[次のページ|目次へ|トップへ|前のページ] | 第漆章 追加銃器 |
1)洋式銃
幕末には火縄銃と洋式銃が混沌として併存していましたが、明治時代初期には各藩の武装は洋式銃に統一されました。とは言え、一口に洋式銃器と言ってもその種類は多く、廃藩置県後、藩軍隊の遺産を継承した明治陸軍もその雑多な銃器の為の弾薬補給に苦慮しました。その統一の顛末については、陸軍史を参照して下さい。
洋式銃は、民間人にも所有が許された拳銃と異なり、明治初年に全国で銃器狩りが行われ、かつて戊辰戦争に従軍した旧武士からも銃器が没収されました。その為、軍人・警官を除けば届け出を行った猟師しか所持出来ません。勿論、此は合法的な所持限った場合の事です。金持ちや政府高官がその権力を用いて私兵に銃を持たせる等と云う事は、まま有る事です。
ここでは、『るろうに剣心』の舞台となる明治11年に使用された銃器を新しく追加して置きます。
これらの銃器は射撃武器であり、近接戦闘になると使用不可能です。この武器は両手用です。
使用には銃器技能を使用します。故障した時の修理の難易度は、18前後です。
ウィンチェスターM1873
最も有名なレバーアクション式ライフル銃。米国コネティカット州ニューヘヴンのウィンチェスターが製作。全体に、先行するヘンリー・ライフルの改良強化版であるM1866の更なる発展版。
センターファイヤー式金属薬莢を使用し、機関部をM1866の真鍮から更に剛性の高い鋼鉄で作り、高い信頼性とヘンリーライフルの20〜30%アップの威力、13発の装弾数を誇る。ヘンリーライフルの欠点だった弾詰まりの危険も、機関部の右側に単発用ローディング・ゲートが追加され、改善されている。
馬上での射撃に適した構造でアメリカ西部のカウボーイ達に愛用され、「西部開拓者の小屋には必ず一丁有る」とさえ称された。特に対インディアン戦闘に活躍、「西部を征服した銃」と呼ばれた。ウィンチェスター社カタログにはバッファロー・ビルによる推薦文付き。
またウィンチェスター社では1000挺作る毎に次の1001挺目を機械作業の工程から外し、熟練工の手による精巧なハンドメイドを作成した。この銃は価格は10倍、命中修正+3、ダメージ4D6とする。
口径:44゜−40口径(約11.2o)
銃身長:113p
装弾数:13スプリングフィールド・カービンM1873 トラップドア
南北戦争終了後、大量に余ったスプリングフィールドM1863を後装式に改めた物。当時既に前装式の銃は旧式化し、軍でも此の銃の処分には苦労した。其処で、そうした前装銃を再利用するために構想されたのが此のトラップドアである(薬室の後部に入り、此を閉鎖するブリーチ・ブロックを跳ね上げ(トラップドア)式にしている事から、此の名が付いた)。
此の銃は発砲の都度掃除をして再装填をせねば成らず、既に些か旧式化の感は免れなかったが、信頼性の高さから、1890年代まで米国陸軍で騎兵銃として制式に使用された。そして其の旧式な機構のつけは、リトル・ビッグ・ホーンの戦いに於ける惨敗という形で、思い知らされることになる。此の戦いでスプリングフィールド・カービンM1873を装備した米国陸軍第七騎兵隊は、ウィンチェスターM1866を装備したインディアン戦士によって殲滅され、歴史に残る大敗を喫することになったのである。
口径:45゜−70口径(約12o)
デルシュ&バウムガルデン銃
銃工デルシュとプロイセン軍人バウムガルデン少佐が共同開発した、ドライゼ銃の改良型軍用銃。改良を重ねた結果、今では全く違う銃となっている。ドライゼ銃に比べ、銃筒がそのまま遊底となっているので、機構が頑丈で修理が容易く、ライフリングが長くて浅い為、射程が長く命中率も高い、更に軽いという長所を持つ。但し、高価で清掃に手間が掛かり、分解にはドライバーが必要となってしまったと言う難点を持つ。また、口径・弾丸はドライゼ銃より小さく、威力も低い。
十三年式村田銃
単発後装式のボルトアクション式施条銃。明治十二(1880)年に完成した国産最初の制式小銃である。
西南戦争に際して、政府軍は種種雑多な銃器を使用し、弾薬補給に可成りの困難を伴った。そこで明治政府は陸軍少佐村田経芳に命じて銃種統一と国産化を研究させた。村田少佐はシャスポー銃が能力優秀である事に鑑み、何れも口径11oの単発ライフル銃であったフランスのグラー1874型の鎖栓に、オランダのボーモン1871型のV字形撃針バネを取り入れた。
弾丸は此も11oグラー弾をコピーした全長78o、全重量46.2gの真鍮製薬莢で、尖頭無被甲鉛弾。火薬は黒色火薬5.3gを使用。
