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「這(は)っても黒豆」という、ことわざをご存じだろうか。
畳の向こうの隅に、黒くて小さい正露丸ほどの大きさのものがある。1人は「あれは虫だ」と言い、別の1人は「あれは黒豆だ」と見立てる。そのうち、その正露丸がそろそろと動き始めた。1人が「やっぱり虫だったぜ」と勝ち誇ったように言う。ところが、もう1人は「いや、黒豆だ」と言い張って自説を変えない。
明らかな事実が発覚しても素直に認めず、頑迷に自説に固執する人物を揶揄(やゆ)して、「這っても黒豆」という。
韓国・済州(チェジュ)島で、慰安婦を強制連行したという懺悔(ざんげ)本を書いた吉田清治氏に、最も入れ込んだメディアは朝日新聞である。1992年1月23日付夕刊では、論説委員が次のような吉田氏の証言を丸ごと無批判に引用している。
《国家権力が警察を使い、植民地での女性を絶対に逃げられない状態で誘拐し、戦場に運び、一年二年と監禁し、集団強姦し、そして日本軍が退却する時には戦場に放置した。私が強制連行した朝鮮人のうち、男性の半分、女性の全部が死んだと思います》