じつは、iOS8で家電対応、はいはい家電メーカーが散々いままでやってきた分野ね、と思ってました。Bluetooth Low Energyも3年ほどやってきているので、その延長でお手軽BLE家電を皮切りに、昔から言われてきた未来を提供するのだろうなと。たぶん、ちがう。見た目はそう見えるのだろうけど、本質がなにか違う。
そんなところを考えていると、頭がパンクしそうなので、ぶっちゃけブログに書き出してしまおうと思った次第。
NDAしばりが開放されると、ぶっちゃけられます
iOS8のキーノートとセッション動画をずっと家にこもって1週間見てたら、いろいろ考えすぎて夜も眠れず睡眠不足になりそうなので、ここらでブログにぶっちゃけて一段落つけようと思う。今年は https://developer.apple.com/wwdc/ でセッション動画にプレゼンテーション資料までApple自体が公知にしているから、昨年までみたいに9月までブログを書くのはNDA的におあずけではないから、あそこにある資料の範囲で、ぶっちゃけてみよう。
たぶん、気が向くと書き足したり修正したりしてると思う
文章構造もない、ストーリーもなく、だらだら書き流してみようと思う。
7年前に登場したiPhone以上に、iOS8は社会を変えるのは確実だと思っている。だから5年後そして8年後に、今年の洗濯で自分の人生がどう変わったのか、今年の自分の視点はそのときどう変化しているのかを確認するために、iOS8登場時点で自分が気がついたこと、思ったこと(妄想)を垂れ流しておく。
1ヶ月位は、気がついたら書き足すし、いろんな人と話して考えたことを散りばめていくから、9月まではあっちこっちで変更が入ると思う。それは、ぶっちゃけ、しかたない。
日本がとかいう芸、もう飽きたので
iOS8は、HomeKitとか、だれた見ても理解できる形の新方針が出てきた。きっとこれから、日本の家電は、とか日本をネタに雑誌や新聞で記事が大量に書かれるんだろうと思う。ぶっちゃけ、もうその芸は飽きた。
ガラケー(文字数少ないからフィーチャーフォンよりガラケーと書くことにする)の時代からiPhoneの時代に切り替わる初期の時期は、ガラケーうんぬんって言う人いたのかしらん。自分のときは、自分の目の前にあるiPhoneを触って、その感動で胸いっぱいでそれを語るのに忙しかった気がする。そのときの、ぶっちゃけをブログに書いておけばよかったと、ちょっと後悔している。
日本の既存の販売高のあるところ、例えば大手の家電や車の製造会社(あえて、メーカーという表現は使わず製造会社と書きたいところ)を材料に使うと、一般向けの話題として買ってもらえる記事になるのかもしれない。それは、ガラケーとiPhoneへの推移と国内ガラケー製造会社がAndroidスマートフォン製造会社になろうとして、結局撤退した実例があるから、それを引き合いに、そら、日本に黒船が来たぞ、と叫ぶと衆目が集まるだろうから。
IoTとかいうけど、データはどこに保存するのよ
IoTが〜、ものがネットに繋がるとかいって、半導体とか通信機器のハードウェアの製造会社がフォーラムを開催したりしているけれど、ああいうのを見るたび思っていた。”その大切な、命よりも大切なデータはだれがどこに保存するのよ。” データが命の時代に、そこが不透明なまま、ネットワーク機器を売りつけようとして売れるのかしら。
iOS8、おもしろい
iOS8って、見てるととても面白い。音楽ストアとか動画のストアでコンテンツ販売とか、ブラウザゲームとか、ソーシャルとか、iOS7までいろいろ展開してきてるけど、その流れ自体はドコモのフィーチャーフォンとかDeNAとかのプレイヤが登場することで、戦略的には後追いだなって思っていた。でも、法人でも個人でも区別なく扱うし、情報の公開も区別がないという、フェアな世界だから、そこが素晴らしいなって思った。
いーびるうんぬんじゃなくて、世界に進出しようと思ったら、フェアだと思われる振る舞いしないと、受け入れてもらえないんだろうな。
iPhone登場して7年経つと、ネイティブにこの世界っていうティーンエージャーも多いんだろうな。テレビ電話なにそれ?って言われるけど、でもLINEを使っているみたいな。そういう感じで成熟しているし、これからも成熟し続けるんだろうなっておもう。
でもiOS8ではいった流れは、そういう成熟前、ちょっと日本で見たことない流れっぽい。
iOS8のプライバシー
