民間企業に勤務していた当時、中国に赴任した経験もある近畿大経営学部の辻隆久教授(雇用調整)は「日本人と中国人の国民性は根本的に違う。雇う側がそれを認識しなければ、職場でトラブルが起きるのは当然だ」と指摘する。
辻教授によると、中国人の仕事に向かう姿勢は個人主義的で、日本人のような協調性はない。さらに、明確な物言いを好み、曖昧さを許容しない。
要するに、「見て覚えろ」や「察しろ」という日本的な指導法は、中国人にはまったく通用しない。中国人に必要なのは、むしろ日本人には敬遠されがちな明確な指示やビジョンなのだ。メンツを潰されるのを嫌うため、同僚の前での叱責も避ける必要がある。
日本で働く外国人労働者数は25年10月現在で過去最高の約72万人。うち中国人は約30万人に上る。外国人労働者の受け入れが進む今、日本人労働者が異文化を理解する重要性は増している。
辻教授は「日本の企業はこれまで、海外に赴任する人材に異文化教育をすれば十分と考えてきた。しかし将来的なマネジメントを考えれば、今後は国内にいる人材にも同様の教育をすることを考えていかなければならない」と話している。