神奈川県:子ども49人所在つかめず 児相支援0〜17歳

毎日新聞 2014年06月10日 22時11分

 神奈川県厚木市のアパートで当時5歳とみられる斎藤理玖(りく)君の白骨化遺体が見つかった事件を受け、県は10日、管轄する五つの児童相談所への調査で、支援中の0〜17歳の子ども計49人の所在確認ができていないことが判明したと発表した。【高木香奈、水戸健一】

 県によると、2日時点で3政令市と横須賀市を除く5児相(中央、平塚、鎌倉三浦地域、小田原、厚木)が支援を行っている子どもは計3095人。うち約60分の1の49人が10日現在、1カ月以内に家族以外の第三者による所在確認ができなかった。

 49人の支援の内訳は虐待37人▽不登校、引きこもりなど9人▽保護者の死亡など1人▽知的、身体障害1人▽非行1人−−。最長は2011年12月から行方が分からない高校就学年齢相当の子どもで、家出を繰り返しているという。県は虐待以外の事案についても、虐待と同様に児相に年2回の安否確認を求める方針で、県子ども家庭課は「今後、警察の協力も得ながら引き続き所在確認に全力で取り組む」としている。

 厚生労働省によると、全国の児相への虐待通報は02年度が約2万4000件だったが、12年度は約6万7000件に急増。理玖君を迷子として処理した厚木児相の場合、支援する事案は年間約3000件で、緊急性を要する虐待は約900件ある。ケースワーカーは13人で、多い時は1人が抱える事案が70件を超えている。「子どもが泣いている」「夜の公園で子どもが遊んでいる」などの通報の度に現場に駆け付けなければならず、虐待以外の子どもの安否確認まで手が回らないのが実情という。

 山梨県立大人間福祉学部の西澤哲教授(臨床福祉学)の話 行方不明の人数の多寡でなく、児相が支援を決めた子どもの安否確認ができない点に問題がある。信頼関係を築けているのか、子どもを在宅で支援するという判断に間違いがなかったのか、検証が求められる。一方で、安否確認は児相や県だけでできるものでない。要保護児童対策地域協議会を活用し、さらに全国的なネットワークシステムを構築する必要があるだろう。

最新写真特集