もう、プライバシーのキーワードでWWDC2014の動画を全部見るべき(むっさ時間かかるから、自分は見ないけど)と興奮するくらい、プライバシーという単語が重要だし、キーノートやiOS8と多分Appleのデータセンタすべての設計と実装に、プライバシーが一貫して入っているんだろうと思った。きっとAppleの会社の壁には、ぷらいばしー、と大書してあるに違いないと思った。Appleの会社に入ったことないけど。
プライバシーは私生活上の事柄の情報、自分に属する、あるいは情報だけを見て自分と特定ができるもろもろの情報すべてかなって思ってる(専門用語は辞書ひけよ)。iOS8を通して、アプリはプライバシー情報にアクセスする機能が使える。例えば、連絡帳のデータを参照するとか。そういうのはiOS7までは参照させるしかなかったから、ユーザに認証ダイアログを出してOKをもらう、という実に言い訳めいたアトモスフィアの実装をしてる。
この実装はiOS8でも今の見た目同じだし、1週間後に”ほんとに許可しつづけるの?”とiOS8が勝手にユーザに再度認証確認をする、うざったいことこのうえないおせっかいさで、さらに強化までしてきてる。でもこれ、iOS7からの盲腸だなって思った。
プライバシーの情報を持っているのは、どこか
基本に戻ってゼロから考えてみよう。プライバシーの情報を持っているのは、現代はどこか? iOSデバイス? それはiOS4まではそうだった。2011年のiOS5からはいったiCloud、いまはプライバシー情報は、Appleのデータセンタにあり、手元のデバイスのデータはそれの同期したキャッシュにすぎない。iOSデバイスが壊れても新品にアカウントでログインすれば再現されるけど、Appleのデータセンタが吹き飛べばそうはいかない、なら本体はどっちだ?という話。
プライバシー情報は、電子的にどこかに保存しなければならない。そうでなれば、人間が逐次手で入力するほかないけど、電話するのに自分の脳みそで電話番号を覚えられる人はいないし、紙の手帳に戻る気もないでしょう。
プライバシー情報は、保存しなければならない。しかし管理するならば1箇所ですましたい。なら、iCloud。それ以外にプライバシー情報を保存することは、つまりプライバシーが危険にさらされている、ということ。それがiOSな世界でのプライバシーの原則。
iCloudがプライバシー情報をもつ。ほかにプライバシー情報を持つサービスは、iOSユーザの肌感覚は、そんな存在を許さない。
iOS8はDOS(データ・オペレーション・システム)
アプリケーションは、基本セキュリティとプライバシーを守る上で、堤防に空いた穴。基本、任意のアプリケーションのインストールを許す限り、ユーザは潜在的に危険にさらされる。Appleは、アプリストアを管理してアプリやアカウントを無効化するルート権限を持ち首根っこを押さえているけど、喩え話として、背中から刺された後に犯人を取り押さえても怪我が消え去るわけじゃない。
iOS5まではアプリケーションにユーザのデータを閲覧させることが必要だった。iCloudがたんなるアプリのCoreData同期技術だけだったら、データを参照する先は任意のネットワークサービスになる。そうすると、サービスにつなぐためにアプリにメールアドレスや名前の生データを渡さざるを得なかった。そうするよりほか、実装ができなかった。
iOS8で、それが変わるだろう。きっとiOS8は、データを操作することは許すが、データを参照することは極小に抑えこむ設計になってるだろうし、今後は原理的にデータ操作で完了する操作は、データに触れること自体を許さぬ設計強化になるだろう。
例えば、あるアプリがそのアプリを利用している知り合いで周囲にいる人を検出したいとする。iOS7までの実装だと、連絡帳を検索して個人を特定する情報、名前やメールアドレスを取り出し、どこかのサーバにその個人特定キー値と位置情報を登録、アプリからそれを検索するしかない。だって、そうとしか実装できないのだから。
これをiOS7までの技術で、SDKで提供しようとしたら? きっと”近くにいる人を検出するSDK”を提供することになる。でも、用途としてそれだけじゃないよね? そうすると、組み合わせ爆発がおきる。すべての要求をSDKで提供することはiOS7まではできない。だから生データ自体をアプリに触らせる他、実装方法がかなった。
iOS8では? CloudKitを見てみよう。アプリ間でpublicなデータ共有ができる、全アプリで1つのデータ・コンテナだ。アセットを登録して、検索ができる。それがあるならば、もうデータ自体を読み取らなくても、アプリからは、連絡帳データにあるユーザ情報で近辺にいるアカウントはどれか? を検索させればいい。
