万引きで現行犯逮捕され「家族に迷惑がかかる」と氏名を明かさず、身元不明のまま窃盗罪で起訴された男に大阪地裁は10日、求刑通り罰金20万円の判決を言い渡した。約2カ月間の勾留日数を1日当たり5千円に換算して罰金額に達するまで算入し、既に支払い終えたとした。
小野寺健太裁判官は判決理由で「捜査段階から名乗らず、罪に向き合っていない」と述べ「誰なのかは分からなかったけど、今後はこういったことがないように」と説諭した。
判決などによると、男は4月、大阪府東大阪市のスーパーで大福もちなど計24点、約3千円分の商品を盗んだ。男は60~70代とみられ、6日の初公判で、裁判官から「名乗らないのは手続き上許されない」と3度にわたり名前を問われても「言いたくない」と拒否。検察や弁護側の被告人質問でも「不利になっても仕方ない」と繰り返した。
被告には黙秘権があるが、1957年の最高裁判決は、氏名は黙秘権に含まれないとの判断を示している。〔共同〕
大阪地裁