントの内容についても話がありました。
さてさて、ここまでが初日分。もう1日イングレスミートアップ@石巻は続きます。2日目は今回のために準備された特殊ミッションの実行、そしてジョン・ハンケ氏から感動的なお話を聞くことができたのです(まだ続く)。