連絡帳自体の生データを参照するのは、OSだけ。アプリは、それらのデータをどう処理してどんな結果を返すのかのクエリを発行するだけ。
iOS8は、データ・オペレーション・システムである。AppleのデータセンターとiOSで閉じたなかで、データは操作され、結果が返される。データに触れる必要は、実装上もうない。操作を提供しているのだから、操作の組み合わせで任意の処理が組める。組み合わせ爆発はおこならない。
データセンターとセキュリティ
原理的に、プライバシーを守りつつ、任意のアプリケーションの実行を許し、不正を検出する前に不正ができない仕組みをいれるとしたら、データは1箇所で管理、生データに触れさせない、これは必須。これは原理的にそうなる。
この原則をAppleの立場にかけてみると、あらAppleの立場は最強じゃないか。
AppleはウェブのUIをおそらく許さない。すべてのUIはiOSデバイスで提供する。そうすることで、最高のネイティブの反応速度のぬるぬるアニメUIが提供できるし、iOSデバイスのハードレベルで保護された個人情報へのアクセス管理ができる。そのアプリはストアで流通管理され不正をした場合はアカウントごとBANする。最高のUIと、不正のタネを消し去る力をもつ。
Apple社のデータセンタのアクセスは、iOSデバイスのハードウェアがなければアクセスできないところまで、秘密のカスタムな技術で実装するかもしれない。ウェブを許さない、前提であればTCP/IPすら捨て去ってもいいだろう。
全世界のプライベートをあずかるデータセンタへの、ハッカーの侵入アクセスがどれほどのものか、想像するとゾッとする。どこにパケットが流れていくのかは、IPを見ればすぐわかる。SSLをかましていても中間者でパケットダンプするだろう。iOS自体のセキュリティも、JailBreakが存在するなら原理的に解析可能だろうし、半導体レベルの回路でも本気を出せば完全に回路図のレベルに解析できる。
信頼は1回の侵入の露見で失墜する。賢い侵入者は、侵入した事自体は公表せず、何年もの間侵入し続けていたことを誇るだろう。iCloudが社会の運用インフラになった時代に、歴代大統領の数年間のジョギングデータをウェブに公開するだけで、その社会は崩壊するかもしれない。
データセンタにアクセスするデバイスを世界に何億台もばらまいているのだから、基本はアクセス方法を公開しているのと同じ。本気で解析してくる奴がいれば、その解析材料は全て手渡しているのだから、原理的に防御しようとすれば、全技術情報を知っていても防御できる技術、を入れているんだろう。
自分が暗号化の専門知識がないから、何も想像できないのが、口惜しい。しかし、原理的にプライバシーを守る技術があるならば、この立場であれば躊躇なくTCP/IPは捨て去るだろうし、量子化暗号とかわけのわからん技術も使えるなら入れてくるんじゃっておもえる。
Appleに雇用されている暗号化技術の専門家の年収は、何億円なんだろう?
Big Data, Tiny Phone
フラッシュメモリの容量自体が、価格の層を作る理由にはなってたんだけど、あれはさらに1万円を出せる人に1万円を出させる理由付けとして、今後も有効なんだろう。でも一生分のデータを保存するには、ちょっと3つのメモリ区分、ではきっつい。そしてPCがなくなる時代、みんなの母艦はAppleのデータセンターになる。
そんな時代は、Big Data, Tiny Phone。しかたないよね。毎日、何歩歩いた、どこに立ち寄った、何を話した、それをすべて物理的に保存するなら、すべてのデータを小さなPhoneに保存するのは無理。
こうしてみると、個人が持っているiOSデバイスは、iCloud領域を覗く、データ操作するインタフェースなんよね。シンクライアントともまた違う。iCloudへのアクセス端末。しかもUIとデータ構造は任意の開発者が開発したものという。そしてデータセンター自体は、Appleが死守、あらゆる意味で運用と死守。
そうすると、WWDC2014で発表された新デバイスって、Apple社の新規建築したデータセンタじゃないか? いままで手のひらサイズのiPhoneの新機種ばかりを見てたから、おそらく砂粒と山ほど大きさが違うから視点があわないだけで、超巨大なApple社のデータセンタという、1つのデバイス発表会だったんだな、って思う。
