【春季大会】いわき光洋、初出場のびのび1勝「ずっと忘れない」
◆春季高校野球東北大会 ▽1回戦 いわき光洋6―2西目(5日・八橋球場)
1回戦では、春秋通じて初出場のいわき光洋(福島3位)が、6―2で西目(秋田3位)との“初陣対決”に勝利した。初回に打者8人、4安打で4点を奪った。青森山田(青森3位)は、3番の岡田元気内野手(3年)が1回に先制の2点適時二塁打を放ち、古川学園(宮城3位)に8―1で快勝した。2回戦は日大山形(山形1位)が、12―5で日大東北(福島2位)に、昨秋東北王者の八戸学院光星(青森1位)は東北(宮城2位)に9―0と、ともに7回コールド勝ちした。
いわき光洋ナインは未知の舞台でも、緊張とは無縁だった。先発の大峯聡史投手(3年)は「僕たちは失うものは何もない、と言われていましたから」と右横手から直球中心でテンポよく投げ込み、7回2失点。4番としても2安打1打点と大活躍だった。「この初勝利は、ずっと忘れないでいたいです」と新しくチームの歴史を塗り替えた気持ちをかみ締めた。
渡辺純監督(32)も「しっかりバットを振って、バンバン走る。自分たちらしい野球ができましたね」と県大会から貫いてきた積極野球を絶賛。普段通りの力を出すため、宿舎での時間の使い方にも気を使った。指揮官は「せっかく秋田へ遠征に来たんだから、遠くへ行かなければ遊びに出てもいいぞ」と選手を信頼して自由を与えたという。
大峯は3日夜には、宿舎での食事が足りなかったため、近くの焼き肉店へ部員4人で出掛けてリラックス。「自分たちの時間を作ってくれたおかげで、色々と考えることができました」と“放任主義”に感謝した。
監督の信頼を得ているのは、普段の練習をきっちりとやっているから。通常の練習後に必ず行う自主練習は、各人が足りない部分を考えながら1時間以上、夜8時頃まで行う。大河原主将は「皆考えているので、何をやらなくてはいけないのかは分かっています」と学校の掲げる「自主、自学、自律」を体現している。
6日は、強豪・仙台育英と対戦する。大峯は「一切引かないで向かっていきます。それで負けたら仕方ない」と気合十分。全国クラスの強豪にどこまで自分たちが通用するのか、“現在地”を確かめる戦いに臨む。(鈴木 文人)
◆いわき光洋 福島・いわき市にある男女共学の県立校。93年に全国初の全日制単位制(文理科)高校として開校した。生徒の自主性を尊重するため、制服はなく、上級学校への進学率も93%以上。野球部は00年創部で、11年夏には県4強に進出した。