以下のアエラの記事を読みました。中学受験の現場でもこのような親御さんはよく見られますし，今後自分もこのような親になる可能性だってあるわけです。

 

 「できないのは努力不足でしょ」。正論を滔々と語る親に子は無力だ。
反抗しないからといって、「いい子」だと信じ込んでいると、成人してから手痛いしっぺ返しが待っている。（ライター・島沢優子）

 高学歴親が子どもを追い詰める　理論攻めで子どもの逃げ場なし〈ＡＥＲＡ〉 （dot.） - Yahoo!ニュース

 

 

「できないのは努力不足でしょ」というのが「正論である」とするところに問題があるわけで，その後にこれは「正論」とは限らないという記述があるので，アエラは正論だとは考えていないとは分かります。だからそもそもこれを「理論攻め」というタイトルとして表すことに疑問であり，本来は「子どもに求めすぎる親」というタイトルが適切でしょう。その上で高学歴の方が子供に求めすぎるのかと考えるとあまり関係ないような気がします。

 

自分が高学歴でなければ「子どもには大学を出てほしい」と考える親が多いでしょうし，実際に自分の親は高卒（ただし通信）でしたが，子どもは大学に行かせています。だから学歴が高いか低いよりも子供に求めすぎることの問題点を指摘しないと単に高学歴批判になるだけで，生産的な議論になりません。

 

背景にあるのは親たちが「いい子を育てる＝自分の評価」ととらえる風潮だ。特に高学歴夫をもつ専業主婦にその傾向が強い。子どもは親の意向を敏感に感じ取り、本来なら「もう、いい子はやめた！」とばかりに荒れる思春期を自我封印で静かに過ごす。あれはダメ、これもダメと何でも管理する空気が「教育現場だけでなく社会全体に強いのも影響している」（同）
　では、どうすればいいのか。成田さんに高学歴親へのアドバイスをしてもらった。会話やスキンシップの重要性が説かれているため、ワーキングマザーは「子どもにかかわる時間が短いからダメだ」と思いがちだが、実は働く母のほうが子育てにはつまずかないという。
「圧倒的に時間がないので過度な干渉をせずに済む。保育園や学童保育で大人の目が入るし、その集団の中で子どもはさまざまな経験を積む。専業主婦の方には、趣味を持つなど、とにかくわが子よりも自分に目を向けてと話します」（成田さん）
　ケンカ上等。放任万歳。親子で思いをぶつけあい、学歴よりも大事なものを見つけたい。

高学歴親が子どもを追い詰める　理論攻めで子どもの逃げ場なし〈ＡＥＲＡ〉 （dot.） - Yahoo!ニュース

 

それでもう最後の結論はよく分からなくて，高学歴批判なのか専業主婦批判なのか，またはスキンシップの必要性を説いているのかはっきりしません（全部なのか？）。結局のところ，問題は高学歴ではなく「親が子供に求めすぎてはいけない」と言うことだと思うのです。

 

そこで以下の本に「「求めない子育て」が子供を伸ばします」という記事があったのでご紹介します。ただこれも正確には子供に「求めない」わけではないので，タイトルがよくないとは思いますが。

 

 

 

まず冒頭，「求めすぎる」親として以下の質問項目があります。

 

1. 「人並み以上のことは，できるようにならないと！」
2. 「また忘れ物したの？ママに恥ずかしい思いをさせないで！」
3. 「せめて○○くんよりは，いい点数をとって」
4. 「ママは運動苦手だから。その分，あなたにはできるようになってほしいの」
5. 「高いお金を払って塾に行かせてやっているのに，これじゃあお金のムダじゃない！」

 

これは塾でも言われることが多いわけですけど，子供によって成長の度合いにも差があるわけですから，上のような要求を子供にしてしまうと子供は追い詰められるかもしれません。しかし親なのですから子供に「求めない」なんてことはできないですよね。

 

子育てというものは，理性的論理的に割り切れるものではありません。子どもはお母さんの体から生まれ出たものでありながら，自分の体でもなく，思い通りにもというじつに不合理な存在です。だから子どもとの距離が近すぎたり離れたり。そんな行きつ戻りつを繰り返し，揺れて悩みながら子育てをしていくのが自然な姿だと思うのです。（62頁）

 

これが全てでどこからが求めすぎでどこからが求めないのかという線引きは事前に決まっているわけではなく，行きつ戻りつで良いんですね。修正しながら子育てをしていけばいいんです。そのためには親も完ぺきではないということを自覚し，子どもにもそれを示すこと。親が完璧であろうとするために完璧な子育てをし，子供をしっかりと育てたい，その結果「求めすぎる」子育てになっているのだと思います。

 

この記事の最後に「求めない母になるための５つのルール」が載っていました（65頁）。

 

①結果を求めるのはあたりまえ。

　求めすぎたときに，いつでも引き返せる余裕を。

②子育て以外の時間を持ちましょう。

③結果ではなくプロセスを大切に。

　そうすれば子どもの気持ちがよくわかります。

④子どもに求めるのは愛される人になること。

　それが子どもの自立につながります。

⑤失敗を語れるお母さんになりましょう。

　失敗をしている人は，子どもに求めすぎることはありません。

 

④の人から愛される人になるためには親が子どもを愛してあげる。これがとても重要であり，親に求められることなのかもしません。子育てというのは子どもを育てるというよりも自分が親になっていく過程であり，それを見て子どもは育っていく。だから求めるべき対象は子どもではなく，自分自身なのかもしれません。でも完璧な人間なんてこの世の中にはいないのだから，今の自分を受け入れてその中で子育てしていくしかありません。だから子育てというのは子どもを通して自分自身と向き合う時間。そんな風に考えて私は子育てをしています。さて皆さんはどう考えるでしょうか？