iOS8のキーワード
Consistency(一貫性), Security, Privacy。キーノートから設計に至るまで、一貫した思想が感じ取れる。おみごと。
iOS7は、プレゼンテーションでやたら思想を語るのに、思想のかけらもないゴミのような代物で、気が狂っているのかと思っていたけれどもiOS8をみると、納得できた。つなぎだったんだなって。いままでのiOSはiOS7で、完全に終了した。iOS8は、ゼロからの出発なんだって納得ができた。別に、誰も思想を大々的に表立って叫んでいないけど、すべての動画から一貫した思想を感じられる。
Consistency
いろんなところでConsitencyがあるんだけど、1つ。
MacとiPhone間で、作業がすっと移行できる連続性も素晴らしいデモだと思った。1人でデバイスをいくつも買う理由付けになるし、キーボードや画面サイズの作業性のよい状態で、あるいは歩いているときとか机の前にいるときとかの状況で、それぞれの場面で最適なデバイスを買えばいい。
でもこれって、アプリの設計でいうモデルとコントローラとViewのうち、モデルをiCloudに移す設計方針の変更の序章だなって思う。今後のiOSアプリケーションは、まずモデルをiCloudにあわせて設計、そのモデルの上でUIとコントローラを作る流れになるんだろうな。そうすれば、すべてのモデルはiCloudにあり、すべてのデバイスでアプリは自然に同じ振る舞いをし、どこで操作してもアプリは一貫している。
iOS7までのアプリケーション開発は、UI開発だった。デザインだった。それは今後も変わらないし、魅力だし、作りこまれるだろう。iOS8からは、きっとモデルが黒子。極めて重要で根っこのところにいる黒子になる。このあたりの設計ができる開発者、今年は超高給取りになりそうだよな。来年になれば、Apple自体が普通の開発者でも対応できるようになるSDKかツールを提供して、強制転移フラグをたててくるんだろうけど。
iOS8の既存機能の改良や開放とか
新規じゃないけど既存からの更新でおもしろいなって思ったのは:
GCDにQoSがはいった。OSがすべての目的にそうスケジューリングするの原理的に無理だから、開発者の方でなんかQoSに関する情報提供しろ的な。
MPEG-4コーデックの開放。いままでSkype的なものを作ろうとしたら、画像符号化コーデックを電池消費量と処理能力の塩梅でARMに実装するとか大変だったのに、これでだれでも1週間でハードウェアネイティブなビデオ通話アプリが作れちゃうじゃないですか。
カメラ周りの開放。上のMPEG-4もだけど、もうデジタルカメラの開発会社はプロトタイピングにiPhone使えばいいんじゃないか? UIにネットワークにフォトライブラリ管理、これ以上の最強の低レベルがたたける開発環境はないぞ。
こういうのをiOS7までの文脈で見ると、ハードウェアの可能性を一般開発者にも開放してさらなるイノベーションを促進する、とかになるんだろうけど、iOS8の文脈で見ると、もう俺らがデバイスの可能性は9割探求したし、自社サービスに組み込み運用で盤石になったから、あと残りの1割の余地でできることがあるなら自由にやればいいよ。Appleっていう立場じゃできない、規模ではやらない分野でも残ってるでしょ。簡単だよ、やれよ、という感じに見えちゃう。
iOS8で、デバイスからiCloudKit、データ中心、データが資産になればデバイスはユーザの情報を吸い上げる大切な端末であり、常時ユーザのそばにいてもらわないとならないの。その1つが魅力あるアプリ。いまさらiOS8でAppleがやることは利益的にも目新しさ的にも旨さはない。誰かに開放してやらせとけ、という歪んだ見方。
おれたちは、次の時代に行くんだ、みたいな。そしてAppleのデータセンタに手が出せるのは、永遠に、Appleだけ。アプリケーション開発って、もう単価の決まったルーチンワークにできそうだな。
iOS8の新しいところとか
新しいところで見ときたいのは、新言語 Swift、CloudKit、HealthKit、HomeKit。
新言語はObj-Cとバイナリコンパチといってるだけあり、今は、できることは同じだけど静的な型にすることで、コンパイル時にできる最適化の幅を広げたのかしら?と。iOS8でA7プロセッサで使える薄い3DのAPI、Metalがでたけど、あれもアプリのビルド時に処理を寄せることで実行時処理時間を極限まで削るという流れだし。原理的にビルド時にできることは、全てビルド時に処理する。処理速度を原理的に可能なところまで上げていく、というのをソフトウェア側からやろうとしたら、ねっこのところからになるわなと、感心します。