日本人の体格に合わせて小型かつ軽量となっており、当時の列強の軍用銃と比べても、遜色のない性能を持つ。明治十五年、近衛兵や陸軍士官学校等から逐次配置が行われ、明治十九年に配備完了。初の実戦参加は明治十七年の秩父事件であった。此の事件では、蜂起した秩父困民党の農民に対して出動した近衛連隊が使用し、其の経験を生かして、銃身を短くして取り回しを良くし、装薬を改良して初速を高めた十八年式村田歩兵銃が制定されるのだが、それはまた別の話。この十三年式村田銃は遅々として配置の進まない十八年式に代わって日清戦争でも使用され、更には日露戦争でも後備歩兵師団の装備として使用された。日本軍の保守的な性格を物語るエピソードである。
口径:11o
全長:129.4p
銃身長:81.8p
重量:4.2s
弾丸初速:419m/秒
最大射程:2000mシャープシューター・ライフル
アメリカ製のそのものズバリ「シャープシューター」=「狙撃」銃。南北戦争に際しライフル銃が普及し、南北両軍で狙撃が盛んになると、南軍はダヴィッドソン狙撃銃をイギリスから輸入して北軍を苦しめた。それに対して工業力に優れた北部は独自に狙撃専用ライフル銃を開発した。とはいえ、依然として狙撃は卑怯な物であるとの発想は抜けず、狙撃銃の開発も軍ではなく民間企業が行った。その中でも、特に成功を収めたのがジェームズ・モーガン社が開発した「シャープシューター・ライフル」である。
この銃はレミントン社の軍用銃をベースに銃身を肉厚のオクタゴン・バレルに置き換え、望遠スコープを装着した。殊にオクタゴン・バレルの採用は画期的で、重量の増加によって歩兵用の銃としては不便になったが、先重りで反動を殺し、肉厚の銃身で強力な火薬を使用できるようになった。その為、装弾に時間の掛かる前装式となってしまったが、総合的に見てこの銃は、一撃必殺を狙う狙撃手には心強い味方となったのである。
この銃は「狙撃」が可能となっている。モーゼルM1871
M71ともGew(ゲヴェール)71とも呼ばれる。ドイツのヴィルヘルム&パウルのモーゼル兄弟が1868年に開発した、ドライゼライフルをベースとした画期的なボルトアクション式後装銃。最新のボクサー式金属薬莢を使用し、ドライゼやシャスポーの弱点だった長い撃針を短く変更した。また此によって薬莢に撃針を刺すコッキングの動作を省略する事が出来、完全に現在のボルトアクション小銃と同じ動作で射撃が出来るようになったのも大きな特徴である。
この銃の基本的な形は1860年代半ばに完成していたが、兄弟の故地ドイツはドライゼ銃の性能に満足していた為にモーゼル銃には見向きもしなかった。特に後装式小銃とは思えない高い初速に恐れをなし、「此れ程の高圧で弾を撃つのでは、銃身の破裂は必至。いつか大事故が起きるに違いない」と批判した。此の状況は他の国でも同じで、長らくモーゼル銃は放置されたままであったが、1870年代に至って漸くドイツで比較検討が行われた。試験に際しては皇太子自らが銃を執ってテストを行い、結果に満足するやその場で採用を命令した。そうなると各国の反応は早く、特にドイツは1871年12月2日に制式採用を決定し、10万挺の発注を行った。以後、モーゼル小銃は世界の小銃改良競争のトップをひた走る事になるのであるが、未だ当時は誰もその事には気が付いていない。
M71は長く使用され、第二次世界大戦末期にも引退して格納されていた倉庫から引っぱり出されて国民に配備されたという。
口径:11o
全長:134.5p(銃身長:85p)
重量:4.54s
初速:440m/秒
〜銃器一覧表〜
名称 | 命中修正 | ダメージ | 装弾数 | 装填 | 着剣 | 価格 | 国産 | 備考 |
ウィンチェスターM1873 | ±0 | 3D | 13 | − | × | 80円 | × | 装甲値1/2 |
1 | 1 | ローディング・ゲート使用時 | ||||||
スプリングフィールド・カービンM1873 | +2 | 4D | 1 | 1 | × | 30円 | × | 装甲値1/2 |
デルシュ&バウムガルデン銃 | +1 | 3D | 1 | 0 | ○ | 110円 | × | 装甲値1/2 |
十三年式村田銃 | +7 | 4D | 1 | 0 | ○ | −− | △ | 装甲値1/2。所持にはGMの許可が必要。 |
シャープシューター・ライフル | +4 | 4D | 1 | 6 | × | 90円 | × | 装甲値1/2、「狙撃」可能 |
モーゼルM1871 | +5 | 3D | 1 | 0 | ○ | 100円 | × | 装甲値1/2。 |
《表の見方》 装弾数: 一度に弾装に装填出来る弾薬の数。この回数だけ攻撃を行ったら、再装填しなければならない。 装填: 再装填にかかるターン数。「−」となっている銃は、戦闘中の再装填は不可能。 着剣: 銃剣を装着出来るかどうかを表す。 国産: 日本国内で生産出来るかどうか。○で有れば、国内でも簡単に生産でき、民間にも広く流出している。△で有れば、軍の専門の銃器工場でのみ生産されているという事になり、軍人以外は入手出来ない。×であれば、国内では全く生産されておらず、輸入に頼るしかない。軍人以外の入手は困難である。