[粒子線治療][菱川良夫] センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般財団法人メディポリス医学研究財団
メディポリスがん粒子線治療研究センター センター長
菱川良夫による講演からの小話。


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粒子線治療(陽子線治療と重粒子線治療)は、粒子線の特徴を生かし、複数方向からビームを照射することで、複雑な高精度放射線治療と同種の照射野(放射線が集中して当たる範囲)を得ることに成功しました。

初期の粒子線治療装置は、0度と90度(患者さんの真上と真横から)の2方向から照射するものが一般的でした。

兵庫県立粒子線医療センターでは、これらに加えて当時としては世界初となる45度(斜めから)のビームラインを設置。3方向から粒子線を照射することで、頭頸部がん、小さな肺がん、肝がん、前立腺がんの粒子線治療がより簡単に行えるようになりました。


兵庫の陽子線治療は、当センターと同じく回転ガントリーを使用しています。

当初の目的は「一室で3方向からの治療をすること」でしたが、色々な構想を思い描いているうちに、3方向だけではなく、様々な角度から治療がしたくなり、現在の形となりました。
1回転は360度なので、5度ずつの角度で照射を行えば、72方向から治療ができることになります。


ここで、3方向から治療を行える回転ガントリーを「第1世代」
全方向から照射できる装置を「第2世代」と名付けることにします。

一連の治療の中で他に回転できるものがないかと考えていると、治療台が回転できることに気がつきました。
治療台を自由に回転させることによって、治療の方向はますます増えます。

兵庫の装置では、治療台を十分に回転させることができませんでしたが、
指宿のセンターではそこを改善し、ガントリーに加え、治療台も自由に回転できます。

治療台に横たわる患者さんは、治療ごとに頭の位置を上下入れ替えられる(上下逆さまに寝てもらう)ので、治療台の回転は半回転で全てに対応ができます。

半回転は180度なので、5度づつの角度で区切れば36方向です。

回転ガントリーの72方向と組み合わせると、72×36=2592方向から治療ができます。この装置を「第3世代」の回転ガントリーと名付けます。


当センターで計画している乳がん用の回転ガントリーは、遠隔多門照射(国際特許申請中)が出来るように設計しています。これが「第4世代」となります。


3方向から始まった粒子線治療は、2592方向まで進化(陽子線のみ)を遂げました。

しかし、これらを自由自在に使いこなすためには、治療計画グループのレベルアップが必須です。
現在、一番難しいとされている膵がんの治療計画を、2011年には2~3日かけて作っていましたが、最近では数時間で作成できるようになりました。
目に見える成長です。


最高の装置を最高のチームで使う。
これからも難治がん治療への挑戦を続けながら、幸せな医療を提供して参ります。
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