CloudKit。これはアプリに1つのデータコンテナなんだけど、PublicとPrivateという2つの領域があって、要はユーザ間でデータ共有できちゃう。いちおう使用上限もあるんだけど、それTwitterを作るんですか?、のレベルの上限値だから、Apple的にはそのレベルのアプリがボンボン出てくるでしょ? いや、出してこいよっていう挑戦状なんだろうと思う。
Quotaが、1PBアセット、10TBデータベース、5TB/day アセット・トランスファ、50GB/day データベース・トランスファって、なにそれ?でしょ。1アプリでそれって。でもそれが、Appleの目にとまる値なんだろうね。それを超えてから、勝負だよんと。
で、HealthKit。Appleのデータセンタから、iOSユーザという人間を見た時って、じつはあんまり見えない。M7プロセッサがあれば、動きとか慣性とかで活動してるなとか、アプリの稼動状態とかで活動内容とかわかるんだろうけど、その程度。iOSデバイスって、あんまりユーザが見えない。
HealthKitは、すべてのバイオなデータを1つのデータベースに記録、解析、参照する仕組み。ユーザがいろんなセンサを身につけたり、カスタムな製品もアプリがデバイス・ドライバとなってHealthKitに同期することで、データが常時iCloudに流れこむっていうそういうもの。なんか、基盤になりそですよね。
最後がHomeKit。これは、いまのところは家電とiOSデバイスをつなぐSDK。Siriで音声コマンドで操作できるとか、でっかいリモコン程度のアピールしているけど、ユーザの家電システムをiCloudの一部に組み込む流れだよな。ボーグかよ、ロキュータスかよ、我々に同化せよかよ、と3回ツッコミいれたくなる。
HealthKitはデータ吸い上げ同期、人間をネットワークに同期させるためのなにか。HomeKitは、家電のiOS化。iCloudの1IOにするための何か、と思っておけばいいのでは。その人のデータと物理的なIOを握っておけば、あとは、なんでもできるでしょ。
HealthKit
ウエアラブル(笑)とかいうけど、実際でデバイスを売って利益を上げるのは最初の方だけっぽいよね。次は、健康データをつかって保険紹介とか医者の紹介とかするのかしらん。人の近くにいてデータを取り続けるのが肝だろうから、その意味で、ウエアラブルをおさえたい、まだどこもチャンピオンがいないうちにっていうのは、それは考えだと思う。
そうなると、人間のデータがネットに同期する世界、遺伝子なんかもついでに登録しておくと、履歴から将来予測もできそうだしおもしろい。人間は常にお金の源だし。データ中心の世界になるよ。その人間のデータを持っているのが、だれか、という。ハッカソンで出てくる定番の見守りネタも、そのデータを誰が持つのか、というのが問題になって実際にはやりにくいんだし。
健康とかのデータを預けられるのはどこか
個人情報で、今の健康状態のデータなんて、極めつけのプライベートでプライバシー扱いのデータはないと思う。そのデータをどこに置けるか?
数年前にファストサーバというサーバ運営会社があって、そこがスクリプトの適用ミスで全データを吹き飛ばすということがあった。こういうデータセンタだと、まず論外。AWS? セキュリティの扱いとかどうなんだろう。金融のデータ扱いの認定を受けてるから、多分そのレベルだと大丈夫なんだろう。
健康データとか、ヘタするとお金よりも大事かも。そうすると、今のネットな社会の命より大切なアカウントを預けているところは、候補になりうる。それって? Google、MS、Apple…。iCloud key chainがあるAppleとか、強いよね。
信頼感があること、それがまだ裏切られていないっぽいことって大切。もうこのレベルになったら、iPhoneとかiWatch(ホントに出るのかしら?)はあってとうぜんだろうけど、持ってなくても、Appleのアカウントがなければ社会生活できないレベルになってしまいそう。もうデバイスじゃなくても、アカウントの利用料金でも十分だったりして。
エンタープライズとかやってきてるけど、Apple並のサーバ運用ができる?、と言われてYESって答えられるサーバ技術者がどこにいるんだろうとか、年収相場とか、ちょっと気になる。
HomeKitとか
どんな感じ?
