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【国際】

シリア 少年150人拉致 過激派、戦闘員養成か

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 【カイロ=中村禎一郎】シリア北部のアレッポ近郊で十四〜十六歳の少年百五十人以上が先月二十九日に拉致されていたことが分かった。シリア人権監視団(ロンドン)が九日、明らかにした。シリアで活動する反体制派のイスラム過激派組織「イラク・レバントのイスラム国」の犯行とみられ、これほどの規模の子どもの拉致は過去に例がないという。

 シリア人権監視団によると、少年たちは中学校でテストを終え、複数のバスに乗って帰宅途中、武装集団に走行中のバスを止められ、拉致されたもようだ。バスには少女も乗っていたが、拉致されたのは少年だけだった。少年たちが組織の支配地域で教育され、テロ活動に従事させられる恐れが指摘されている。

 二人のおいを拉致された男性が「イスラム国」の支配地に出向き、子どもを帰すよう訴えたところ、「イスラム国」のメンバーは「拉致ではない。少年たちは十日間、宗教教育を受けた後、家に帰れる」と説明したという。

 監視団は「『イスラム国』の説明は信用できない」としている。すでに十日は経過しているが、これまで、少年たちが解放されたとの情報はない。少年たちはクルド人で、穏健なイスラム教スンニ派とされる。

 アレッポは現在、政権側と複数の反体制派が入り乱れる内戦の激戦地となっている。「イスラム国」はメンバーが減少していることに加え、クルド人の居住地が支配地に近いことから拉致を実行したとみられている。

 「イスラム国」は過激派の中でも最も強硬派とされる。支配地域ではイスラム法を強制し、恐怖政治を進めているため、住民の反発は強い。「イスラム国」の戦闘員を名乗る男性は先月、インターネットを通じた本紙のインタビューで少年兵について、「聖戦に参加することは若い世代でも義務だ」と答えている。

 国際社会では、イスラム過激派「ボコ・ハラム」が四月にナイジェリアで女子生徒二百七十人以上を拉致した事件をきっかけに、未成年の誘拐事件への関心が高まっている。

 

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