いまのHomeKitは、iOSデバイスに家電とかのデバイスを無線でつなぐ仕様。それがあると、Siriとかアプリから操作ができるようになる。通信仕様はApple独自の仕様でMFi。つまり、秘密保持契約の向こう側。
おもしろいのが、BLEの扱いなの。セキュリティを最重要視するのはわかるとして、そのセキュリティレイヤが、BLEのSMじゃなくて、GATTの上に独自構築。BLE自体を信用していないわけじゃないんだろうけど、そこをレベルで独自仕様にするか、っていう感じ。
これだけみると、あー独自仕様、って思えるんだけど、ちょっとこの辺は微妙で。今後の動きを注視したいって思うところ。なぜかというと、BLEのセキュリティの仕様は、もともと1台のハードと1台のハードを接続する仕様、通信の最下層のハードウェアに依存する仕様なのね。だからコントローラが1台で接続するとかならありだと思うんだけど、もしもCloudの外部拡張端子としてBLEなデバイスを捉えてて、どのiOSデバイスからでも接続できること、なんて想定があるなら、特定のハードウェアしばりのセキュリティは排除して、iCloud Key Chainで共有した鍵とかが使えるだろう、独自のセキュリティレイヤを入れるのも、なっとくなの。
たぶん、ただ独自仕様にしただけで、これは考え過ぎだろうけどね。
あとWiFiもあって。こちらはBonjornoでデバイス発見の、HTTPSでJSONなやりとりでセキュリティとかはやっぱりMFi。ブリッジ・デバイスが作れるから、既存の家電通信バスのブリッジを出せば、接続可能になる。
で、アプリがデバイス・ドライバなのよ、HomeKitって。設置運用のアプリとか、それぞれの家電の調整とHomeKit登録のアプリを出す、いいきっかけになるのかもね。そうすると、家電のメンテ故障情報をアプリに直接抜き出すとか、ついでに見守りサービスとか、日本の家電メーカの人が2000年のIT対応家電をいろいろ考えた時に夢見た未来が、すべて1日で実現できる現在なんだろうね。
すごいよね、プラットフォームの威力。賢い人達が、大きな会社が雁首揃えて実現しえなかった現在において、1日で、あっそれなら1週間で実現できるよと個人開発者が言えちゃう時代、になっちゃった。”雁首”がいけなかたんだろうね。絶対的な支配力、対等の存在とは思えない絶対的な存在がないと、こういう場って生まれなかったんだと思う。
何をもたらすか
きっとApple、なんにも考えてないんじゃないかしら。Siriで音声操作って、スター・トレックみたいなことはできると思う。
勝負に勝つことがなくても負けることはない、というスタンスなら、今年から人間のせいかつがネットに同期することで、あらゆる身の回りが自動化されてコストかからず快適生活な時代にはいるなら、家電の制御権とかにぎれていたら、あとでなんでもできるだろうし。
技術があっても、誰がどんな体験をしたいか、とか千差万別だし、そういうのって想定してこれだっていっちゃうと、傲慢になるだろうし。いい意味で、そういうところは透明になっておいて、ただなにかをする場は提供するっていうかんじかなって思う。
確実に、最初から最後まで、Appleしばりになるのは確実。通信規格自体がMFiだし。Googleの規格とかも出てくるんだろうけど、同じ体験ができるなら、別に買い換える必要はないんだろうし。両方対応のデバイスは、たぶんMFiの適用はずされるだろうから、出てこないだろうし。そういう意味で、最初から最強、最後まで最強の第1手をうったなっていうのは、確実。
でもこの場がある構造って、iOSアプリケーションの初期と同じなのね。いろんな可能性があり、大手がそれぞれやるわけにはいかないけど、10万通りの小さいニーズが広がっている。ハッカソンで、見守りサービス、とか定番で出てくるけど、実際にやるかといえば、クラウドどうすんだよ、運用費用はとか、機材がとかいって実現しなかった”小さな無数のニーズの1つ”が、1週間で実現しちゃう。そういう可能性が、10万くらい眠ってる。
日本の家電メーカ
提携家電会社に、日本の会社なかったね。秘密保持契約で信用されてなかったりして。
いまごろ大手の家電メーカの技術担当者とか、HomeKitのプレゼンを見て分析とかしてるんだろうなって思う。無駄だと思う。レイヤが違う。そのレポートを読んだ、シニアな元エンジニアのマネージャが、俺達のアライアンスが作った家電間通信規格は、とか一言でも口にしたら、もうその会社たぶん来年消えるかも。
でもHomeKitで日本の家電がおしまいとか、そういうなんちゃっておもしろ煽りブログが書きそうなことにはならないとおもう。家電は、家電だもの。たとえば洗濯機がない生活を1ヶ月してみる。引っ越しの時2週間体験したけど、もう二度と体験したくないくらい不便だった。家電は家電としてそれ単体で必要なの。そして家電はそれ単体で価値がある。故障しない、機能に優れている、デザインがいい、サポートがある、買いやすい、設置や破棄まで含めた販売と流通、納得の価格、いっぱいの評価軸がある商品なの。
HomeKit対応は、その評価軸の1つにはなる。でもなくても、使えなくはない。ただし、同じように素晴らしい商品が2つあり(それは自社の2商品かもしれないし、自社と他社の商品かもしれない)、一方がHomeKit対応ならば、それを選ぶかもしれない。多少高くても、しかたないよね、ほしいんだものと買うかもしれない。そんな感じ。
家電の市場規模って日本で10兆円を超えるくらいっぽい。日本で年間1200万台のiPhoneが売れるっぽいから、1台7万円粗利50%としたら、売上1兆円の粗利5000億円くらいなのね。その10倍の市場からロイヤリティー取る感じなのかしら? 金額は知らないけど、適用領域は確実に広がりそう。
HomeKit対応の会社にハイアールがいたけど、あそこは三洋電機の白物家電の部署を買い取ってるから、そっちからくるのかも。私、It’sシリーズが好きで、今も使っているから、ハイアールから三洋電機品質のものがHomeKit対応できたら、かっちゃうな。
そういう業界の力関係を崩す道具として、HomeKit対応ってAppleというブランドの威を借りれるところあるだろうし、使うのいいのかも。
アプリから家電いじりほうだい、状態とりほうだいになったって、なんかこう、鉄道が引かれたけど、まだ家が建っていない土地が広がっているような、そんな感じがする。
Apple以外の2014年
ソフトバンク…
iOS8の発表タイミングで、ソフトバンクがロボットを発表した。2月に20万円で販売するらしい。人間っぽい形をしていて会話ができる。お茶汲みとか野菜を刻んだりはできなさそう。
iPhoneで回線契約を増やせなかったらソフトバンクってどうなってたんだろう。3キャリアがiPhoneを扱うと、NMP争奪戦の0円機種の撒き餌と化したから、もうiPhone自体が武器にならずでどうするのかと思っていたら、ロボット。まさかの、ロボット。
20万円って、部品原価じゃないかな。駅前で無料でADSLを配布したのと同じで、配ってしまえばその後にお金を回収できる仕組みがあるからやるのだろうけど。iPhoneの初期ユーザ数が日本で20万人?程度と同じくらいの人数が初年度に購入したとすれば、仮に1台10万円の赤字としたら200億円規模の赤字は見込んでいるんだろう。
きっとこれ、AppleのHealthKitと同じで、ユーザの直ぐ側に常にいるデバイスの立ち位置、情報収集してても違和感がない立場をとりにいいってるんじゃないかしら。プライバシーとかそういう極めてデリケートなところでも、会話ができるロボットなら、認識エンジンがクラウドにあれば通信せざるを得ないし。最初に、そういうものがあると便利だ、と認識されたらその後の議論は、プライバシーを守りつつ、この便利さを維持するための仕組みはなんだろうか、になるだろうし。最初に立場を作り、最初から最後までルールメーカーである立場って、きっと200億円以上の旨味があるんだろうか。
あのロボット、でもうまいよね。胸に変なタブレットがついてる。元になったフランスのアルデバラン社のにはないのに。ユーザのそばにある装置って、機械の形している必要ないんよね。例えば話しかけて答えるのも、タブレットに顔の画像をだすだけでいい。常時見守りタイプでも、機能的にタブレット+首振り機構で必要は満たせる。
でも、タブレットの形でそんなのだしたら、家の中をスパイするつもりか?、になるだろうし、販売金額もタブレットなら2万円がいいとこだよね、という見られ方をする。でもロボットという形をしてたら。20万円、激安!。最初の入口の見せ方って、ルールメーカーとして大切なんだろうな。
で、これがある世界が便利だとわかって、それを使っている人がご近所やご町内に1人いれば、それが馴染むんだろうね。日本の世帯数が、5000万世帯として、ご町内が100世帯単位とすれば、日本には50万ご町内がある。さっき20万台と書いたけど、3年で50万台達成で、ご町内でみかける程度。
そこから先は、安価版です、でタブレット+首振り機構の5万円コースでもいいんだろう。同じだもの。会話できるとか、基本の売りは。
クラウドにつながっている機械知性って、それ自体に体がなくてもいい。”お買い物を頼みたいんだけど、卵とレタス”、というコマンドで発注して、実際にはセブン-イレブンから配送されてくるのでもいいし。でもそれ便利よね。
後、私は独身世帯だから、もしも死亡してたら通知してくれる機能は、御近所のご迷惑にならないために、地味にほしい。見守りとかそういうアイディアは、ハッカソンとかで必ず出てくる定番アイディアだけど、リアルに展開しているところって少ないの。だいたいセコムのオプションとかになる。そもそも、低頻度発生イベントへの対応なんて、小ねたすぎて、それで会社を起業するほどでもないけど、でもニーズはあるというところで、誰もカバーできてないんでしょうね。
製造業の限界
HomeKitの話題をしているときに、たまたま目についたのでサンプルとして。 トヨタとパナソニック、クルマと家電の連携サービスを年内に提供開始へ 自動車の位置情報と連動してエアコンとかが連動します、という記事。
さぁdisりましょうかw と思ったけど、もうdisる気になれないので、思ったことを淡々と。
製造業って辛いんだなって思った。この”サービス”を利用するには、トヨタとパナソニックの製品を買わないといけない、そして車を日産のに買い換えたとき、日産のクラウドがパナソニックのエアコンと連動していなかったら、快適な家の無意識に提供されてた便利機能がなくなっちゃう。ものすごく、会社依存。特定の会社の製品に限定されている。
製造業だと、商品を買ってもらって初めて利益が出るから、製品しばりの構造が入るのは、しかたないんだとおもう。でも、最初に利用するシステム導入時点で、今後この会社の製品しか買えませんよという無意識のプレッシャーがはいるって、普通はどうなのだろう? これがパナソニックが一括で作る家という単位なら、例えば太陽電池の発電量と連動してエアコンがとかなら、家という単位でまとまっているから、いいのだと思う。でも、車は、違うよね? 家とは独立した、なにかよね?
この構図の悲しいのは、2社でやってるところ。でもでっかい会社同士が連携するとなると、どっちがどっちの力関係をだすと動けないだろうしで、こういうシステム提案せざるを得ない。これがもしもHomeKitだったら? iOSデバイス、Apple、iCloudという見えないボスがいるから、家も車もまずiOSに連携させて、機器間の連携はアプリで出せばおしまいだろう。(いまのHomeKitで、それができるとは言わない。そういう事が可能になる構図だってことで。)
しかし2社じゃなかった? 車で家についたらエアコンがついてて部屋が快適温度、いないときはオフで電気代が嬉しい、という1ユースケースを作るために、車とエアコンのメーカがぜんぶ雁首そろえて通信規格を作って、会社間のエゴがでないように運用し続けるために運用会社を1つ作って、さーさビス開始。そこまで社会に資本投資して、たぶん何年もかけてできることが、車で帰宅したら家が涼しい。…絶句するよね…
でもそれは、彼らのいいわるいじゃない。そうとしかならない構造なんだ。ボスがいないって、そうなっちゃう。でも、そのボスは、同じ立場の存在じゃいけない。それだと新たな喧嘩になるだけ。この構造は、神さまのいない日曜日なんだよ。
Googleって族長っぽいのかも
Appleと対比で出てくるのはGoogleかもしれないけど、AppleはiOS8とiCloud(Kit)で世界になったけど、Googleは族長ぽいのかも。いーびるじゃない、っていうのを是として掲げているけど、善悪判断って人間だからできることなんよね。その人間の集団のなかの、価値基準に照らし合わせて、初めていーびるがなにかを選別できる。つまりGoogleは、人間と同じレベルの存在。そして強い、なら族長だろう。
古代社会を思い出しても、族長、あるいはシャーマニズムがはいった社会では、眼に見えない神様と交信できる存在というのが、族長が族長である権威の理由付けになってたんだろうなって思うと、ネットの社会でもそういう、社会を動かす実際の力という権力と、なんかわからんが存在感があるという権威の分離というか、関係が出てくるんかもなって思う。
宗教という権威と、王国という権力があった、構造が中世社会っぽいよね。
次に来るのって機械知性か
Siriで家電が動く次は、もう自分がそこにいたら、空調もドアロックも程よく動く感じ、になりそう。そういう操作をするのにはリアル肉体はいらないから、データセンタで動く機械知性でいいんだろう。もうクラウド側にメイドさんがいる感じなのかしらん。
しかも、付き合えば付き合うほど、自分の情報がたまって、それが自然になる。データ自体はデータセンタに固定だろうから、他に移すことはできないだろうし、そもそもデータフォーマット自体が共通の表現形式がないだろうから、設計的にそんなのできないよ、だろうし。
世界征服は、こうやるんだなと
自分の世界の一部が、ある会社のデータセンタのなかにあり、それが自然な世界だと思える時代。きっと世界征服ってこうやるんだろうな。